【工程表】ガントチャート式工程表とは?使い分けや特徴について解説。
公開日:2024.12.15
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プロジェクト管理や工程管理で活躍する「ガントチャート式工程表」。特に、建設現場や開発プロジェクトでは、効率的なスケジュール管理と進捗の可視化が重要です。ガントチャートは、その視覚的な特長から多くの現場で活用されていますが、同じく工程表として知られるバーチャートとの違いや、それぞれの使い分けについて十分に理解していますか?
この記事では、ガントチャート式工程表の特徴や使い分け、作成方法、そしてエクセルを活用した実践的な作り方について詳しく解説します。プロジェクト成功のために必要な工程表管理の基礎を学びましょう。
[1] ガントチャート式工程表とは?
1-1. ガントチャートの定義と特徴
工程表には以下のように多くの種類があります。必要な場面に応じた工程表選びが重要です。
・ガントチャート工程表
・バーチャート工程表
・グラフ式工程表
・工程管理曲線
・ネットワーク工程表
ガントチャート工程表は、縦軸に作業項目、横軸に時間を配置した工程管理ツールで、作業期間や進捗状況を一目で確認できる形式の工程表です。1917年にアメリカのヘンリー・ガントが考案したことから、その名前が付けられました。
主な特徴
- 視覚的な進捗管理:作業の開始日、終了日、進捗率をバーで表現。
- 依存関係の表示:作業間の依存関係を線で示すことが可能。
- 簡単な調整:スケジュールの変更やリスケジュールが容易。
1-2. ガントチャートとバーチャートの違い
工程表として知られるバーチャート(棒グラフ式工程表)は、ガントチャートと似た構造を持ちますが、以下の点で異なります。
項目 | ガントチャート | バーチャート |
---|---|---|
目的 | スケジュールの進捗と依存関係を可視化 | 期間や作業量を棒グラフで示し、全体像を把握 |
依存関係の表示 | 作業間の依存関係を矢印で表現可能 | 依存関係は表示しない |
視覚的理解度 | スケジュール変更時の調整や進捗の追跡が簡単 | シンプルだが、詳細な追跡には不向き |
適用シーン | 長期プロジェクトやタスク間の関係が複雑な場合に適している | 短期的な計画や簡易的な工程表が必要な場合に利用 |
1-3. ガントチャートが選ばれる理由
- 詳細なタスク管理:プロジェクト全体を分解し、細かいタスクを管理可能。
- リスク管理に優れる:スケジュールの遅延を早期に発見。
- ツールの汎用性:Excelやプロジェクト管理ソフトで簡単に作成可能。
[2] ガントチャート式工程表の使い方とメリット
2-1. 使い方の基本
ガントチャートの基本構造は以下の通りです。
- タスクの設定:プロジェクト全体を構成するタスクを列挙。
- 期間の設定:各タスクの開始日と終了日を設定。
- 依存関係の確認:作業間の依存関係を確認し、矢印で表示。
- 進捗の記録:進捗率を随時更新。
2-2. メリット
1. 一目で全体像を把握
全体のスケジュールと進捗状況を視覚的に確認できるため、プロジェクトの現状をすぐに把握可能。
2. リスク管理の強化
タスク間の依存関係や遅延リスクが明確になり、早期の対応が可能。
3. コミュニケーションの円滑化
関係者間でスケジュールを共有する際、視覚的な資料としての価値が高い。
[3] エクセルを使ったガントチャートの作成方法
ガントチャートは専門ツールを使わなくても、Excelを活用して作成することもできます。Excelを利用することで、導入コストを抑えつつ、カスタマイズ性の高い工程表を作成できます。
3-1. ガントチャート作成の手順
手順1:基本データを入力
- 縦軸にタスク名(例:設計、施工、検査)を入力。
- 横軸に日付を入力(例:2024年1月1日~1月31日)。
- 各タスクの開始日と終了日を列として設定。
手順2:バーを作成
- 条件付き書式を活用:
- 「開始日」から「終了日」までのセルに色を付ける条件を設定。
- 色付きバーが、タスクの期間を表すようにします。
手順3:進捗状況を追加
- 各タスクの進捗率を別列に追加。
- 進捗バーを重ねる形で条件付き書式を設定し、進捗状況を視覚化。
手順4:依存関係の表示
