「積算業務に時間がかかる」「歩掛の計算が複雑で困っている」「原価計算を効率化したい」とお悩みの建設業の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、建設業向け積算ソフトのおすすめ8選を紹介します。歩掛対応、原価計算、見積連携など機能別に比較しましたので、積算業務の効率化にお役立てください。
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積算ソフトとは?
積算ソフトとは、工事にかかる費用を正確に算出するためのソフトウェアです。設計図書や積算基準をもとに、材料費・労務費・機械経費などを積み上げて工事費を計算します。

積算と見積もりの違い
| 項目 | 積算 | 見積もり |
|---|---|---|
| 目的 | 工事原価を正確に算出 | 販売価格(請求金額)を提示 |
| 内容 | 材料費・労務費・機械経費などを積み上げ | 積算結果に利益やリスクを上乗せ |
| 用途 | 入札価格の算定、原価管理 | 顧客への提案、受注活動 |
| 性質 | 技術的な原価計算 | 営業的な価格提示 |
積算ソフトでできること
- 設計書の読み込み:PDF・Excel形式の設計図書を取り込み
- 歩掛の自動計算:国土交通省などの積算基準に基づく計算
- 単価データの適用:最新の建設物価・労務単価を反映
- 諸経費の自動計算:共通仮設費・現場管理費・一般管理費の算出
- 内訳書の作成:工事内訳書・明細書・単価表の出力
- 見積書連携:積算結果を見積書に転記
積算ソフトの種類
積算ソフトは、対象とする工事や用途によって種類が分かれます。
土木工事向け積算ソフト
公共工事の入札を主な用途とした積算ソフトです。国土交通省や各自治体の積算基準に対応し、施工パッケージ型積算方式にも対応しています。
建築工事向け積算ソフト
建築工事の数量拾い出し・積算を行うソフトです。図面からの部材拾い出し、仕上積算、躯体積算などに対応しています。
設備工事向け積算ソフト
電気設備・機械設備工事の積算に特化したソフトです。配管・配線の拾い出しや、設備機器の積算に対応しています。
見積・原価管理ソフト
公共工事の入札向け積算ソフトとは別に、民間工事の見積作成や原価管理に特化したソフトもあります。中小規模の施工会社では、こちらのタイプが使いやすい場合があります。
積算ソフトの選び方
積算ソフトを選ぶ際のポイントを解説します。

ポイント①:対応する積算基準
公共工事を手がける場合は、発注者や地域に対応した積算基準を搭載しているかを確認しましょう。国土交通省、農林水産省、各都道府県・市区町村など、発注者によって積算基準が異なります。
ポイント②:単価・歩掛データの更新頻度
単価データは毎月、積算基準は年1回程度更新されます。最新データの配信頻度や更新サポートを確認しましょう。
ポイント③:自動化機能の充実度
積算精度を高め、ミスを防ぐために自動化機能が重要です。
- 設計書の自動読み込み・解析
- 歩掛に基づく費用の自動計算
- 諸経費の自動積み上げ
- 設計変更時の自動修正
ポイント④:見積・原価管理との連携
積算結果を見積書作成や原価管理に活用できるかを確認しましょう。データ連携ができれば、二重入力を防ぎ、業務効率が向上します。
ポイント⑤:隠れたコストに注意
月額料金だけでなく、以下の「隠れたコスト」も確認しましょう。
- 初期費用:数十万円〜かかるソフトもある
- 単価データ更新費用:年間保守費用が必要な場合も
- 追加モジュール費用:基準追加や機能追加がオプションの場合も
- サポート費用:研修や講習会に別途費用がかかるケースも
ポイント⑥:サポート体制
積算ソフトはトラブル時に業務が止まるリスクがあるため、サポート体制が重要です。電話サポート、リモートサポート、操作研修などを確認しましょう。
積算ソフトおすすめ8選【比較表】
建設業向け積算ソフトのおすすめ8選を比較表にまとめました。
| ソフト名 | 対象工事 | 提供形態 | 歩掛対応 | 見積連携 | 料金目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| ATLUS NEXT | 土木 | クラウド/インストール | ○ | ○ | 要問い合わせ |
| Gaia(ガイア) | 土木 | インストール | ○ | ○ | 要問い合わせ |
| 頂(いただき) | 土木・建築 | インストール | ○ | ○ | 低価格帯 |
| 楽王シリーズ | 建築・設備 | クラウド | ○ | ○ | 月額3,800円〜 |
| GOLDEN RIVER | 土木 | インストール | ○ | ○ | 要問い合わせ |
| ランド | 土木 | インストール | ○ | ○ | 低価格帯 |
| Kensuke Neo + NEO仕上 | 建築 | インストール | ○ | ○ | 要問い合わせ |
