お役立ちコラム

出面管理

出面(でめん)とは?建設現場での労務管理に欠かせない基本知識

建設業界では日々、さまざまな職人や作業員が現場で作業を行います。そうした**「誰が、いつ、何時間、どの作業をしたのか」**を正確に把握するために用いられるのが、いわゆる「出面(でめん)」です。
「出面」とは、労働者が現場に出てきた「出勤実績」や「稼働時間」を記録する概念のことであり、建設現場の労務管理や原価管理を行ううえで非常に重要な要素となります。本記事では、出面 と は何かという基本的な定義から、出面 帳の使い方・管理方法、さらにはトラブルを防ぐための注意点などをわかりやすく解説します。

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参考記事:出面表の概要や書き方とは?無料テンプレートや管理アプリも紹介!
参考記事(外部サイト):職人管理の必要性とは?効率的な職人管理の方法も解説!

出面とは

出面の基本的な定義

「出面(でめん)」とは、簡単に言えば**「作業員や職人の出勤実績」を指す建設業特有の用語です。例えば、大工や鉄筋工、電気工など職種ごとに、何人が何時間働いたか、あるいは日給制なのか、時給制なのか**といった情報をまとめて記録します。
工事現場で働く従業員は、正社員だけでなく、協力会社の職人や一時的なアルバイトなど多岐にわたります。そのため「誰がどの現場で、どれだけ働いたか」を正しく管理しなければ、賃金の支払いや工程管理、さらにはコスト計算の段階で混乱を招きかねません。

建設業界における出面の重要性

  1. 人件費の把握
    出面を正しく把握することで、実際にかかった人件費を正確に計算できます。工事の採算を管理するうえで欠かせない情報です。
  2. 工程管理
    出面のデータをもとに、どの工程にどれだけ人員を配置したかを振り返り、今後の工事計画に活かすことができます。
  3. 請求書・支払明細の作成
    下請けや協力会社との契約形態によっては、出面を根拠に請求や支払を行うケースもあります。
  4. 労働時間の適正管理
    長時間労働や残業時間を把握し、安全管理や労務コンプライアンスの観点で問題が生じていないかチェックするためにも役立ちます。

出面帳の役割と使い方

出面帳とは

「出面帳」とは、出面を記録するための台帳やシステムを指します。かつては紙ベースが一般的でしたが、近年ではクラウドやアプリで管理する企業も増えています。出面帳には通常、以下のような項目を記載します。

  • 現場名・工事件名
  • 職人・作業員の氏名
  • 所属会社・協力会社名
  • 作業日・作業時間(開始〜終了)
  • 職種や作業内容(大工、鉄筋工、内装工など)
  • 備考(天候、休憩時間、残業の有無など)

出面帳の作成タイミング

多くの現場では、毎日週ごとに出面帳を更新します。現場の規模が大きければ、一日ごとに集計しないと把握が難しくなるでしょう。担当者(現場監督やリーダーなど)は、その日の作業後に出面帳を確認し、翌日の朝礼などで差異がないかを職人たちと共有するケースもあります。

出面の集計と報告

出面帳に記載された情報は、工事全体の原価管理や支払業務の根拠となります。例えば、下請け会社に支払う場合は「○月○日、大工5名が合計40時間作業」などのデータから、請求金額を算出します。
集計方法が煩雑な場合は、エクセルクラウド管理システムを活用することでミスを防ぎ、確認作業のスピードを上げることが可能です。

出面管理が果たすメリット

1. 効率的な原価管理

建設業で最もコストがかかりやすいのが人件費です。出面がしっかり管理されていれば、人件費の把握が正確になり、予算オーバーを未然に防ぎやすくなります。また、施工体制台帳との照合や、工程別に分析を行うことで、どの工程に最も人員がかかっているかを可視化することができます。

2. 不払い・過払いの防止

下請けや協力会社が絡むと、請求内容の確認には常に慎重さが求められます。出面のデータが不十分だと、不当に高額な請求を見落とす可能性や、逆に正当な分を支払わずトラブルになるケースも起こり得ます。出面管理を徹底すれば、公正な金額をスムーズに算出できるため、余計なトラブルを回避できます。