- 簡易的な依存関係はコメントや矢印の描画ツールを活用。
3-2. Excelでのガントチャート作成のメリット
- 導入コストがゼロ
Excelは多くの企業で利用されており、追加費用が発生しません。 - カスタマイズ性が高い
セルやグラフを自由に調整して、プロジェクトに応じた工程表を作成できます。
3-3. Excelのガントチャート工程表の限界
Excelは簡単で便利ですが、更新した情報をリアルタイムで関係メンバー全員と共有したり、現場から工程情報を更新することはできないため、管理する案件や工程が多くなると限界を迎えます。
Excel管理の限界に直面した場合には、Anymore施工管理に代表される施工管理アプリの利用を検討しましょう。
[4] ガントチャートの活用例:進捗管理の具体例
ガントチャートを活用することで、進捗管理が非常に効果的になります。以下は、建設プロジェクトでの具体的な利用例です。
4-1. 建設プロジェクトでの活用
工程例:ビル建設
- 設計段階(1月1日~2月15日)
- CADデザイン、構造計算。
- 施工準備(2月16日~3月10日)
- 資材調達、施工計画の策定。
- 基礎工事(3月11日~4月30日)
- 掘削、基礎コンクリート打設。
- 上部構造工事(5月1日~7月31日)
- 鉄骨組み立て、内装工事。
4-2. 進捗率の可視化
進捗状況の表示
- タスクごとに進捗率を入力(例:50%完了)。
- 進捗バーをタスクバーに重ねて表示し、視覚的に把握。
トラブル対応
- ガントチャート上で遅延が発生した箇所を強調表示。
- 依存タスクへの影響を分析し、スケジュールを再調整。
[5] ガントチャート式工程表とバーチャートの使い分け
工程表を活用する際、ガントチャートとバーチャートを適切に使い分けることで、プロジェクト管理の効率がさらに向上します。それぞれの特性を理解し、目的に応じた形式を選びましょう。
5-1. ガントチャートが適している場合
ガントチャートは以下のような状況で特に有効です。
- タスクの依存関係が多い場合
- 複雑なプロジェクトでは、タスク間の依存関係を明確にすることが重要です。ガントチャートは依存関係を矢印で表示できるため、スケジュール調整に役立ちます。
- 進捗をリアルタイムで追跡したい場合
- ガントチャート上で進捗率を可視化できるため、プロジェクトの現状を即座に把握できます。
- 長期プロジェクトの場合
- 多くのタスクが含まれる長期的なプロジェクトでは、ガントチャートの視覚的な構造が進捗管理に適しています。
5-2. バーチャートが適している場合
バーチャートは、シンプルな工程表が必要な場合や短期的なプロジェクトで効果を発揮します。
- 短期プロジェクトの場合
- 短期間で終了するプロジェクトでは、簡潔な表示が可能なバーチャートが適しています。
- 依存関係が少ない場合
- タスク間の依存関係がほとんどない場合、バーチャートで十分対応可能です。
- 全体像の把握が目的の場合
- スケジュール全体の大まかな流れを確認するには、シンプルなバーチャートが効果的です。
5-3. ガントチャートとバーチャートの併用
プロジェクトの規模やフェーズによっては、ガントチャートとバーチャートを併用するのも一つの方法です。
- プロジェクト全体をバーチャートで把握し、詳細なタスク管理にはガントチャートを利用する。
- 短期的なタスクの進捗確認にはバーチャート、依存関係やリスク管理にはガントチャートを活用。
[6] まとめ
ガントチャート式工程表は、視覚的で分かりやすい進捗管理ができるため、建設業やプロジェクト管理において広く利用されています。バーチャートとの違いを理解し、それぞれの特徴に応じた適切な形式を選択することで、プロジェクトの成功率を大幅に高めることが可能です。
この記事の要点
- ガントチャートはタスクの依存関係や進捗管理に優れる。
- バーチャートは短期プロジェクトやシンプルな管理に適している。
- エクセルを活用したガントチャートの作成方法はコスト効率が高い。
- Anymore施工管理のような施工管理アプリを利用することでさらに効率的な管理が可能。
プロジェクトの規模や目的に応じて、最適な工程表を選びましょう。建設業界や他の業種でのプロジェクト管理において、ガントチャート式工程表の導入は、生産性向上やトラブル防止に直結します。