お役立ちコラム

施工管理職

施工管理職とは?5大管理の内容とキャリアパスを解説

建設現場では、図面どおりに建物や構造物を完成させるため、多くの職人や協力会社が同時に作業を行います。限られた工期の中で品質と安全を確保しながら工事を進めるには、現場を統括する「施工管理職」の存在が欠かせません。しかし、具体的にどのような仕事をしているのかイメージしづらい方も多いのではないでしょうか。
本記事では、施工 管理 職 と は 何かをはじめ、工事全体を円滑に進めるための施工 管理 5 大 管理のポイントや、実際の施工 管理 業務の内容、さらにキャリアパスと必要な資格について詳しく解説します。施工管理の仕事に興味がある方や、これからキャリアを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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参考記事:施工管理の仕事とは?業務内容や必要なスキル、年収、利用するアプリを解説。
参考記事(外部サイト):施工管理の人手不足は解消できる!9の原因と3つの解決策、事例を解説

施工管理職とは

施工管理職の定義

「施工管理職」は、建設現場の全体を統括し、品質・工程・安全・原価・環境といった要素を総合的にマネジメントするポジションです。工事の進捗をコントロールし、設計図や仕様書で求められる品質を守りながら、安全面に配慮して作業を進めることが大きな役割となります。
具体的には以下のような業務を担当するケースが一般的です。

  • 工事のスケジュール作成や進捗管理
  • 作業員や協力会社への指示、作業内容の確認
  • 品質検査や安全対策の実施
  • 原価(コスト)や工期の管理
  • 発注者や社内への報告、調整

現場監督との違いは?

施工管理職は「現場監督」と同義で使われる場合が多いですが、厳密には少し役割や視点が異なることがあります。現場監督が現場の作業指示や安全確認に特化しているのに対し、施工管理職はそれに加えて、工程表の作成や予算の管理、発注者との折衝など、より幅広い業務を担うことが少なくありません。とはいえ、実際の現場では両方の役割を兼務し、「施工管理=現場監督」として扱われるケースも多々あります。

施工管理職が押さえるべき5大管理

施工管理職には「5大管理」と呼ばれる重要な業務領域があります。これは、品質管理・工程管理・安全管理・原価管理・環境管理の5つを指し、どれも工事の円滑な進行や結果の品質に直結する大切な要素です。

品質管理

設計図や仕様書に記載されている品質基準を満たすため、工事の各段階で検査や確認を行います。材料の受け入れ段階から施工過程のチェックまで、建物の完成度耐久性に関わる点を厳しくチェックするのが品質管理の役割です。

  • コンクリートの配合や試験
  • 鉄筋や鉄骨の正しい配筋・組立状況の確認
  • 仕上げの精度や外壁の防水処理などの点検

品質不良があれば工事のやり直しが発生し、工期やコストにも大きく影響します。そのため、日々の確認作業と記録(写真撮影や検査報告書の作成など)が欠かせません。

工程管理

工期(納期)を守るために、どのタイミングでどの作業を進めるかをスケジュール化し、進捗を管理するのが工程管理です。雨天などの天候要因や資材の納期、作業員の確保状況など、さまざまな要素でスケジュールが左右されるため、臨機応変な対応力が求められます。

  • 工事着手前に「工程表」を作成し、各作業の開始時期と完了予定を明確化
  • 進捗を随時チェックし、遅れが出そうな場合には計画を修正 or 追加要員を手配
  • 協力会社との打ち合わせや作業調整

工程が大幅に乱れると工期遅延や余計なコストが発生するため、きめ細かな管理が欠かせません。

安全管理

建設現場は高所作業や重機の使用などリスクの高い作業が多いため、安全管理は最優先課題の一つです。安全教育や保護具の着用、足場の点検などが徹底されていないと、事故や怪我が発生し、工事の進捗や企業の信用に大きなダメージを与えます。

  • 毎日の朝礼での危険予知活動(KY活動)
  • 安全帯やヘルメットなどの保護具着用の徹底
  • 足場や重機、電気配線など危険箇所の定期点検
  • 労働安全衛生法や関連規定の遵守

施工管理職は、安全第一の意識を周知徹底し、作業環境を常にチェックする重要な役割を担います。

原価管理

原価管理とは、工事全体にかかるコストを把握し、予算内で工事を完了させるための管理です。人件費や材料費、機材レンタル費など、多岐にわたる支出を随時確認し、予定よりオーバーしていないかをチェックします。

  • 追加工事や変更工事が生じた際の費用算定
  • 資材発注の見積比較やコストダウンの検討
  • 協力会社への支払い管理

原価が膨れ上がると会社の利益を圧迫するだけでなく、場合によっては工事続行が難しくなる事態に陥ることもあります。施工管理職は、適切なコストコントロールを行うことで、工事の採算性品質を両立させなければなりません。

環境管理

近年、建設現場での環境配慮が強く求められるようになっています。騒音や振動対策、建設廃棄物の分別処理、近隣住民への配慮などを怠ると、クレームやトラブルに発展するリスクがあります。

  • 廃棄物の分別と適切な処理
  • 建設発生土や解体材などの再利用・リサイクル
  • 工事車両の排気ガスや騒音対策
  • 環境マネジメントシステム(ISO 14001 など)の運用

