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5種類の工程表を比較【建設業】実施工程表など

「工程表にはどんな種類があるの?」「バーチャートとガントチャートの違いがわからない」「自社の現場に合った工程表を選びたい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

5種類の工程表を比較【建設業】実施工程表など

本記事では、建設業で使われる5種類の工程表(バーチャート、ガントチャート、ネットワーク式、曲線式、グラフ式)を徹底比較。それぞれの特徴・メリット・デメリット・使い分けを解説します。

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工程表とは?基本を理解しよう

工程表とは、工事のスケジュールや作業の手順をまとめた表です。着工から竣工までの各作業を「いつ・どの順番で・どれくらいの期間で」行うかを可視化することで、計画的かつ効率的な施工が可能になります。

工程表を作成することで得られる主なメリットは以下の通りです。

  • 納期の厳守:各工程の予定や進捗状況を把握し、工事遅延を防止
  • 作業効率の向上:適切な人員配置や資材・機材の調達が可能に
  • トラブル対応:天候不良や事故発生時も迅速な日程調整が可能
  • コスト削減:無駄な作業や余剰人員を削減し、労務費・外注費を最適化
  • 情報共有:関係者間での認識統一、施主様への説明資料としても活用

建設業で使われる5種類の工程表

工程表には複数の種類があり、それぞれ特徴が異なります。プロジェクトの規模や目的に応じて適切な工程表を選ぶことが重要です。ここでは、建設業でよく使われる5種類の工程表について詳しく解説します。

①バーチャート工程表

バーチャート工程表は、縦軸に作業項目、横軸に日付を設定し、各作業の期間を横棒(バー)で表す工程表です。建設現場で最も広く使われている代表的な形式で、「棒工程表」とも呼ばれます。

項目内容
縦軸作業項目(基礎工事、躯体工事、内装工事など)
横軸日付・時間
表示方法横棒(バー)で作業開始日〜終了日を表現
主な用途日程管理、スケジュール共有、施主様への説明

バーチャート工程表のメリット:

  • 作成が簡単:縦軸に作業項目、横軸に日付を入れるだけのシンプルな構成
  • 直感的に理解しやすい:建設に詳しくない施主様でもスケジュールを把握可能
  • 修正が容易:日程変更時もバーを動かすだけで対応できる
  • 情報共有しやすい:現場作業員や協力会社との共有に最適

バーチャート工程表のデメリット:

  • 作業間の関連性がわかりにくい:ある作業の遅れが他の作業にどう影響するか把握しづらい
  • クリティカルパスが不明確:最短で工事を完了するための重要経路を特定できない
  • 進捗率の把握が困難:各作業がどの程度完了しているか確認しにくい

バーチャート工程表が向いている現場:

  • 小〜中規模の工事現場
  • 作業工程がシンプルな現場
  • 施主様への説明資料が必要な場合
  • 工程表作成に慣れていない担当者

②ガントチャート工程表

ガントチャート工程表は、縦軸に作業項目、横軸に進捗率を設定し、各作業の進行状況を可視化する工程表です。バーチャートと似ていますが、日程ではなく「進捗状況」を重視している点が大きな違いです。

項目内容
縦軸作業項目(工種・タスク)
横軸進捗率(0%〜100%)
表示方法バーで進捗状況を表現、完了度を数値で表示
主な用途進捗管理、遅延の早期発見、リソース配分の調整

ガントチャート工程表のメリット:

  • 進捗状況を一目で把握:各作業が予定通り進んでいるか、遅れている作業はないか確認可能
  • 複数作業の同時管理に最適:並行して進む作業の進捗を効率的に管理
  • 遅延への早期対応:進捗の遅れをすぐに検知し、人員配置の見直しなど迅速な対策が可能
  • 作成が比較的簡単:バーチャートと同様にシンプルな構成

ガントチャート工程表のデメリット:

  • 日時の把握が難しい:いつ始まり、いつ終わるかという具体的な日程がわかりにくい
  • 工数の把握が困難:各タスクに必要な作業時間が表示されない
  • クリティカルパスが不明確:バーチャートと同様に重要経路の特定が難しい

ガントチャート工程表が向いている現場:

  • 複数の作業を同時並行で進める現場
  • 進捗管理を重視するプロジェクト
  • 遅延リスクの早期発見が重要な案件

③ネットワーク工程表

ネットワーク工程表は、作業の依存関係を矢印(アクティビティ)と結節点(イベント)で示した工程表です。各作業の前後関係や並行作業の可否を視覚的に把握でき、「クリティカルパス」を特定できることが最大の特徴です。

項目内容
表示要素矢印(アクティビティ)=作業、○(イベント)=作業の開始・完了地点
特徴的な概念クリティカルパス、フロート(余裕日数)
代表的な手法アローダイアグラム法(ADM)、プレシデンスダイアグラム法(PDM)
主な用途複雑な工程の依存関係管理、工期短縮の検討

クリティカルパスとは?

クリティカルパスとは、プロジェクト開始から完了までの全作業の中で、最も長い時間を要する作業経路のことです。この経路上の作業は余裕(フロート)がなく、1日でも遅れると全体の工期に影響します。逆に言えば、クリティカルパス上の作業を短縮できれば、工期全体を短縮できます。

ネットワーク工程表のメリット:

  • 作業間の依存関係を明確化:どの作業が終わらないと次に進めないかが一目瞭然
  • クリティカルパスの特定:最も重要な作業経路を把握し、重点管理が可能
  • 工期短縮の検討に有効:どの作業を短縮すれば全体の工期が縮むか分析可能
  • リソース配分の最適化:優先的に人員や機材を投入すべき作業が明確に
  • 柔軟な対応が可能:トラブル発生時も作業順序の見直しがしやすい

ネットワーク工程表のデメリット:

  • 作成が複雑:専門用語やルールの理解が必要で、習得に時間がかかる
  • 直感的なスケジュール把握が困難:時間軸が明示されないため、日程の把握には向かない
  • 個々の進捗状況がわかりにくい:各タスクの細かい進捗管理には不向き
  • 作成できる人が限られる:高いスキルが必要で属人化しやすい

ネットワーク工程表が向いている現場:

  • 大規模・複雑な工事プロジェクト
  • 複数の工種が絡み合う現場
  • 工期短縮やコスト削減が求められる案件
  • リスク管理を重視するプロジェクト

④曲線式工程表(出来高累計曲線・Sカーブ)

曲線式工程表は、縦軸に出来高(進捗率)、横軸に日程を設定し、工事全体の進捗状況を曲線で表す工程表です。「出来高累計曲線」「バナナ曲線」「Sカーブ」とも呼ばれ、工事の進行に伴い曲線がS字を描くことが名前の由来です。

項目内容
縦軸出来高累計(進捗率:0%〜100%)
横軸日程(工期)
表示方法予定曲線と実績曲線、上方・下方許容限界曲線
主な用途工事全体の進捗把握、計画との差異分析、予算管理

曲線式工程表の読み方:

曲線式工程表では、過去のデータから「上方許容限界曲線」と「下方許容限界曲線」を設定します。実際の進捗曲線がこの範囲内であれば順調、下方を下回れば遅延、上方を上回れば先行しすぎ(不経済の可能性)と判断できます。

曲線式工程表のメリット:

  • 工事全体の進捗を一目で把握:計画と実績の差異がすぐにわかる
  • 遅延・先行の度合いを視覚化:許容範囲内かどうか判断しやすい
  • 長期プロジェクトの管理に有効:全体の傾向を俯瞰して把握可能
  • 予算管理との連携:出来高と予算の関係を分析しやすい

曲線式工程表のデメリット:

  • 個々の作業工程がわからない:どの作業がいつ始まり、いつ終わるか把握できない
  • 作業順序・必要日数が不明:細かいスケジュール管理には向かない
  • 作成がやや複雑:過去データからの許容曲線設定が必要
  • 単体での運用は難しい:他の工程表との併用が前提

曲線式工程表が向いている現場:

  • 長期間にわたる大規模プロジェクト
  • 全体の進捗を俯瞰して管理したい場合
  • 発注者への進捗報告が必要な案件
  • 予算管理と工程管理を連携させたい場合

