「作業日報とは何か知りたい」「作業日報の書き方がわからない」「日報を活用して現場管理を効率化したい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、作業日報の基本から書き方までを詳しく解説します。作業日報の目的、記載項目、書き方のポイントを紹介し、建設現場で使える実践的な作成方法をお伝えします。
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作業日報とは?
作業日報とは、その日に行った作業内容を管理者に報告するための書類です。作業の進行状況や労働時間、使用した資材などを記録し、目標達成に向けた進捗管理や情報共有に活用します。
作業日報は、特に製造業・建設業では欠かせない書類となっています。管理者は作業日報を通じて現場の状況を把握でき、工期の遅れやトラブルの防止につなげることが可能です。また、作業の報告だけでなく、作業員と管理者のコミュニケーションツールとしても活用できます。
作業日報と作業日誌の違い
作業日報と作業日誌は似ていますが、目的と内容が異なります。
| 項目 | 作業日報 | 作業日誌 |
|---|---|---|
| 目的 | 管理者への報告 | 記録として残す |
| 内容 | 客観的な事実(業務内容・数値) | 主観的な内容も含む(感想・気づき) |
| 対象 | 第三者が読む報告書 | 自分自身の振り返り資料 |
| 書き方 | 簡潔・明確に記載 | 詳細に自由に記載 |
作業日報は「報告するもの」であり、客観的な事実をもとに業務内容を書き、第三者が読む報告書として作成します。一方、作業日誌は「記録するもの」であり、その日の出来事や自分の感情なども含めた内容を書き、資料として記録します。
日報・週報・月報の違い
| 種類 | 作成頻度 | 特徴 |
|---|---|---|
| 日報 | 毎日 | 即座の振り返りと短期的な改善を促進 |
| 週報 | 週1回 | 1週間の成果をまとめ、中期的な視点で振り返り |
| 月報 | 月1回 | 長期的な視点での目標整合性と戦略調整 |
作業日報の目的
作業日報を作成する目的は、単なる記録ではありません。以下の5つの目的があります。
目的①:作業の進捗管理
作業日報の最も重要な目的は、工事進捗の見える化です。作業日報を読めば、その日にどのような作業が行われたのか、予定されていた作業は完了できたか、工事に遅れはないかなどを速やかに把握できます。
特に建設業では、天候などに左右されることが多く、工期の遅れがトラブルの原因になることがあります。作業日報を通じて把握した進捗状況から、工期の遅れを事前に調整することで、トラブル回避につなげられます。
目的②:労務管理
作業日報は、作業員の働き方を把握するためのツールです。作業員全員の始業から終業までの作業時間、残業時間、作業内容などを記録することで、労働環境の維持・改善につなげることができます。
具体的には、それぞれの作業員が何時から何時まで働いたか(勤怠管理)、勤務時間内でどのような作業をしたか(働き過ぎや怠慢がないか)を把握できます。特に「直行・直帰」が多い現場では、作業日報が貴重な情報源となります。
目的③:コスト管理
作業日報は、コスト管理にも大きな役割を果たします。日々の作業に使用した資材の数量、機械の稼働時間、作業員の労働時間などを記録することで、実際のコストと予算を比較分析できます。
建設業における労務単価(人件費)は年々上昇しています。作業日報によって作業内容に対する適正な人員配置をすることで、無駄な人件費を削減し、最適なコスト管理が可能になります。
参考:国土交通省「令和7年度 公共工事設計労務単価」
目的④:情報共有・コミュニケーション
作業日報は、現場でのコミュニケーションツールとしても活用できます。現場には協力会社を含め、さまざまなスタッフが出入りします。直接の報連相ができないタイミングがあっても、作業日報で紙面による情報共有が可能です。
作業員全員が直接集まってミーティングできない場合でも、作業日報があれば作業に関する気づきやヒヤリハット事例などを関係者全員でシェアできます。
目的⑤:トラブル対応・証拠資料
建設現場では、予期せぬトラブルや事故が発生する可能性があります。作業日報は、トラブル発生時の重要な証拠資料となります。
天候の変化、地盤の状況、周辺環境の変化など、トラブルの原因となり得る要素を日々記録しておくことで、後日のトラブル対応や保険請求の際に客観的な根拠として活用できます。また、クレーム対応の際にも、作業の実施状況や安全対策の履歴を示す資料として役立ちます。
作業日報の作成は義務?
