【建設業】注文請書とは?注文請書の記載方法や収入印紙について解説。
公開日:2024.12.15
▼ 目次
建設業において、注文請書(うけしょ)は発注者からの注文内容を受注者が正式に承諾したことを示す重要な書類です。契約の証拠としての役割を果たすこともあり、法律上の効力や収入印紙の貼付義務について正確に理解しておく必要があります。本記事では、注文請書の基本的な意味や記載方法、収入印紙に関する注意点について詳しく解説します。
[1] 注文請書とは?
注文請書の基本的な意味
注文請書とは、建設業や工事において、発注者が発行した注文書に対して、受注者がその内容を承諾したことを示す書類です。注文書とセットで作成されることが多く、契約書としての補完的な役割を持つこともあります。
注文請書には、以下のような内容が記載されます。
- 受注者が注文内容を確認し承諾した旨
- 工事内容や金額
- 契約日や納期
- 双方の署名または押印
注文請書の役割
- 契約の証拠書類
発注者と受注者間での合意を証明するための書類です。 - トラブル防止
事前に双方で合意した内容を明文化することで、後のトラブルを未然に防ぎます。 - 法的効力の補完
契約書がない場合や簡易契約の場合、注文書と注文請書のセットで契約行為を成立させることができます。
[2] 注文請書と契約書の違い
注文請書は、契約書とは異なる性質を持ちます。以下に両者の違いを比較します。
項目 | 注文請書 | 契約書 |
---|---|---|
役割 | 注文内容を承諾した証明として作成される | 双方の合意に基づく正式な契約内容を明記する |
作成のタイミング | 発注者が注文書を発行した後に受注者が作成 | 双方が契約を締結する際に作成 |
記載内容の詳細度 | 注文内容の承諾や確認に焦点を当てた簡易的なものが多い | 契約条項や責任範囲など詳細な内容を明記 |
収入印紙 | 契約行為に該当する場合、収入印紙の貼付が必要 | 契約金額に応じて必ず収入印紙を貼付 |
[3] 注文請書の記載方法
注文請書を作成する際は、発注者と受注者間の契約内容が明確になるよう、以下の項目を正確に記載する必要があります。
注文請書の基本フォーマット
項目 | 内容 |
---|---|
表題 | 「注文請書」と明記します。 |
発注者情報 | 発注者の会社名、住所、担当者名を記載します。 |
受注者情報 | 受注者の会社名、住所、担当者名を記載します。 |
工事内容 | 工事の名称や内容を簡潔に記載します。 |
契約金額 | 契約金額(税込・税抜を明記)を記載します。 |
納期・工期 | 工事の開始日、完了日または納品日を記載します。 |
承諾の文言 | 「上記内容を承諾します」など、注文内容を承諾した旨を記載します。 |
署名・押印 | 受注者の署名または会社印を記載します。 |
注文請書のテンプレート
Anymore施工管理では、注文書・注文請書をセットで作成できる無料のエクセルテンプレートを提供しています。非常にシンプルで使いやすいテンプレートなので、ほぼ全ての業種で活用いただけます。
具体例:注文請書の記載例
注文請書
注文請書
発注者:株式会社〇〇
住所:東京都新宿区〇〇町〇〇-〇〇
担当者:山田太郎
受注者:株式会社△△
住所:東京都渋谷区△△町△△-△△
担当者:佐藤花子
工事内容:〇〇ビル新築工事
契約金額:5,000,000円(税込)
工期:2024年1月1日~2024年3月31日
上記内容を承諾いたしました。
株式会社△△
代表取締役 佐藤花子
印
[4] 注文請書と収入印紙
収入印紙の必要性
注文請書に収入印紙が必要かどうかは、以下の条件に該当するかで判断されます。
- 契約行為に該当する場合
注文請書が単なる確認書ではなく、契約金額や支払い条件が明記され、契約行為の一部として機能する場合、収入印紙が必要です。
収入印紙の税額
収入印紙の税額は、契約金額に応じて異なります。以下は、主な税額の一覧です。なお、注文請書に記載の金額が100万円を超え、なおかつ、2014年4月1日から2027年3月31日までの間に作成されるものに関して、軽減措置が取られています。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
金額の記載のないもの | 200円 | |
1万円未満 | 非課税 | 非課税 |
100万円以下 | 200円 | 200円 |
100万円を超え 200万円以下のもの | 400円 | 200円 |
200万円を超え 300万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
300万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え 5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
収入印紙が不要なケース
以下の場合、収入印紙は不要です。
- 契約金額が明記されていない場合
単なる注文内容の確認書としての役割に留まる場合は課税対象外です。 - 電磁的記録(電子契約)の場合
電子契約書は印紙税法の課税対象外です。
[5] 注文請書作成時の注意点
1. 契約内容を明確にする
注文請書には、工事内容や契約金額を明確に記載することで、後のトラブルを防ぎます。
2. 発注者と受注者間で確認する
作成した注文請書を発注者に提出し、内容が合意されていることを確認することが重要です。
3. 収入印紙の貼付忘れに注意
課税対象となる場合は、適切な収入印紙を貼付し、割り印を行うことで法的効力を確保します。
[6] 注文請書と電子契約の活用
近年では、電子契約の普及により、注文請書や注文書もデジタル化が進んでいます。
電子契約のメリット
- 印紙税コストの削減
電子契約書には印紙税が課税されないため、コスト削減につながります。 - 契約プロセスの迅速化
インターネットを活用して即座に契約を締結可能です。
[7] まとめ
注文請書は、発注者と受注者の間で契約内容を確認し、トラブルを未然に防ぐために欠かせない書類です。適切な記載と収入印紙の貼付を徹底することで、法令遵守を確保できます。
電子契約の活用も進んでおり、これを併用することでコスト削減や業務効率化を図ることが可能です。本記事を参考に、適切な注文請書の作成と管理を実践してください。