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人工代・人工出しとは?人工代の計算方法、相場について解説

【建設業】人工代・人工出しとは?人工代の計算方法、相場について解説。

建設業や工事現場で頻繁に使われる「人工代」や「人工出し」という言葉。これらは、工事費用の計算や予算管理に欠かせない重要な要素です。本記事では、「人工代」の基本的な意味や計算方法、相場について詳しく解説します。また、人工計算の方法や工事請求書での記載方法も紹介しますので、建設業務に携わる方にとって役立つ情報をお届けします。

関連記事:見積書での人工代の見積もり方法は?労務費との違いやポイントを解説。


[1] 人工代とは?基本的な意味と用語の解説

人工代の意味

「人工代(にんくだい)」とは、建設業において作業員1人が1日働いた際に発生する費用のことを指します。1日分の労働にかかるコストを基準に、工事全体の費用を計算する際に使用されます。「一人工(いちにんく)」や「1人区(1人く)」とも呼ばれることがあります。


人工代に関連する用語の解説

用語意味
人工(にんく)1人の作業員が1日でこなせる作業量やその費用を指す。
一人工(いちにんく)人工と同じ意味で、1日分の作業費用を表現。
人区(じんく)主に関西地域で使用される「人工」の別称。
手間代職人が作業する際の労働費用、人工代と同義。
常用(じょうよう)1日単位で職人を雇用し、人工代を計算する契約形態。

[2] 人工代の計算方法

人工代の基本計算式

人工代は、以下の計算式で算出します。

人工代=人工単価×作業員数×作業日数


例:人工代の計算

電気工事の場合

  • 人工単価:25,000円
  • 作業員数:3名
  • 作業日数:10日

人工代=25,000円×3人×10日=750,000円

塗装工事の場合

  • 人工単価:20,000円
  • 作業員数:2名
  • 作業日数:5日

人工代=20,000円×2人×5日=200,000円


残業代の計算

残業代は、通常の人工単価に時間外労働の割増率を掛けて算出します。割増率は以下の通りです。

  • 法定時間外:1.25倍
  • 深夜労働:1.50倍
  • 休日労働:1.35倍

例:残業代計算

  • 人工単価:25,000円
  • 残業時間:2時間
  • 割増率:1.25倍

残業代=(25,000円÷8時間)×2時間×1.25=7,812円


[3] 人工代の相場

作業内容別人工単価の相場

人工単価は作業内容や地域によって異なります。以下に主な工事内容別の相場を示します。

作業内容人工単価(福岡)人工単価(大阪)人工単価(東京)人工単価(北海道)
普通作業員21,900円21,800円25,400円20,000円
電工24,100円24,300円30,100円25,300円
塗装工26,900円29,000円32,700円27,800円
とび工27,000円28,000円31,200円27,700円

参考:国土交通省「令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価

職長手当について

職長とは、現場で作業員を統率し、進捗管理や安全管理を行う役割を持つリーダー的存在です。職長手当は、通常の人工単価に追加されることが一般的です。

  • 職長手当相場:5,000~10,000円/日

例:職長手当の計算

  • 基本人工単価:25,000円
  • 職長手当:5,000円

総人工単価=25,000円+5,000円=30,000円


[4] 請求書での人工代の記載方法

請求書作成時のポイント

請求書に人工代を記載する際は、内訳を明確に示し、発注者が内容を確認しやすいようにすることが重要です。

記載例:請求書の内訳

項目単価(円)数量小計(円)
基礎工事人工代20,00010人工200,000
材料費50,000
消費税(10%)25,000
合計275,000

消費税の扱い

インボイス制度が導入された2023年以降、適格請求書では以下の点が重要です。

  1. 税抜価格と税込価格を明記
  2. 適格請求書発行事業者番号の記載
  3. 税率ごとの消費税額を分けて記載

インボイス対応請求書の例

項目内容
請求書番号00123
発行日2024年4月1日
発行者番号T1234567890123
税抜金額200,000円
消費税額20,000円
税込金額220,000円

[5] 工期と人工計算の関係

工期は、1日に必要な作業員数に影響を与えますが、総人工数が変わらなければ人工代も変わりません。ただし、短い工期で作業を完了させるためには、作業員の配置やスケジュール管理がより重要になります。

例:工期別人工計算

  • 工期:10日間
    必要人工数:50人工(1日あたり5名 × 10日)
    人工代:1,250,000円(25,000円 × 50人工)
  • 工期:5日間
    必要人工数:50人工(1日あたり10名 × 5日)
    人工代:1,250,000円(25,000円 × 50人工)

ポイント:
工期が短縮されると、1日あたりに必要な作業員数が増加しますが、総人工数が変わらない場合、人工代の合計金額は変わりません。ただし、短期間で多くの作業員を手配する必要があるため、段取りや調整の負担が増える可能性があります。


[6] 人工代計算を効率化する方法

エクセルテンプレートの活用

エクセルテンプレートを使用すれば、人工代や工事費用の計算が効率化されます。

テンプレート例

項目単価(円)数量小計(円)
基礎工事人工代20,00010人工200,000
消費税(10%)20,000
合計220,000

管理ツールの活用:Anymore施工管理

Anymore施工管理は、人工代計算や請求書作成を効率化するためのツールです。

特徴:

  • 自動計算機能でミスを防止。
  • クラウド保存でデータ管理が簡単。
  • インボイス対応の請求書を即時作成可能。

まとめ

人工代は建設業における費用計算の基本であり、工事の予算管理や請求書作成に欠かせない要素です。正確な人工計算と相場の把握、適切な請求書の記載によって、発注者との信頼関係を築くことができます。

本記事を参考に、効率的な人工計算と請求書作成を行い、建設業務を円滑に進めましょう。

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