| Sculd(スクルド) | 土木 | クラウド | ○ | ○ | 要問い合わせ |
※2025年11月時点の情報です。詳細は各社公式サイトをご確認ください。
積算ソフトおすすめ8選【詳細】
各積算ソフトの特徴を詳しく解説します。
1. ATLUS NEXT(アトラス ネクスト)
| 提供会社 | 株式会社コンピュータシステム研究所 |
| 対象工事 | 土木工事(公共工事) |
| 提供形態 | クラウド/インストール |
| 料金 | 要問い合わせ |
ATLUS NEXTは、30年以上の実績を持つ土木積算システムです。公共工事の落札率向上を目的に開発され、多くのユーザーに支持されています。
主な機能・特徴:
- 積算アシスト機能:設計書の自動解析、知識・ノウハウのデータ化・共有
- 施工パッケージ型積算方式、総価契約単価合意方式に対応
- 国土交通省をはじめ多数の歩掛・単価データに対応
- 最新データのオンデマンド配信
- 全国22拠点の地域密着サポート
こんな会社におすすめ:公共土木工事を多く手がける会社、入札の精度を高めたい会社
2. Gaia(ガイア)
| 提供会社 | 株式会社コムシス |
| 対象工事 | 土木工事(公共工事) |
| 提供形態 | インストール |
| 料金 | 要問い合わせ |
Gaia(ガイア)は、近畿地方で高い普及率を誇る土木積算ソフトです。大阪府では積算ソフト導入企業の6割以上がガイアを使用しています。
主な機能・特徴:
- 国土交通省、農林水産省の施工パッケージ型積算方式に対応
- 地域歩掛(近畿地整独自歩掛、大阪府下水道設計指針など)に対応
- 建設物価・積算資料の単価データを搭載
- 工程管理・実行予算への活用も可能
- 安全管理・施工計画書作成支援ソフトも充実
こんな会社におすすめ:近畿地方の公共工事を手がける会社、大規模工事が多い会社
3. 頂(いただき)
| 提供会社 | 株式会社エージェンシーソフト |
| 対象工事 | 土木・建築(公共工事) |
| 提供形態 | インストール |
| 料金 | 低価格帯(無料体験版あり) |
頂(いただき)は、発売以来28年の実績を持つ、初心者でも使いやすい積算ソフトです。基本機能に絞ってシンプルな操作性と低価格を実現しています。
主な機能・特徴:
- シンプル操作:使いやすさを磨いた画面設計
- 低価格:基本機能に絞って導入コストを抑制
- 3台までインストール可能
- 公共建築(建築・電気設備)にも対応(オプション)
- 充実の無料サポート
こんな会社におすすめ:積算ソフト初心者、低コストで導入したい会社、2本目の確認用として
4. 楽王シリーズ
| 提供会社 | アークシステム株式会社 |
| 対象工事 | 建築・電気設備・機械設備 |
| 提供形態 | クラウド |
| 料金 | 月額3,800円〜(楽王Crew) |
楽王シリーズは、導入実績2,100社を誇る積算見積ソフトです。表計算ソフトのような操作感で、初めてでも使いやすい設計になっています。
主な機能・特徴:
- 表計算ソフト感覚の操作性
- 全日出版社の「積算実務マニュアル」の歩掛・複合単価を収録
- 拾い出しソフト「ヒロイくんIII」との連携
- 見積書のExcel出力が可能
- 月額3,800円〜の低価格で導入可能
こんな会社におすすめ:建築・設備工事会社、低コストで始めたい会社、エクセルからの移行を検討している会社
5. GOLDEN RIVER(ゴールデンリバー)
| 提供会社 | 株式会社建設システム |
| 対象工事 | 土木工事(公共工事) |
| 提供形態 | インストール |
| 料金 | 要問い合わせ(比較的低コスト) |
GOLDEN RIVERは、公共工事の積算業務を効率化する専用システムです。比較的低コストで導入でき、毎月の最新データ提供により積算精度を高めます。
主な機能・特徴:
- PDF・Excel形式の設計図書を取り込み、単価を自動反映
- 設計ドキュメントの読み込みと入力画面を連動
- 毎月最新の建設価格・歩掛データを提供
- 熟練者のノウハウを反映した直感的な操作
- 比較的低コストで導入可能
こんな会社におすすめ:公共土木工事会社、コストを抑えて導入したい会社
6. ランド
| 提供会社 | 株式会社ランドエンジニアリング |
| 対象工事 | 土木工事 |
| 提供形態 | インストール |
| 料金 | 低価格帯 |
ランドは、土木設計監理業務で培ったノウハウを活かした低価格・高機能な土木積算ソフトです。
主な機能・特徴:
- 国土交通省・農林水産省の施工パッケージ型積算方式に対応
- 発注者ごとにデータの使い分けが可能
- 低入札調査基準価格・最低制限価格の計算に対応
- 法定福利費の自動計算機能
- オプションで建設物価データも利用可能
こんな会社におすすめ:中小規模の土木工事会社、低価格で高機能を求める会社
7. Kensuke Neo + NEO仕上
| 提供会社 | 株式会社アドバン |
