087_施工計画書の_書き方

施工計画書の書き方|作成手順とテンプレートを紹介

施工計画書の書き方がわからない、何を記載すればいいか迷ってしまう。そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか?

施工計画書の書き方|作成手順とテンプレートを紹介

施工計画書は、工事の着手前に作成し、発注者へ提出する重要な書類です。適切に作成することで、工事の円滑な進行・安全性の確保・品質管理・トラブル防止につながります。

この記事では、施工計画書の書き方を解説します。必要な記載項目、作成手順、テンプレートまで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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施工計画書とは

施工計画書とは、建設工事の具体的な実施計画や内容を文書にまとめたものです。工事現場の安全性・効率性を高める目的で、工事の開始前に作成されます。

具体的な工程やスケジュール、必要なリソース、施工方法などが記載されており、工事の円滑な進行や安全性を確保するために重要な文書です。

施工計画書が必要な理由

施工計画書が必要な理由は、法律により作成と提出が義務付けられているからです。

建設業法第26条の3では、主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、施工計画の作成、工程管理、品質管理その他技術上の管理を行わなければならないと定められています。

また、請負代金が500万円(税込)以上の工事については、施工計画書の提出が義務付けられています。500万円未満の工事でも、発注者から求められた場合は提出が必要です。

施工計画書を作成する目的

施工計画書を作成する目的は主に3つあります。

  1. 不正防止:工事で利用する資材や機械を細かく確認することで不正を防ぐ
  2. 不当な下請け防止:工事契約金額を確定して不当な下請けを防ぐ
  3. トラブル防止:事前に情報を固めておくことで発注者と請負業者間のトラブルを減らす

施工計画書と施工要領書の違い

施工計画書と似た書類に「施工要領書」があります。両者の違いを確認しておきましょう。

項目施工計画書施工要領書
作成者施工会社(元請け業者)協力会社(下請け業者)
提出先発注者元請け業者
内容工事全体の計画・方針具体的な作業内容・方法
目的発注者と元請けの契約内容の明確化元請けと下請けの作業内容の共有

施工計画書が承認されると、実際の作業を行う下請け業者が、施工計画書をもとに施工要領書で具体的な作業内容や方法を作成します。

施工計画書の提出時期

施工計画書は、工事の着手前に発注者に提出する必要があります。

国土交通省の「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」によると、「工事の着手に先立ち、工事の総合的な計画をまとめた施工計画書(総合施工計画書)を作成し、監督職員に提出する」となっています。

提出時期の目安

項目目安
作成期間3週間〜1ヶ月程度
提出期限工事開始の3週間前まで

施工計画書の作成には3週間〜1ヶ月程度かかるため、工事の日程が決まり次第、できるだけ早く作成に着手しましょう。内容によっては発注者から承認を受けられず、作成し直しになる可能性もあります。

施工計画書の記載項目

施工計画書に記載すべき項目を解説します。書式に決まりはありませんが、おおむね以下のような項目が必要です。

1. 工事概要

工事の基本情報を記載します。

項目内容
工事名称工事の正式名称
工事場所工事を行う場所の住所
工期着工日と竣工日
請負金額契約金額
発注者発注者の名称
施工者施工会社の名称
工事内容工事の概要・範囲

2. 計画工程表

工事全体のスケジュールを記載します。

  • 各工種ごとの作業開始日・終了日
  • マイルストーン(重要な節目)
  • 気象条件による影響(降雨時期、出水・渇水時期等)
  • 契約書添付の工程表との整合性

工程表は、施工計画書に綴じ込むものの他、工程管理用として1部作成し、現場で管理する必要があります。

3. 現場組織表

現場における組織の編成、命令系統、業務分担を記載します。

  • 現場代理人
  • 主任技術者または監理技術者
  • 専門技術者(必要な場合)
  • 各担当者の役職・氏名・連絡先
  • 業務分担

4. 指定機械

工事で使用する機械・設備を記載します。

  • 使用する機械の名称・仕様
  • 台数
  • 配置計画
  • 車検証、カタログ等の添付(必要に応じて)

5. 主要資材

工事で使用する主要な資材を記載します。

  • 資材名・規格・数量
  • JIS表示認定の有無
  • 製造会社・納入業者
  • 使用材料確認願の提出予定

6. 施工方法

具体的な施工方法を記載します。施工計画書の中心となる重要な項目です。

  • 作業フロー(施工手順)
  • 施工実施上の留意事項
  • 品質規格・確認方法
  • 制約条件(施工時期、作業時間、交通規制等)
  • 関係機関との調整事項