建設業関係の法律には「作業日報を作成しなければならない」といった規定はありません。しかし、労働安全衛生法第29条では、元方事業者に対して「労働者が法律違反をしないよう指導し、是正に必要な指示をする」ことを義務づけています。
作業日報は、そうした指導や指示が適切に行われていることの「証拠」となります。つまり、作業日報は労働者の働く環境の維持、そして安全確保を実施したことを示す書類としても役立つのです。
こうした事情から、作業日報は実質的な義務(社内義務)として多くの作業現場で作成されています。
作業日報のメリット

作業日報を作成・活用することで、以下のメリットが得られます。
メリット①:生産性の向上
日々の作業を記録しておくことで、業務上の無駄を洗い出し、生産性の向上につなげられます。作業内容を日々チェックすることで、毎日の作業で重複する部分や流れの悪い工程が明らかになり、効果的に効率化を図れます。
また、作業日報で報告した内容に上司からアドバイスをもらうことで、仕事の進め方を改善できます。
メリット②:トラブルの防止
作業日報を通じて上司と密に連携をとることで、工期遅れなどのトラブルを防止できます。有事の際にも、作業日報に詳細な記録を残しておけば、事故の原因究明がスピーディーに行え、対応が容易になります。
メリット③:労働環境の改善
作業日報の内容を精査することで、労働環境の改善につながります。日報によって従業員の作業内容・作業量・作業時間が見える化され、業務上どの部分に問題があるか特定できます。改善が必要なところに早期対策することで、従業員のモチベーション低下を防ぐ効果も期待できます。
メリット④:人件費トラブルの防止
作業日報を継続的にまとめておけば、管理不足による人件費トラブルを防止できます。ずさんな管理の場合、残業など時間外労働の費用があいまいになり、働いた分だけもらえていないといったトラブルが起きるかもしれません。作業日報で管理すれば、数値に基づく給与計算が可能です。
メリット⑤:作業員の健康管理
従業員の体調やメンタル面の変化も、作業日報でチェックできます。遅刻・早退・作業の遅れなどがあれば、その理由から作業員の心身の状態を読み取れることもあります。
作業日報の記載項目
作業日報には、目的である労務管理とコスト管理に必要な項目を記載します。建設業向けの作業日報の基本的な記載項目は以下のとおりです。
基本情報(管理者が事前に記入)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 工事名 | 携わっている工事の名称 |
| 現場名 | 具体的な作業場所(建物名称・住所など) |
| 日付 | 当日の日付 |
| 天候・気温 | 当日の気象条件 |
| 記入者名 | 日報の作成者の氏名 |
作業員情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作業者氏名 | 現場に携わった従業員名(協力会社含む) |
| 始業・終業時刻 | 残業時間を除く作業開始・終了時刻 |
| 休憩時間 | 休憩開始・終了時刻 |
| 時間外作業時間 | 残業した場合の開始・終了時刻 |
| 作業時間合計 | 実働時間の合計 |
作業内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 工種 | 実施した作業の種類 |
| 作業内容 | 具体的な作業の詳細 |
| 進捗状況 | 作業の完了率・達成度 |
| 使用資材 | 当日使用した材料・数量 |
| 使用機材 | 当日使用した機械・設備 |
その他
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所感・反省 | 作業を通じての気づき・課題・疑問点 |
| 翌日の予定 | 明日以降の作業予定・目標 |
| ヒヤリハット | 危険を感じた事例・安全上の気づき |
| 備考・メモ | トラブル・問題・状況の詳細、申し送り事項 |
| 上長コメント | 管理者からのフィードバック |
作業日報の書き方
作業日報を効果的に活用するための書き方のポイントを解説します。
ポイント①:当日中に作成する
作業日報は、作業当日に作成することが基本です。その日の作業が終了した時点で作成し、記憶が新しいうちに正確な情報を記録しましょう。多くの建設会社では、作業員が現場を離れる前に日報を提出することを義務付けています。
ポイント②:5W1Hを意識する
作業日報を書く際は、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識しましょう。
- When(いつ):作業した日時・時間帯
- Where(どこで):作業場所・現場名
- Who(誰が):作業を行った人員
- What(何を):実施した作業内容
- Why(なぜ):作業の目的・理由
- How(どのように):作業の方法・手順
ポイント③:具体的な数値を記入する
作業日報には、具体的な数値を記入することが重要です。「たくさん作業した」ではなく「8時間作業した」、「資材を使った」ではなく「コンクリート5㎥を使用」のように、数値で表現しましょう。
数値や時間の記入漏れやミスがあると、正確なコストが算出できず、誤ったデータを蓄積することになります。
ポイント④:簡潔・明確に書く
作業日報は簡潔で明確に記載することが重要です。上司や関係者が迅速に理解できるよう、冗長な表現を避け、具体的な作業内容や進捗状況を端的に伝えましょう。
例えば、「本日は基礎工事(A棟東側部分)を行いました。進捗率は予定通り80%です」というように、要点を的確に伝えます。
ポイント⑤:所感を書く(感想ではなく)
