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ガントチャートとバーチャートの違い【建設業】管理方法を紹介

「ガントチャートとバーチャートって何が違うの?」「うちの現場にはどっちが向いている?」「使い分けの基準がわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

ガントチャートとバーチャートの違い【建設業】管理方法を紹介

本記事では、ガントチャートとバーチャートの違いを徹底比較。それぞれの特徴、メリット・デメリット、使い分けのポイントをわかりやすく解説します。建設現場に最適な工程管理方法を見つけるための参考にしてください。

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ガントチャートとバーチャートの基本

まずは、ガントチャートとバーチャートそれぞれの基本を押さえておきましょう。どちらも「横線式工程表」と呼ばれる同じカテゴリに属しますが、目的や表現方法に明確な違いがあります。

バーチャート工程表とは

バーチャート工程表は、縦軸に作業項目、横軸に日時を設定し、各作業の期間を横棒(バー)で表す工程表です。「棒工程表」とも呼ばれ、建設現場で最も広く使われている代表的な形式です。

バーチャートの最大の特徴は、「いつ始まり、いつ終わるか」が一目でわかること。各作業の開始日・終了日・必要日数が明確になるため、全体のスケジュールを直感的に把握できます。

項目内容
縦軸作業項目(基礎工事、躯体工事、内装工事など)
横軸日付・時間
表示方法横棒(バー)で作業開始日〜終了日を表現
重視するポイント日程管理、必要日数の把握

ガントチャート工程表とは

ガントチャート工程表は、縦軸に作業項目、横軸に進捗率を設定し、各作業の進行状況をバーで表す工程表です。1910年代にアメリカの機械工学者ヘンリー・ガントによって考案されました。

ガントチャートの最大の特徴は、「作業がどこまで進んでいるか」を一目で確認できること。横軸が進捗率(0〜100%)を表しているため、複数の作業の進み具合を素早く把握できます。

項目内容
縦軸作業項目(基礎工事、躯体工事、内装工事など)
横軸進捗率(0%〜100%)
表示方法バーで各作業の進捗状況を表現
重視するポイント進捗管理、遅延の早期発見

【注意】建設業界と一般的な定義の違い

実は、日本の建設業界におけるガントチャートの定義は、一般的な定義と異なります

一般的には「ガントチャート=横軸が日時」ですが、日本の建設業界では慣習的に「ガントチャート=横軸が進捗率」と理解されています。施工管理技士試験などでも、この定義で出題されます。

また、企業や使用するシステムによっても定義が曖昧なケースがあります。工程表を選ぶ際は、名称ではなく「横軸に何が設定されているか」を必ず確認するようにしましょう。

ガントチャートとバーチャートの違い【比較表】

ガントチャートとバーチャートの違いを、さまざまな観点から比較してみましょう。

比較項目バーチャートガントチャート
横軸の指標日付・時間進捗率(%)
重視するポイント日程・必要日数進捗状況
日程把握◎(得意)△(苦手)
進捗把握△(苦手)◎(得意)
作成の難易度簡単やや手間がかかる
修正の容易さ◎(バーを動かすだけ)○(進捗率の再設定が必要)
作業間の関連性△(把握しにくい)△(把握しにくい)
理解のしやすさ◎(誰でもわかる)○(基本的にわかりやすい)
適した現場規模小〜中規模中規模〜複数作業並行

最大の違いは「横軸の指標」

ガントチャートとバーチャートの最大の違いは横軸の指標です。この違いによって、それぞれの工程表が得意とする管理内容が大きく変わります。

  • バーチャート:横軸が「日付」→「いつ何をするか」がわかる
  • ガントチャート:横軸が「進捗率」→「今どこまで進んでいるか」がわかる

シンプルに言い換えると、バーチャートは「スケジュール表」、ガントチャートは「進捗管理表」としての役割が強いといえます。

共通するデメリット

ガントチャートとバーチャートには、共通するデメリットもあります。

  • 作業間の関連性がわかりにくい:どの作業が終わらないと次に進めないか(依存関係)が把握しづらい
  • クリティカルパスが不明確:工期を左右する最重要経路を特定しにくい

