お役立ちコラム

積算と見積りとの違いとは?計算方法・書き方・積算基準を解説

積算と見積りとの違いとは?計算方法・書き方・積算基準を解説。

建設業や建築業界において、工事費用を算出する際に欠かせない「積算」と「見積り」。一見似ているように見えますが、それぞれ役割や目的が異なります。本記事では、積算と見積りの違いをわかりやすく解説し、それぞれの計算方法や書き方、さらに積算基準の重要性について詳しく解説します。


[1] 積算と見積りの違いとは?

積算とは?

積算とは、工事費用を構成するさまざまな要素を細かく計算し、総工事費を算出することです。設計図書や仕様書をもとに、必要な材料や作業量を計上し、それぞれの単価を掛け合わせて工事全体の費用を求めます。

特徴

  • 工事費用を正確に算出するための技術的作業。
  • 設計者や発注者が行うことが多い。
  • 施工業者が作成する「見積り」の基準となる。

見積りとは?

見積りとは、積算を基に施工業者が実際の工事にかかる費用を提示することです。材料費や労務費に加え、業者独自の利益や経費を反映させた内容となります。

特徴

  • 施工業者が発注者に提示する工事費用。
  • 積算を基に、具体的な金額を明示。
  • 実際の受注に向けた交渉材料となる。

積算と見積りの違いを比較

項目積算見積り
作成者設計者、発注者施工業者
目的工事費の算出、予算の把握工事受注に向けた提案書の作成
内容設計図書や仕様書に基づく正確な計算積算に基づき、利益や経費を加算
使用場面発注者側の予算計画や入札基準の策定施工業者と発注者の契約交渉

[2] 積算の計算方法と書き方

積算の基本的な計算方法

積算は、以下の3つの要素を組み合わせて計算します。

  1. 直接工事費
    • 材料費:必要な資材の数量と単価を掛け合わせて算出。
    • 労務費:作業員の人件費(人工単価 × 人数 × 日数)。
    • 施工機械費:重機や建設機械の使用費用。
  2. 間接工事費
    • 現場管理費:現場監督や安全管理に必要な費用。
    • 現場経費:仮設トイレや事務所の設置費用。
  3. 一般管理費
    • 本社経費:施工会社の運営にかかる費用(人件費や事務経費)。

積算書の書き方

積算書は、工事費用の根拠を明確に示すため、以下の構成で作成します。

積算書の基本構成

項目内容
表紙工事名、工事番号、作成日、作成者名
工事概要工事の目的、工事場所、工期
積算根拠設計図書、仕様書、数量表など
費用明細材料費、労務費、施工機械費の内訳
総費用直接工事費、間接工事費、一般管理費の合計

[3] 見積りの計算方法と書き方

見積りの基本的な計算方法

見積りは、積算で算出された工事費用に加えて、施工業者独自の経費や利益を加算して算出します。

計算式

見積金額=直接工事費+間接工事費+利益

  • 直接工事費:材料費、労務費、施工機械費。
  • 間接工事費:現場経費、管理費用。
  • 利益:施工業者が受注により得る利益。

見積書の書き方

見積書は、発注者が内容を理解しやすいように簡潔かつ詳細に記載する必要があります。

見積書の基本構成

項目内容
表題「見積書」
基本情報発注者名、工事名、作成日、作成者名
費用明細材料費、労務費、施工機械費の内訳
経費・利益現場経費や施工業者の利益額を記載
合計金額費用明細と経費・利益の総額を記載

[4] 積算基準とは?

積算基準とは、工事費に記載する項目の定義や、算定方法などが記載されているものです。
積算の方法には特に法律で定められたルールはありません。一方で、企業が算出した積算に基づいて見積書が作成されたり、予算取りがおこなわれるほか、落札上限価格が設定されることもあります。
また、公共工事の発注においても、積算根拠がそのまま公金を支出するための根拠になるなど、積算は非常に重要な役割を果たします。
積算基準を設けることで、積算を不正に操作することができなくなるため、建設業における公平性を保つことができます。
なお、積算基準には以下のようにいくつかの種類があります。

● 公共建築数量積算基準(国土交通大臣官房官庁営繕部監修)
● 公共住宅建築工事積算基準(公共住宅事業者等連絡協議会等の監修)
● 各社が独自に定めた積算基準

積算基準の重要性

  1. 透明性の確保
    発注者が費用の妥当性を確認するために必要不可欠です。
  2. トラブル防止
    積算基準を明示することで、見積金額に対する誤解を防ぎます。
  3. 入札の公平性確保
    公共工事などで積算基準が共有されることで、入札の公平性が保たれます。

[5] 積算・見積りに役立つツールと実務のポイント

おすすめ管理ツール:Anymore施工管理

Anymore施工管理は、積算や見積り作成を効率化する建設業向けの管理ツールです。

主な機能

  1. 工程表・工程管理:案件ごとに具体的な工程を管理することができ、積算根拠として利用することができます。
  2. 見積書の自動生成:ワンクリックで簡単に見積書を作成することができます。

[6] まとめ

積算と見積りは、工事費用を算出するプロセスにおいて不可欠な手法です。それぞれの違いや目的を理解し、適切に作成することで、発注者と施工業者の間で円滑なコミュニケーションが図れます。また、積算根拠を明確に示すことで、費用の妥当性を証明し、トラブルを防ぐことができます。

エクセルテンプレートやAnymore施工管理のようなツールを活用することで、積算や見積りの作業効率をさらに高めることが可能です。本記事を参考に、正確で信頼性の高い積算・見積りを実現してください!

カテゴリーから探す

タグから探す