⑤グラフ式工程表

グラフ式工程表は、縦軸に進捗率、横軸に日程を設定し、各作業の進捗状況を曲線やグラフで表す工程表です。バーチャート工程表とガントチャート工程表の特徴を併せ持ち、進捗率と日程の両方を把握できます。

項目内容
縦軸進捗率(出来高比率)
横軸日程(日数・週数など)
表示方法各作業の進捗を曲線やグラフで表現
主な用途進捗と日程の両面管理、作業間の関連性把握

グラフ式工程表のメリット:

  • 進捗率と日程の両方を確認可能:バーチャートとガントチャートの良いとこ取り
  • 作業間の関連性が把握しやすい:ある作業の遅れが他の作業にどう影響するか確認可能
  • 計画と実績の比較がしやすい:予定線と実績線を並べて差異を分析
  • 生産性の把握に有効:進捗の変化を定量的に確認できる

グラフ式工程表のデメリット:

  • 作成方法がやや複雑:バーチャートやガントチャートより手間がかかる
  • 理解に慣れが必要:初めて見る人には読み取りにくい
  • 工種間の相互関係がわかりにくい場合も:複雑な依存関係の表現には限界がある

グラフ式工程表が向いている現場:

  • 進捗管理と日程管理の両方を重視する現場
  • 複数の作業が同時進行する中規模以上の工事
  • 生産性の向上を図りたい現場

5種類の工程表を徹底比較

5種類の工程表の特徴を一覧で比較します。自社の現場に合った工程表を選ぶ際の参考にしてください。

比較項目バーチャートガントチャートネットワーク式曲線式(Sカーブ)グラフ式
縦軸作業項目作業項目-(図式表現)出来高(進捗率)進捗率
横軸日付進捗率-(図式表現)日程日程
日程把握
進捗把握
作業間の関連性×××
クリティカルパス××××
作成の容易さ×
向いている規模小〜中規模小〜中規模大規模・複雑大規模・長期中規模

工程表の使い分けポイント

工程表は、プロジェクトの特性や目的に応じて使い分けることが重要です。以下のポイントを参考に、最適な工程表を選びましょう。

小〜中規模の一般的な工事の場合

おすすめ:バーチャート工程表

住宅やリフォーム、小規模な商業施設の工事では、シンプルで作成しやすいバーチャート工程表が最適です。施主様への説明資料としても活用でき、現場作業員との情報共有もスムーズです。

進捗管理を重視したい場合

おすすめ:ガントチャート工程表 または グラフ式工程表

複数の作業を同時並行で進める現場や、遅延リスクを早期に発見したい場合は、進捗率を可視化できるガントチャート工程表やグラフ式工程表が有効です。

大規模・複雑な工事の場合

おすすめ:ネットワーク工程表

複数の工種が絡み合う大規模プロジェクトでは、作業間の依存関係を明確にし、クリティカルパスを特定できるネットワーク工程表が威力を発揮します。工期短縮やリスク管理に有効です。

全体の進捗を俯瞰したい場合

おすすめ:曲線式工程表(Sカーブ)

長期プロジェクトで全体の進捗傾向を把握したい場合や、発注者への進捗報告が必要な場合は、曲線式工程表が適しています。予算管理との連携にも有効です。

複数の工程表を併用する

実際の現場では、複数の工程表を併用することで、それぞれのメリットを活かした工程管理が可能になります。例えば、日程管理にはバーチャート、進捗管理にはガントチャート、全体の把握には曲線式工程表というように使い分けることで、より精度の高い工程管理を実現できます。

まとめ

本記事では、建設業で使われる5種類の工程表について解説しました。

5種類の工程表まとめ:

  • バーチャート工程表:日程管理に最適、作成が簡単で直感的に理解しやすい
  • ガントチャート工程表:進捗管理に特化、遅延の早期発見に有効
  • ネットワーク工程表:複雑な依存関係の把握とクリティカルパスの特定に最適
  • 曲線式工程表(Sカーブ):全体の進捗を俯瞰、計画との差異分析に有効
  • グラフ式工程表:進捗率と日程の両方を把握、バランスの良い管理が可能

プロジェクトの規模や目的に応じて適切な工程表を選び、効率的な工程管理を実現しましょう。

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