7. 施工管理計画

品質管理や出来形管理の方法を記載します。

  • 品質管理基準・試験方法
  • 出来形管理基準・測定方法
  • 写真管理計画
  • 検査の時期・方法

8. 安全管理

安全対策と管理体制を記載します。

  • 安全管理体制
  • 安全教育・訓練計画
  • 危険予知活動(KY活動)
  • 保護具の使用計画
  • 緊急時の連絡体制

9. 緊急時の体制及び対応

事故や災害発生時の対応を記載します。

  • 緊急連絡網
  • 事故発生時の対応手順
  • 避難経路・避難場所
  • 救急病院の連絡先

10. 交通管理

工事車両や交通誘導に関する計画を記載します。

  • 交通誘導員の配置計画
  • 工事車両の運行計画
  • 通行規制の方法
  • 保安施設の配置

11. 環境対策

環境への配慮事項を記載します。

  • 騒音・振動対策
  • 粉塵対策
  • 水質汚濁防止対策
  • 廃棄物処理計画

12. 仮設備計画

仮設備に関する計画を記載します。

  • 仮設備の構造・配置
  • 現場事務所・資材置場
  • 仮囲い・ゲート
  • 仮設電力・給水

13. その他

上記以外に必要な事項を記載します。

  • 施工体系図(下請け契約がある場合)
  • 再生資源利用計画
  • イメージアップの実施内容
  • 近隣対策

施工計画書の作成手順

施工計画書の作成手順

施工計画書の作成手順を5つのステップで解説します。

STEP1:工事内容を把握する

まず、工事全体を把握するために、工事に関する書類を精査します。

  • 契約書
  • 設計書・設計図書
  • 図面
  • 仕様書

これらの書類を細部までしっかりと確認し、工事の要点を事前にまとめておきましょう。

STEP2:現場状況を確認する

工事現場に直接足を運んで、現場状況を確認します。

  • 周辺の土地利用状況
  • 自然環境
  • 近接状況
  • 地下埋設物・地上障害物
  • 搬入経路

実際の施工内容をシミュレーションしながら、各工程に関する精査を行いましょう。

STEP3:発注者と協議する

施工計画書の作成前に、発注者と協議の期間を設けます。

  • 施工の内容や方針に相違がないか確認
  • 完成イメージの認識にズレがないか確認
  • 疑問点・不明点を解消

認識のズレがあると、ミスや事故、納期遅れにつながる可能性があるため、しっかり話し合いましょう。

STEP4:ひな形を活用して作成する

施工計画書をゼロから作るより、ひな形を活用すると便利です。

【ひな形の入手先】

  • 発注企業の社内マニュアル
  • 自治体のホームページ
  • 整備局・開発局のホームページ
  • 日本建設業連合会のホームページ

ただし、入手したひな形がそのまま使えるとは限りません。工事内容に適した内容か確認し、過不足分は修正しながら作成しましょう。

STEP5:確認・提出する

作成した施工計画書を確認し、発注者に提出します。

  • 記載内容に漏れや誤りがないか確認
  • 現場代理人または主任技術者が責任をもって確認
  • 工事開始の3週間前までに提出

提出後、監督員から指摘があった場合は修正し、承認を得てから工事を開始します。

施工計画書のテンプレート

施工計画書のテンプレート(ひな形)の入手先を紹介します。

公的機関のテンプレート

提供元内容
国土交通省 各地方整備局土木工事向けの施工計画書ひな形
各都道府県県発注工事向けの施工計画書ひな形
日本建設業連合会 関西支部工種別の施工計画書ひな形集(Excel形式)

日本建設業連合会の施工計画書ひな形集は、公共建築工事標準仕様書の内容に準じた事例が示されており、新規工種も追加されています。

テンプレート使用時の注意点

【注意点①:そのまま使用しない】
ひな形が容易に手に入るからといって、安易にそのまま使用しないようにしましょう。必要な項目が抜けていたり、実施しない工種が記載されていたりする場合があります。

【注意点②:工事内容に合わせて修正する】
それぞれの項目について、自分が受注した工事内容に適しているか一つ一つ確認し、必要に応じて修正しましょう。

【注意点③:最新の仕様書に対応しているか確認する】
仕様書は定期的に改訂されます。使用するひな形が最新の仕様書に対応しているか確認しましょう。

施工計画書作成のポイント

施工計画書を作成する際のポイントを3つ紹介します。

1. 分かりやすさを意識する

施工計画書は、工事の要点や確認事項が誰にでも明確に伝わるよう、分かりやすさを意識して作成しましょう。

内容に不備があったり、分かりにくいと修正が必要になり、工事のスケジュールが遅れるなど関係各所へ迷惑がかかってしまいます。

「5W1H」(誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どのように)を意識して作成しましょう。

2. 現実的な計画を立てる

安全性を求めるあまり、現場作業員の負担が大きくなりすぎる計画を立てるのはNGです。

例えば、「機械の安全管理は毎日2時間」「交通整理員を10人配置する」など、過剰な対応は避けましょう。現実的に実行可能な計画を立てることが重要です。

3. 早めに着手する

施工計画書は工事の条件や工程を決めて記載した書類ですので、積算で工事費を算出する際にも必要となります。

早めに着手して、積算・見積作成時までには完成させておきましょう。思った以上に時間がかかる場合もあるため、余裕をもって作成することが大切です。

施工計画書の変更について

施工計画書の内容に重要な変更が生じた場合は、変更に関する事項について「変更施工計画書」を監督員に提出する必要があります。

【変更施工計画書が必要なケース】

  • 工期の変更
  • 施工方法の変更
  • 使用機械・資材の変更
  • 現場組織の変更
  • 安全管理計画の変更

変更施工計画書は、当該工事に着手する前に提出します。変更がある場合は、先の施工計画書を削除するのではなく、追加式で対応することが基本です。

まとめ

施工計画書は、建設工事の具体的な実施計画や内容を文書にまとめた重要な書類です。適切に作成することで、工事の円滑な進行、安全性の確保、品質管理につながります。

この記事のポイント:

  • 請負代金500万円以上の工事では施工計画書の提出が義務
  • 工事開始の3週間前までに提出する
  • 記載項目は工事概要、計画工程表、現場組織表、施工方法、安全管理など
  • 作成手順は「工事内容把握→現場確認→発注者協議→ひな形活用→提出」
  • ひな形をそのまま使わず、工事内容に合わせて修正する
  • 5W1Hを意識して分かりやすく作成する
  • 内容に重要な変更があれば変更施工計画書を提出する

施工計画書を正しく作成・活用することで、スムーズな工事の実施とトラブル防止につなげましょう。

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