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現場管理費・一般管理費・労務管理費の違いとは?意味の違いについて解説

現場管理費・一般管理費・労務管理費の違いとは?意味の違いについて解説。

建設業界において、工事の費用を管理する際に「現場管理費」「一般管理費」「労務管理費」といった言葉が頻繁に登場します。これらの用語は、工事現場の運営や会社全体の運営、そして作業員の管理に関連していますが、それぞれの意味や内訳には明確な違いがあります。

本記事では、「現場管理費」「一般管理費」「労務管理費」の違いを詳しく解説し、それぞれの具体的な内訳や計算方法、建設業における重要性について解説します。

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[1] 現場管理費とは?

現場管理費の意味

現場管理費とは、工事現場の運営や管理を行うために必要な費用を指します。工事の進行をスムーズにするために、現場監督や安全管理に関連する費用が含まれます。


現場管理費の内訳

現場管理費には、以下のような費用が含まれます。

項目内容
現場監督の人件費現場を管理する監督者の給与や手当。
安全管理費作業員の安全を確保するための費用(安全教育、保護具の購入など)。
仮設設備費仮設トイレや仮囲い、足場の設置費用。
消耗品費現場での作業に必要な文房具や事務用品などの消耗品費用。
交通費・通信費現場スタッフの移動費や通信機器の使用費用。
電気・水道料金現場で使用する電気や水道の料金。

現場管理費の計算例

例:小規模な建築工事の場合

  • 現場監督の人件費:500,000円
  • 仮設トイレの設置費用:100,000円
  • 安全管理費:50,000円
  • 消耗品費:30,000円

現場管理費=500,000円+100,000円+50,000円+30,000円=680,000円


現場管理費の役割

  1. 工事の進行を円滑にする
     現場管理費は、工事現場の運営に不可欠な費用であり、作業がスムーズに進むための土台となります。
  2. 安全性の確保
     安全管理費用が含まれるため、事故防止や法令遵守に役立ちます。
  3. 工事品質の向上
     現場監督の指導や仮設設備の整備によって、品質管理が徹底されます。

[2] 一般管理費とは?

一般管理費の意味

一般管理費とは、会社全体の運営に必要な費用を指します。直接工事には関係しないが、会社の経営や事務作業に関わる経費が含まれます。


一般管理費の内訳

一般管理費には、以下のような項目が含まれます。

項目内容
事務所維持費家賃、光熱費、通信費などの事務所運営費用。
人件費事務員や経理スタッフの給与や社会保険料。
広告宣伝費新規顧客獲得や企業ブランディングのための費用。
福利厚生費社員旅行、保険料、退職金積立金など。
交際費取引先との関係を構築するための接待費や贈答品費用。
その他経費雑費、会議費、書類作成費など。

一般管理費率の目安

工事価格に占める一般管理費の割合は、会社規模や経営方針により異なりますが、以下が目安です。

工事規模一般管理費率(目安)
小規模工事5~8%
中規模工事8~12%
大規模工事12~15%

一般管理費の重要性

  1. 企業の安定運営を支える
     会社の運営に必要な経費を補填することで、安定した経営が可能となります。
  2. 見積書作成に影響
     一般管理費は見積書に含める必要があるため、正確な計上が重要です。

[3] 労務管理費とは?

労務管理費の意味

労務管理費とは、作業員や従業員の労務に関わる費用や管理活動にかかる経費を指します。人件費や福利厚生費、安全教育費用が含まれます。


労務管理費の内訳

項目内容
人件費作業員の給与、残業代、賞与など。
法定福利費社会保険料、労働保険料などの法律で定められた福利厚生費用。
安全教育費作業員への安全教育や訓練に必要な費用。
採用費新規作業員や従業員を採用する際の広告費や面接費用。

労務管理費の計算方法

例:中規模な工事現場の場合

  • 人件費:2,000,000円
  • 法定福利費:200,000円
  • 安全教育費:50,000円

労務管理費=2,000,000円+200,000円+50,000円=2,250,000円


労務管理費の役割

  1. 人材の確保と育成
     採用費や教育費を適切に計上することで、作業員のスキル向上と定着率の向上が期待されます。
  2. 安全性の向上
     安全教育費が含まれるため、現場の労働災害を防ぐことが可能です。
  3. 労働環境の整備
     福利厚生費用を充実させることで、働きやすい環境を提供します。

[4] 現場管理費・一般管理費・労務管理費の違いを比較

項目現場管理費一般管理費労務管理費
対象工事現場の運営・管理会社全体の運営費用作業員・従業員の管理に関連
主な内容現場監督費、安全管理費など家賃、事務員給与、交際費など人件費、法定福利費、安全教育費
工事価格への影響工事ごとに直接的に反映される間接的に反映される工事の進行と品質に大きく影響

[5] 見積書作成時の注意点

  1. 内訳を明確に記載する
     発注者が確認しやすい形で現場管理費、一般管理費、労務管理費を分けて記載する。
  2. 費用を過少・過大に設定しない
     実際のコストを反映しないと、利益の確保や信頼性に影響が出る。
  3. 最新のデータを使用
     法定福利費や人件費の最新データを定期的に確認し、正確に反映する。

まとめ

「現場管理費」「一般管理費」「労務管理費」は、それぞれ役割や対象が異なりますが、いずれも工事価格の計算や会社運営において重要な要素です。正確な内訳の把握と計上を行うことで、工事の効率化や利益率の向上、作業員の安全確保につながります。

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