これらのデメリットは「ネットワーク工程表」を併用することで補うことができます。

バーチャート工程表のメリット・デメリット

バーチャート工程表のメリット・デメリット

バーチャート工程表の特徴をメリット・デメリットの両面から詳しく見ていきましょう。

バーチャートのメリット

①作成が簡単

バーチャートは縦軸に作業項目、横軸に日付を入れるだけのシンプルな構成です。特殊な図形や複雑な計算が不要なため、工程表作成の経験が少ない方でも取り組みやすいのが特徴です。

②直感的に理解しやすい

作業の開始日・終了日が棒グラフで視覚的に表されるため、初めて見る人でも内容を把握しやすくなっています。建設に詳しくない施主様への説明資料としても活用できます。

③修正が容易

日程変更が発生した場合も、横棒(バー)を動かすだけで修正できます。トラブルや天候不良による予定変更にも柔軟に対応可能です。

④スケジュール共有に最適

「何がいつ始まり、いつ終わるか」が明確なため、現場作業員や協力会社とのスケジュール共有に最適です。担当する作業のタイミングを全員が把握できます。

バーチャートのデメリット

①進捗状況の把握が難しい

バーチャートは日程重視の工程表のため、各作業が「予定に対してどれくらい進んでいるか」を確認しにくい面があります。進捗管理には別途工夫が必要です。

②作業間の関連性がわかりにくい

ある作業の遅れが他の作業にどう影響するかが把握しづらく、大規模工事や複雑な工程の管理には不向きな場合があります。

③複雑な工程の表現には限界がある

工数が多い場合や長期間の管理が必要な場合、バーチャートだけでは対応しきれないことがあります。

ガントチャート工程表のメリット・デメリット

続いて、ガントチャート工程表のメリット・デメリットを確認しましょう。

ガントチャートのメリット

①複数の作業進捗を一目で把握できる

ガントチャート最大のメリットは、複数の作業がどこまで進んでいるかを一覧で確認できることです。「基礎工事は80%完了、設備工事は50%」といった具合に、各工程の進捗度合いを瞬時に把握できます。

②遅延やトラブルに素早く気づける

予定と実績のギャップが視覚的に明確になるため、遅延やトラブルの早期発見が可能です。問題に早く気づくことで、状況の悪化を防ぐことができます。

③プロジェクト全体を見える化できる

「どの工程を誰がおこなうのか」「各作業の進捗状況はどうか」がお互いに把握できるため、現場でのコミュニケーションも円滑になります。

④同時並行の作業管理に強い

複数の作業を同時並行で進める現場では、ガントチャートが効果を発揮します。「あとどのくらいで作業が終わりそうか」がわかるため、次の作業を始めるタイミングを判断しやすくなります。

ガントチャートのデメリット

①日程の把握が難しい

横軸が進捗率のため、「いつ作業が始まり、いつ終わるのか」という日程の把握が困難です。日程を重視する場合は、バーチャートとの併用が必要になります。

②工数(作業時間)の把握が難しい

「この作業には何日かかるのか」「何人の作業員が必要なのか」といった工数情報は、ガントチャートからは読み取れません。

③変更が多い現場では手間がかかる

計画の変更が発生するたびに進捗率の再設定が必要になり、頻繁な変更がある現場では管理の手間が増大します。

【使い分け】どちらを選ぶべき?判断基準を解説

では、実際の現場ではガントチャートとバーチャートをどのように使い分ければよいのでしょうか。判断基準を詳しく解説します。

バーチャートが適している現場

バーチャートは以下のような現場に適しています。

  • 小規模〜中規模のリフォーム・改修工事:作業項目が比較的少なく、工程がシンプルな現場
  • 短期工事:依存関係が少なく、単純な工程管理で問題ない場合
  • 施主様への説明が必要な場面:「いつ何をするか」を直感的に伝えたい場合
  • 職人・協力会社とのスケジュール共有:担当作業のタイミングを明確にしたい場合
  • 初めて工程表を作成する方:導入ハードルが低く、取り組みやすい

