064_工事価格の_計算方法とは

工事価格の計算方法とは?直接工事費の計算方法や構成を解説

「工事価格の計算方法がわからない」「直接工事費って何?」「積算の手順を知りたい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

工事価格の計算方法とは?直接工事費の計算方法や構成を解説

本記事では、工事価格の計算方法を徹底解説します。直接工事費、間接工事費、一般管理費等の構成、積算の手順、適正な工事価格を算出する方法まで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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工事価格とは?

工事価格とは、発注者が支払う工事代金の総額を指します。建物の建設・修繕・解体など、工事に必要なすべてのコストを合算した金額です。

工事価格は見積書の中心となる金額であり、適切に積算することが受注後の安定した施工や利益確保につながります。

工事価格の構成

工事価格は、以下のように構成されています。

工事価格の構成図

工事価格
工事原価純工事費直接工事費(材料費・労務費・直接経費)
間接工事費(共通仮設費)
現場管理費
(法定福利費を含む)
一般管理費等

工事価格の基本構成

工事価格は大きく「工事原価」と「一般管理費」の2つで構成されます。

区分内容
工事原価工事現場でかかるすべての費用
一般管理費工事に直接関係しないが、企業経営維持に必要な経費

工事原価の内訳

工事原価は、さらに「純工事費」と「現場管理費」に分かれます。

区分内容
純工事費直接工事費 + 間接工事費(共通仮設費)
現場管理費現場監督の人件費、現場事務所維持費、保険料など

直接工事費とは?

直接工事費とは、工事に直接かかる費用のことです。工事価格の中核をなす重要な部分で、積算とはこの直接工事費を算出することを指します。

直接工事費の構成

直接工事費は、「材料費」「労務費」「直接経費」の3つから構成されます。

区分内容
材料費工事に使用する材料・部材の費用セメント、鉄筋、木材、塗料など
労務費施工に必要な職人・作業員の人件費大工、左官、電気工事士の日当など
直接経費材料費・労務費以外で工事に直接かかる費用機械経費、水道光熱費、特許使用料など

直接工事費の内訳と計算方法

直接工事費を構成する各費用の内訳と計算方法を詳しく解説します。

①材料費

材料費は、工事に使用する材料・部材の購入費用です。

材料費に含まれるもの:

  • 主要材料(セメント、砂利、鉄筋、木材、鉄骨など)
  • 副資材(釘、ボルト、接着剤など)
  • 仕上げ材(塗料、クロス、タイルなど)
  • 設備機器(エアコン、給湯器など)
  • 材料の運搬費

材料費の計算式:

材料費 = 所要数量 × 材料単価

  • 所要数量 = 設計数量 ×(1 + ロス率)
  • 材料単価 = 購入単価 + 運搬費

計算例:

項目数値
設計数量100m²
ロス率5%
購入単価3,000円/m²
運搬費200円/m²

材料費 = 100 ×(1 + 0.05)×(3,000 + 200)= 336,000円

②労務費

労務費は、施工に必要な職人・作業員の人件費です。

労務費に含まれるもの:

  • 職人・作業員の日当
  • 残業分の割増賃金

労務費に含まれないもの:

  • 事務職員の給料
  • 賃金とは別の食事代・交通費
  • 人員募集の広告費

労務費の計算式:

労務費 = 所要人数 × 労務単価

  • 所要人数 = 設計作業量 × 該当作業の歩掛
  • 労務単価 = 基本日額 + 割増賃金

計算例:

項目数値
設計作業量100m²
歩掛0.05人工/m²
基本日額25,000円
割増賃金0円(残業なし)

労務費 = 100 × 0.05 × 25,000 = 125,000円(5人工)

③直接経費

直接経費は、材料費・労務費以外で工事に直接かかる費用です。

直接経費の内訳:

項目内容
特許使用料特許技術や特殊工法の使用料、派遣技術者の費用
水道光熱電力料工事で使用した水道・電気・ガスの使用料(基本料金は除く)
機械経費機械の使用料、燃料費、整備・修理費、運転者の労務費、償却費

機械経費の計算式:

機械経費 = 機械単価 × 使用時間

間接工事費(共通仮設費)とは?

間接工事費は、工事を円滑に進めるために間接的にかかる費用です。主に「共通仮設費」が該当します。

共通仮設費の内訳

項目内容
準備費測量、敷地整備、工事着手前の準備作業
仮設建物費現場事務所、休憩所、倉庫の設置・維持・撤去費用
工事施設費仮囲い、仮設道路、仮設電気・給排水設備
環境安全費安全対策設備、騒音・振動対策、養生費用
動力用水光熱費仮設電力・水道の基本料金
屋外整理清掃費現場周辺の清掃、整理整頓
機械器具費共通で使用する機械・器具の費用
技術管理費品質管理、試験費用

共通仮設費の計算方法

共通仮設費は、直接工事費に対する比率(共通仮設費率)により算定するのが一般的です。

共通仮設費 = 直接工事費 × 共通仮設費率

共通仮設費率は、国土交通省「公共建築工事共通費積算基準」に定められた算定式により求めます。率に含まれない内容は、別途積み上げて加算します。

現場管理費とは?

現場管理費は、工事現場を管理・運営するために必要な費用です。

現場管理費の内訳

項目内容
労務管理費現場監督・現場事務員の人件費
法定福利費労災保険、雇用保険、社会保険の事業主負担分
福利厚生費作業員の健康診断、福利厚生費用
事務用品費現場事務所で使用する事務用品
通信交通費通信費、交通費
補償費第三者への補償費用
租税公課現場に関する税金・公課
保険料工事保険、賠償責任保険など

現場管理費の計算方法

現場管理費は、純工事費に対する比率(現場管理費率)により算定します。

現場管理費 = 純工事費 × 現場管理費率

一般管理費等とは?