施工管理職はこれらの対策を計画し、現場での実行を監督することで、地域社会や地球環境への負荷を最小限に抑える責任を担っています。

施工管理職の業務内容

業務スケジュール例

施工管理職の1日は、多くの調整ごとや点検業務で埋まります。たとえば、以下のような流れが一般的です。

  1. 朝礼・安全ミーティング
    当日の作業予定を確認し、作業員に注意事項を伝達。
  2. 工程・品質確認
    現場を巡回し、昨日までの作業状況や品質を点検。問題箇所があれば修正指示。
  3. 書類作成・打ち合わせ
    施工計画書や工程表の修正、発注者への報告資料の作成。必要に応じて協力会社と打ち合わせ。
  4. 追加工事・原価管理
    変更や追加が発生した場合の見積作成やコスト検討。
  5. 夕礼・明日の準備
    1日の作業を振り返り、問題を洗い出しながら翌日の作業を確認・調整。

スキルや知識の重要性

施工管理職は、建築・土木分野の専門知識に加え、コミュニケーション能力マネジメント能力、そして問題解決力が求められます。現場にはさまざまな業種のプロが集まるため、作業者からの問い合わせに対して的確な回答をする必要がありますし、トラブルが起こった際には即座に指示を出して対応しなければなりません。
さらに、ITツール(施工管理ソフト、BIM/CIM など)や エクセル等の表計算ソフトを使いこなすスキルも、現代の施工管理では欠かせないものとなっています。

施工管理職のキャリアパス

施工管理技士の資格

施工管理職としてキャリアアップを目指すうえで、「施工管理技士」の資格取得は欠かせません。施工管理技士には以下の種類と区分があり、資格を取得すると現場で主任技術者や監理技術者として配置される要件を満たす場合があります。

  • 建築施工管理技士(1級・2級)
  • 土木施工管理技士(1級・2級)
  • 管工事施工管理技士(1級・2級)
  • 電気工事施工管理技士(1級・2級)
  • 電気通信工事施工管理技士(1級・2級)
    …など、工事の種類に応じて複数の資格が存在

1級を取得すれば、大規模工事の監理技術者として活躍できるなど、任される範囲が広がるため、キャリアアップと報酬アップを狙ううえでも大きなメリットがあります。

その他の関連資格

施工管理技士以外にも、建築士技術士宅地建物取引士など、建設業界での業務知識や信頼度を高める資格は数多く存在します。たとえば建築士の資格を持っていると、構造的なアドバイス法規チェックをより専門的に行えるため、発注者や設計事務所とのやり取りもスムーズになります。

将来的なポジション

施工管理職として経験を積んだ後は、現場所長プロジェクトマネージャーといった管理職にステップアップする道もあります。また、企業によっては経営幹部統括管理者として、多数のプロジェクトを統括・指導する役割を担うことも可能です。最近では、IT技術や環境対策に精通した人材が求められる傾向が強まっており、幅広い知識とスキルを身につけることで、さらに多彩なキャリアパスが開かれています。

施工管理職の将来性と課題

働き方改革とIT化の進展

建設業界では、慢性的な人手不足長時間労働が課題となっており、働き方改革生産性向上が急務となっています。その一方で、施工管理ソフトBIM/CIMドローン測量AI技術の活用など、IT化が急速に進んでおり、これらの新技術を使いこなせる人材は業界内でも高く評価されるでしょう。
施工管理職としてキャリアを積むには、従来の現場管理スキルに加えてデジタルツールを使いこなす力が求められ、まさに新たな価値を創出できる存在となっていきます。

安全・品質に対する期待の高まり

大規模災害やインフラ老朽化などの問題がクローズアップされる中で、施工管理職にはますます高い安全意識品質確保能力が求められています。建設物の品質や安全が損なわれれば、人命にも関わる重大事故となる可能性があるため、施工管理職の責任は非常に重いものです。
同時に、現場でのコミュニケーション力やリーダーシップを備え、周囲を巻き込みながら安全第一を徹底できる人材は大きな評価を得やすくなっています。

キャリア形成のポイント

  • 早めに資格取得を目指す
    2級や1級の施工管理技士を取得することで、より大きな現場や重要なポジションを担当できる可能性が高まります。
  • ITツールに慣れる
    施工管理ソフトやBIM/CIMツールを習得しておくと、作業効率アップや精度の高い管理を実現できます。
  • コミュニケーション・調整力の強化
    多種多様な人が関わる現場で、スムーズに作業を進めるための調整力は欠かせません。折衝力・交渉力も重要です。

まとめ

施工管理職は、工事全体をマネジメントし、スケジュール・品質・安全・コストを最適化する重要なポジションです。いわゆる「現場監督」との業務範囲は重なるものの、施工管理のほうがプロジェクト全体を俯瞰する立場としての意味合いが強い場合も多いでしょう。
**施工 管理 5 大 管理(品質・工程・安全・原価・環境)**をバランス良く把握し、現場での的確な指示や書類管理、調整業務をこなすためには、専門的な知識と実務経験が不可欠です。さらに、IT化が進む現代の建設業界では、新しいデジタル技術を活用できるスキルも大いに求められています。
今後もインフラ整備や都市再開発などの需要は続くと見込まれる一方で、人手不足や長時間労働の是正といった課題にも直面しており、優秀な施工管理職へのニーズはますます高まることが予想されます。資格取得やスキルアップ、キャリアパスを意識した働き方を心がけることで、やりがいと成長の大きい職業としての魅力をより実感できるでしょう。

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