3. 労働安全衛生管理

出面を管理していると、一人ひとりの労働時間や残業時間が見えてきます。法定労働時間を超過していないか、休日出勤が多すぎないかなど、安全管理健康管理の面でも早期に問題点を把握することが可能です。労災リスクやメンタルヘルスケアの視点からも、現場全体で適切な労働環境をつくりやすくなります。

出面管理で気をつけるべきポイント

1. 重複カウントの防止

特に大規模現場や複数現場を掛け持ちする場合、同じ作業員が別の現場で働いた時間まで記録してしまうと、ダブルカウントが起こる恐れがあります。誰がどの現場にいたかを区別して記入し、混在しないように配慮が必要です。

2. 記録の精度向上

出面帳を紙ベースで管理している場合、手書きの読み間違いや書き忘れ、書式ミスなどが起きやすい傾向にあります。デジタルツールやアプリを活用すると、自動集計日々のバックアップが行いやすく、正確性と効率が高まります。

3. 個人情報とプライバシー

出面管理には作業員の氏名や所属会社名などが含まれるため、個人情報保護の観点も重要です。アクセス権限を制限し、不要な場面で第三者が情報を閲覧できないように注意しましょう。

4. 法令遵守とエビデンス

万が一、労使トラブルや賃金未払い問題が発生した場合、正確な出面が法的エビデンスとして役立ちます。出面は法的にも重要な書類となり得るので、改ざんや紛失を防ぐためのルールづくりを行うことが望ましいです。

出面管理の効率化に役立つツール

1. クラウド型労務管理システム

複数の現場を一括管理でき、出面情報をリアルタイムで共有することができます。作業員がスマートフォンを使って出退勤を打刻できる仕組みもあり、正確性とスピードの両面で利点があります。

2. エクセルテンプレート

大規模なシステム導入が難しい場合、エクセルを使った出面テンプレートを作成するのも一手です。VLOOKUPやSUMIFなどの機能を使えば、作業員別・日付別などで簡易的な集計が可能になります。

3. タイムカードとの連動

勤怠管理としてタイムカードを導入している場合、タイムカードのデータを出面に転記していく方法もあります。ただし、職種や作業内容など細かい情報は別途記入が必要となるため、部分的な併用が中心となるでしょう。

トラブルを防ぐための対策

1. 毎日の確認と修正

出面は日々の記録が命です。週末や月末にまとめて作業すると、人の記憶違いや漏れが増え、正確性が失われます。必ずその日のうち、もしくは翌日には確認する習慣を定着させることが大切です。

2. 契約内容との整合性をチェック

下請けや協力会社と契約する際、「日給制」「時間給制」「出来高制」などの契約形態を明確にし、出面管理の方法を相手方とも擦り合わせておきます。後から支払い条件で揉めないよう、契約内容と出面の記録項目が食い違っていないかをチェックしましょう。

3. 定期的な内部監査

現場ごとの管理者任せにしていると、手順や基準がバラバラになりがちです。定期的に内部監査巡回チェックを行い、出面の記載ルールが守られているか、業務フローに問題がないかを確認します。

まとめ

建設業界において、出面は労務管理やコスト管理に欠かせない重要な概念です。出面を正確に把握することで、

  • 人件費や原価を適切にコントロールできる
  • 下請け・協力会社との金銭トラブルを回避できる
  • 長時間労働や安全面のリスクを早期に察知できる

といった大きなメリットがあります。
一方で、現場ごとに人員や作業内容が異なる建設業特有の事情から、出面管理は手間がかかりやすく、記録漏れやミスが起きやすいのも事実です。デジタルツールやエクセル、クラウドシステムなどを上手に使い、誰もが正しく簡単に運用できる環境を整えることが、出面管理成功の鍵となるでしょう。
ぜひ本記事を参考にして、出面 と は何かを改めて理解し、実務に役立つ出面 帳の活用を進めてみてください。現場管理の精度が上がるだけでなく、作業員への配慮や安全管理の向上にも大いに貢献するはずです。

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