一般管理費等は、工事には直接関係しないが、企業経営を維持するために必要な経費です。

一般管理費等の内訳

項目内容
役員報酬役員への報酬
従業員給料手当本社・支社の事務員・営業の給与
退職金退職金の積立
法定福利費本社従業員の社会保険料
福利厚生費健康診断、レクリエーション費用
事務用品費本社事務所の事務用品
通信交通費本社の通信費・交通費
動力用水光熱費本社事務所の電気・水道・ガス代
広告宣伝費会社の広告・宣伝費用
地代家賃本社事務所の賃料
減価償却費固定資産の減価償却
租税公課税金・公課
保険料会社全体の保険料
付加利益会社の利益

一般管理費等の計算方法

一般管理費等は、工事原価に対する比率(一般管理費等率)により算定します。

一般管理費等 = 工事原価 × 一般管理費等率

一般管理費等率の目安:

  • 一般的には10〜20%程度
  • 工事規模や会社規模によって変動

工事価格の計算手順

工事価格を算出する手順を解説します。

手順①:直接工事費を計算する

材料費、労務費、直接経費をそれぞれ算出し、合計します。

直接工事費 = 材料費 + 労務費 + 直接経費

手順②:純工事費を計算する

直接工事費に共通仮設費を加算します。

純工事費 = 直接工事費 + 共通仮設費

手順③:工事原価を計算する

純工事費に現場管理費を加算します。

工事原価 = 純工事費 + 現場管理費

手順④:工事価格を計算する

工事原価に一般管理費等を加算します。

工事価格 = 工事原価 + 一般管理費等

手順⑤:工事費(請求額)を計算する

工事価格に消費税を加算して、最終的な請求額を算出します。

工事費 = 工事価格 + 消費税

工事価格の計算例

具体的な計算例を紹介します。

計算例:住宅リフォーム工事

項目金額備考
【直接工事費】
材料費2,000,000円木材、建材、設備機器など
労務費1,200,000円大工、電気工事士など
直接経費100,000円機械経費、電力料など
直接工事費 計3,300,000円
【間接工事費】
共通仮設費165,000円直接工事費の約5%
純工事費 計3,465,000円
【現場管理費】
現場管理費346,500円純工事費の約10%
工事原価 計3,811,500円
【一般管理費等】
一般管理費等381,150円工事原価の約10%
工事価格 計4,192,650円
【消費税】
消費税(10%)419,265円
工事費 合計4,611,915円

直接工事費の見積書への記載方法

直接工事費の見積書への記載方法には2種類あります。

①複合単価(材工共単価)

一つの材料に対する見積金額に、材料費・労務費・直接経費を合算して記載する方法です。

特徴:

  • 公共工事の見積では主流
  • 見積書がシンプルになる

記載例:

項目数量単位単価金額
壁クロス貼り1002,500250,000

②材工別単価

材料費、労務費、直接経費をそれぞれ分けて記載する方法です。

特徴:

  • 積算根拠を詳細に把握できる
  • コスト交渉に有効
  • 民間工事や大規模プロジェクトで採用されることが多い

記載例:

項目数量単位単価金額
壁クロス(材料費)1001,200120,000
壁クロス貼り(労務費)5人工25,000125,000
壁クロス貼り(経費)15,0005,000

積算の参照資料

積算を行う際に参照する主な資料を紹介します。

積算基準

  • 国土交通省工事積算基準:公共工事の積算で使用
  • 公共建築工事積算基準:建築工事用
  • 公共建築工事共通費積算基準:共通費の算定

材料単価の参照資料

  • 積算資料(経済調査会発行)
  • 建設物価データ(建設物価発行)
  • 各仕入先からの見積り

労務単価の参照資料

適正な工事価格を算出するポイント

適正な工事価格を算出するためのポイントを解説します。

ポイント①:材料のロス率を考慮する

材料費は設計数量だけでなく、施工時に発生するロス分も含めて計算しましょう。ロス率を考慮しないと赤字になる恐れがあります。

ポイント②:歩掛を正確に把握する

労務費の算出には歩掛が必要です。国土交通省の標準歩掛を参考に、自社の実績も加味して設定しましょう。

ポイント③:共通費率を正しく適用する

共通仮設費率、現場管理費率、一般管理費等率は、工事規模や工期によって変動します。公共建築工事共通費積算基準の算定式を使用しましょう。

ポイント④:法定福利費を忘れずに計上する

現場管理費には法定福利費(労災保険、雇用保険、社会保険)を含める必要があります。見落としがないよう注意しましょう。

ポイント⑤:積算ソフトを活用する

工事価格の積算は計算項目が多く、ミスが発生しやすいです。積算ソフトやシステムを活用することで、計算ミスを防ぎ、効率化できます。

まとめ

工事価格は、「工事原価」と「一般管理費」の2つで構成されます。工事原価はさらに「純工事費」と「現場管理費」に分かれ、純工事費は「直接工事費」と「間接工事費(共通仮設費)」から成り立っています。

本記事のポイント:

  • 直接工事費は「材料費」「労務費」「直接経費」の3つで構成
  • 材料費 = 所要数量(設計数量 ×(1+ロス率))× 材料単価
  • 労務費 = 所要人数(設計作業量 × 歩掛)× 労務単価
  • 間接工事費、現場管理費、一般管理費等は比率で算定
  • 工事価格 = 直接工事費 + 共通仮設費 + 現場管理費 + 一般管理費等

工事価格を正確に積算し、適正な利益を確保しましょう。

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