所感とは、感想や意見、主張などのことです。作業日報には、作業を行う中での個人的な気づきや課題、疑問点を1〜2文程度の短い内容で書きましょう。
単純な感想(「疲れた」「大変だった」)ではなく、自分の経験や知識に基づいた意見を加えることが重要です。所感を書くと反省や学びができ、今後の業務の改善につなげられます。
ポイント⑥:作成後は必ず見直す
作業日報に限らず、ビジネスにおける文書作成では、作成したら必ず見直すのが鉄則です。誤字脱字のチェックはもちろん、伝えたいことが最初のほうに書かれていて、その後に具体的な説明があるとわかりやすくなります。
作業日報の例文
作業日報の書き方を、3つのパターンで紹介します。
例文①:基本形式
【作業日報】
日付:2025年11月29日(土) 天候:晴れ 気温:12℃
工事名:○○ビル新築工事
現場名:東京都○○区○○町1-2-3
記入者:山田太郎
■ 本日の作業
・作業時間:8:00~17:00
・作業者:山田太郎、佐藤次郎、鈴木三郎(計3名)
・休憩時間:12:00~13:00
・時間外作業:17:00~18:30
■ 作業内容
・工種:鉄骨組立
・内容:2階部分の鉄骨組立作業
・進捗:予定の90%完了
■ 使用資材
・H形鋼:10本
・ボルト:200個
■ 所感
本日は天候に恵まれ、予定通り作業を進められた。
明日は残り10%の鉄骨組立を完了させ、配線工事に着手予定。
■ 翌日の予定
・2階鉄骨組立完了
・電気配線工事着手
例文②:時系列形式
【作業日報】
日付:2025年11月29日(土) 天候:晴れ
工事名:△△マンション改修工事
記入者:田中一郎
■ 作業タイムライン
08:00 朝礼・KYミーティング
08:30 外壁塗装作業開始(北面)
10:00 休憩
10:15 外壁塗装作業再開
12:00 昼休憩
13:00 外壁塗装作業(北面完了)
14:00 足場点検・清掃
15:00 休憩
15:15 翌日の準備・資材確認
17:00 作業終了・片付け
■ 進捗状況
・北面外壁塗装:100%完了(予定通り)
・東面外壁塗装:未着手(明日着手予定)
■ 特記事項
北面の一部にクラック発見。補修後に塗装を実施した。
写真記録済み(報告書に添付)。
例文③:簡易形式
【作業日報】
日付:2025年11月29日
現場:□□邸リフォーム工事
天候:曇り
作業者:高橋(8:00-17:00)、渡辺(8:00-17:00)
■ 本日の作業
・キッチン解体工事完了
・給排水管の撤去
・廃材搬出
■ 明日の予定
・給排水管新設工事
・電気配線工事
■ 備考
特になし
作業日報の作成方法
作業日報の作成方法には、主に以下の3つがあります。
方法①:紙・手書き
従来から使われている方法で、専用の用紙に手書きで記入します。
メリット:
- ITに詳しくない作業員でも記入できる
- 特別な設備が不要
- 導入コストが低い
デメリット:
- データ化に手間がかかる
- 集計・分析が困難
- 紛失のリスクがある
- 保管スペースが必要
方法②:エクセル
エクセルでテンプレートを作成し、パソコンで入力する方法です。
メリット:
- フォーマットの自由度が高い
- データの集計・分析がしやすい
- 無料のテンプレートが多数
デメリット:
- ファイル数が増えると管理が煩雑
- 現場からの入力が難しい
- リアルタイムの共有が困難
方法③:施工管理アプリ・システム
クラウド型の管理サービスやアプリを導入する方法です。
メリット:
- スマホから現場で入力できる
- リアルタイムで情報共有が可能
- データの一元管理・集計が容易
- 写真や位置情報も記録可能
デメリット:
- 導入・運用コストがかかる
- ITに慣れていないと操作に時間がかかる
作業日報を活用するためのポイント
作業日報を効果的に活用するためのポイントを解説します。
ポイント①:目的を明確にし、共有する
作業日報の目的があいまいだと、形骸化してしまいます。何のために日報を書くのかを明確にし、作業員全員に共有しましょう。目的を理解していれば、どんな内容を書けばよいかがわかります。
ポイント②:フォーマットを統一する
フォーマットが現場ごとに異なると、情報の一貫性が失われ、管理が煩雑になります。社内で使う作業日報は、項目と記入方法を必ず統一しましょう。テンプレートに沿って記載することで、漏れや不足を防ぎ、一貫性のある日報を作成できます。
ポイント③:管理者がフィードバックを行う
日報をチェックされた形跡がないと、作業員は適当に済ませてしまいがちです。管理者が日報にコメントを記入する、記載内容の不明点を問い合わせるなどの取り組みが効果的です。管理者側が日報を活用する意識が周知されれば、作業員は適度な緊張感を持って記録するようになります。
ポイント④:データを分析・活用する
作業日報はただの記録ではなく、現場の改善に役立つデータです。日報のデータを分析し、作業の効率や品質に関する傾向を把握しましょう。そのデータを基に具体的な改善策を立て、実行することで、作業効率やコスト削減が実現できます。
まとめ
作業日報は、建設業において現場の進捗管理、労務管理、コスト管理に欠かせない重要な書類です。正しい書き方を理解し、継続的に活用することで、生産性の向上やトラブル防止につなげることができます。
本記事のポイント:
- 作業日報は管理者への報告書類であり、客観的事実を記載する
- 目的は進捗管理・労務管理・コスト管理・情報共有・トラブル対応
- 法的義務はないが、労働者保護の証拠として実質的に必須
- 当日中に作成し、5W1Hと具体的な数値を記載する
- 簡潔・明確に書き、所感(感想ではなく気づき・意見)を添える
- フォーマットを統一し、管理者がフィードバックを行うことが重要
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