| 対象工事 | 建築工事 |
| 提供形態 | インストール |
| 料金 | 要問い合わせ |
NEOシリーズは、建築・建設業の積算から見積作成、原価管理までシームレスに対応するソフトウェアです。仕上積算ソフト「NEO仕上」と建築見積作成ソフト「Kensuke Neo」を連携して使用します。
主な機能・特徴:
- PDF図面・CADデータと連動した数量拾い出し
- 部屋・部位の面積・周長・寸法を自動拾い出し
- 内装・外装・外構・建具に幅広く対応
- 積算結果を見積ソフトに転送可能
- Excel感覚の操作性
こんな会社におすすめ:建築工事会社、仕上積算を効率化したい会社、見積連携を重視する会社
8. Sculd(スクルド)
| 提供会社 | 株式会社建設システム |
| 対象工事 | 土木工事(公共工事) |
| 提供形態 | クラウド |
| 料金 | 要問い合わせ |
Sculd(スクルド)は、公共工事向けの積算システムで、正確かつ迅速な積算を実現します。
主な機能・特徴:
- 設計書情報をドラッグ&ドロップで読み込み
- 経費設定を自動で行い、約10〜15分で積算完了
- 応札金額の調整はスライダー操作で直感的に
- 決定金額は即座に応札用内訳書に反映
- クラウド型でどこからでもアクセス可能
こんな会社におすすめ:積算時間を短縮したい会社、クラウド型を希望する会社
積算ソフト導入のメリット
積算ソフトを導入することで得られるメリットを解説します。
メリット①:作業時間の大幅短縮
設計書の読み込み、単価の適用、諸経費の計算など、手作業では時間がかかる作業を自動化できます。積算時間を大幅に短縮し、他の業務に時間を割けるようになります。
メリット②:計算ミスの防止
手計算では発生しやすい計算ミスを防止できます。歩掛や単価の適用ミス、端数処理の誤りなどを防ぎ、精度の高い積算を実現します。
メリット③:積算精度の向上
最新の単価データ・歩掛データを活用することで、積算精度が向上します。入札の落札率向上や、適正な利益確保につながります。
メリット④:属人化の解消
歩掛根拠や社内ノウハウをデータ化・共有することで、属人化を解消できます。経験の浅い担当者でも正確な積算が可能になります。
メリット⑤:諸経費の自動計算
共通仮設費、現場管理費、一般管理費などの諸経費を自動計算できます。発注者や地域によって異なる経費ルールにも柔軟に対応します。
無料の積算ソフトはある?
永久に無料で使える積算ソフトは基本的に存在しません。ただし、以下のような選択肢があります。
無料体験版・お試し期間
多くの積算ソフトでは、2〜3ヶ月程度の無料体験が可能です。実際の使い勝手を確認してから導入を決められます。
- 頂(いただき):無料体験版あり
- 楽王Link:3ヶ月無料体験実施中
無料ソフトと有料ソフトの違い
| 項目 | 無料ソフト | 有料ソフト |
|---|---|---|
| 機能 | 限定的 | 充実 |
| 単価データ | 対応なし・更新なし | 最新データを定期配信 |
| 歩掛データ | 限定的 | 国・自治体の基準に対応 |
| サポート | なし | 電話・リモートサポート |
| 帳票出力 | 限定的 | 多様な形式に対応 |
積算の精度を上げるポイント
積算ソフトを活用して精度を上げるためのポイントを解説します。
ポイント①:発注者ごとの特性を把握する
単価・歩掛・経費の算出方法は発注者によって異なります。国土交通省、農林水産省、各都道府県・市区町村など、発注者の採用する積算基準を把握することが重要です。
ポイント②:最新の単価データを使用する
建設物価や労務単価は毎月変動します。最新のデータを使用しないと、積算額にズレが生じます。定期的にデータが更新されるソフトを選びましょう。
ポイント③:歩掛を正しく適用する
歩掛は現場の条件によって変わります。現場条件を考慮した歩掛を適用することで、精度の高い積算が可能になります。
ポイント④:経費計算を正確に行う
経費は工事費に占める割合が大きい項目です。共通仮設費、現場管理費、一般管理費の計算方法を正しく理解し、発注者の基準に従って算出しましょう。
まとめ
積算ソフトは、建設業の積算業務を効率化し、精度を向上させる重要なツールです。自社の工事内容や規模に合ったソフトを選ぶことで、業務効率化と利益確保を実現できます。
本記事のポイント:
- 積算ソフトは工事原価を正確に算出するためのツール
- 対象工事(土木・建築・設備)に合わせたソフトを選ぶ
- 発注者・地域に対応した積算基準の搭載を確認
- 単価・歩掛データの更新頻度が重要
- 自動化機能で作業時間短縮・ミス防止を実現
- 見積・原価管理との連携で二重入力を防止
- 無料体験版を活用して使い勝手を確認
導入前には無料体験版やデモ版を活用し、操作感やサポート体制を確認することをおすすめします。
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