ガントチャートが適している現場

ガントチャートは以下のような現場に適しています。

  • 中規模〜大規模の建築・土木工事:複数の下請・協力会社が関わる現場
  • 複数の作業を同時並行で進める現場:進捗状況の把握が重要な場合
  • 長期プロジェクト:変動要因が多く、進捗管理を重視したい場合
  • 遅延を早期発見したい現場:予定と実績のギャップを可視化したい場合
  • 工事管理者の負担を減らしたい場合:全体の進捗を一目で把握したい場合

併用がおすすめのケース

実務では、バーチャートとガントチャートを併用するケースも多くあります。

  • 日程管理はバーチャート:「いつ何をするか」のスケジュール共有用
  • 進捗管理はガントチャート:「今どこまで進んでいるか」の確認用

このように使い分けることで、それぞれの弱点を補い合い、より効果的な工程管理が実現できます。

使い分けの判断フローチャート

迷った場合は、以下の流れで判断してみてください。

Q1. 工事規模はどれくらい?

  • 小規模〜中規模 → バーチャート
  • 中規模〜大規模 → Q2へ

Q2. 複数の作業を同時並行で進める?

  • あまりない → バーチャート
  • 多い → ガントチャート(または併用)

Q3. 重視したいのは?

  • 日程・スケジュール → バーチャート
  • 進捗状況・遅延発見 → ガントチャート
  • 両方 → 併用

工程表を作成する際のポイント

バーチャート・ガントチャートどちらを使う場合でも、押さえておくべき作成のポイントがあります。

ポイント1:作業を洗い出し、整理する

まずはプロジェクトに必要な作業をすべて洗い出すことが重要です。工事規模や内容を整理し、必要な業務内容や工程を明確にしましょう。作業内容別や工事場所別に分けて整理すると、漏れを防げます。

ポイント2:余裕を持った日程を設定する

建設現場では、天候不良や資材の遅延など予期せぬトラブルが発生することがあります。ギリギリの日程ではなく、余裕を持たせた計画を立てることで、トラブル発生時にも柔軟に対応できます。

ポイント3:誰が見てもわかる工程表にする

自分だけが理解できる工程表ではなく、新人や経験が浅い人でもパッと見てわかる工程表を目指しましょう。関係者全員が内容を理解できることで、認識のズレやミスを防げます。

ポイント4:修正しやすい形で作成する

工程表は作成して終わりではなく、状況に応じて修正が必要です。後から修正を加えやすい形で作成しておくことで、変更対応の手間を最小限に抑えられます。

ポイント5:定期的に更新する

工程表は定期的に更新することで初めて効果を発揮します。最新の情報を反映させることで、遅延の早期発見や適切な対策が可能になります。

工程表の作成ツール

工程表を作成する方法は複数あります。代表的なツールを紹介します。

エクセル(Excel)・Googleスプレッドシート

最も手軽に始められるのがエクセルやGoogleスプレッドシートです。多くの企業で既に導入されており、追加コストなしで始められます。無料テンプレートも多数公開されています。

メリット:導入コストなし、自由にカスタマイズ可能、操作に慣れている人が多い

デメリット:リアルタイム共有が難しい、複数人での同時編集に制限、バージョン管理が煩雑

専用の工程管理ソフト・アプリ

より高度な工程管理を行いたい場合は、専用のソフトやアプリの導入がおすすめです。リアルタイム共有や自動計算、アラート機能などが標準搭載されています。

メリット:作成・更新が簡単、リアルタイム共有、進捗の自動計算、スマホから更新可能

デメリット:導入コストがかかる、操作を覚える必要がある

まとめ

ガントチャートとバーチャートの最大の違いは「横軸の指標」です。

  • バーチャート:横軸が日付 →「いつ何をするか」を管理
  • ガントチャート:横軸が進捗率 →「今どこまで進んでいるか」を管理

バーチャートは作成が簡単で日程管理に強く、小〜中規模の現場に適しています。ガントチャートは進捗管理に強く、複数作業を同時並行で進める現場に適しています。

プロジェクトの規模や目的に応じて、適切な工程表を選ぶこと、あるいは両方を併用することで、効率的な工程管理を実現しましょう。

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