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出面(でめん)とは?建設現場での労務管理に欠かせない知識

「出面(でめん)」という言葉を聞いたことはありますか?建設業界で働いている方なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

出面(でめん)とは?建設現場での労務管理に欠かせない知識

出面とは、作業員や職人の出勤実績を指す建設業特有の用語です。労務管理、賃金計算、原価管理において非常に重要な役割を果たします。

この記事では、出面の意味から出面表の作り方、労務管理での活用方法、人工計算の基礎知識まで詳しく解説します。

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出面(でめん)とは

出面(でめん・でづら)とは、建設工事現場に出た労働者の一日あたりの人数のことをいいます。大工や鉄筋工、電気工など職種ごとに、何人が何時間働いたかを記録するために使われる概念です。

また、日雇い労働者に支払われる日当を指す場合もあります。

出面の語源

「出面」の語源には諸説あります。

  • 元々は農家で、収穫期や田植えの時期の人手不足を補う日雇いの人を「出面さん」と呼んでいたことが起源とされる
  • 英語の「DAY-MEN(デイメン)」が語源ではないかとも言われている
  • 「顔を出す、出席する」という意味から派生した

出面の読み方

出面の読み方は「でめん」または「でづら」です。人や会社によって読み方は異なりますが、どちらも正しい読み方です。一般用語における「顔出しすること」とは意味合いが異なります。

建設業界で出面が重要な理由

工事現場で働く従業員は、正社員だけでなく、協力会社の職人や一時的なアルバイトなど多岐にわたります。そのため「誰がどの現場で、どれだけ働いたか」を正しく管理しなければ、賃金の支払いや工程管理、コスト計算で混乱を招きます。

出面を正しく把握することで、以下のことが可能になります。

  • 人件費の正確な把握:実際にかかった人件費を計算し、工事の採算を管理できる
  • 工程管理の最適化:どの工程に最も人員がかかっているかを可視化できる
  • 安全管理の基礎データ:延べ労働時間から安全管理指標を算出できる

出面表・出面帳とは

出面表(出面帳)とは、作業員の出勤簿のようなもので、どの現場で誰が、いつ、どのように働いていたかを記録する表です。

出面表と出勤簿の違い

出面表は会社によって用途が異なり、出勤簿として扱う場合やスケジュール帳として扱う場合などがあります。企業ごとに内包する意味合いが変わるため、それぞれの社内的取り扱いを知っておく必要があります。

書類内容対象
出面表現場ごとの作業員の出勤日数・作業時間現場単位で管理
出勤簿従業員個人の出退勤記録個人単位で管理

出面表の記載項目

出面表に記載する一般的な項目は以下のとおりです。

項目内容
日付作業を行った日
現場名作業を行った現場の名称
作業員名作業に従事した人の氏名
所属会社協力会社の場合は会社名
職種大工、鉄筋工、電気工など
出勤時間作業開始時刻
退勤時間作業終了時刻
休憩時間休憩に使った時間
作業時間実労働時間
作業内容当日行った作業の概要

出面表の作成タイミング

出面表は、作業員が現場に出入りする際に記録します。朝礼で担当別の作業員・職人の人数を数えることを「出面を取る」と言います。

記録のタイミング:

  • 朝礼時:当日の作業員の人数を確認
  • 入場時:作業開始時刻を記録
  • 退場時:作業終了時刻を記録
  • 日報提出時:作業内容を記録

出面管理の目的・メリット

出面管理の目的・メリット

出面管理を行うことで、以下のようなメリットがあります。

1. 賃金管理

出面表の本来の目的は、作業員の賃金管理を行うことです。「いつ、誰が、どの現場で、どのくらいの時間作業したのか」という情報をもとに賃金を計算します。

特に、下請負業者と「常傭(じょうよう)契約」を結んでいる場合は、日当計算で給与を支払う必要があるため、出面管理が不可欠です。

2. 労務管理

労務管理を行う場合、企業は労働基準法により以下の3つの帳簿をつけることが義務付けられています(法定三帳簿)。

  • 労働者名簿(第107条)
  • 賃金台帳(第108条)
  • 出勤簿(第109条)

出面表があれば、出勤状況や労働者の名前、給料の支払い状況がわかるため、法定三帳簿を作成する際に活用できます。

3. 原価管理

建設業で最もコストがかかりやすいのが人件費です。出面がしっかり管理されていれば、人件費の把握が正確になり、予算オーバーを未然に防げます

出面帳に記載された情報は、工事全体の原価管理や支払業務の根拠となります。例えば、下請け会社に支払う場合は「○月○日、大工5名が合計40時間作業」などのデータから請求金額を算出します。

4. 安全管理

現場では「無災害記録」をつけています。実際の現場で何人働いて(何時間働いて)無災害が続いているかという記録です。この記録を月ごとに会社に報告するため、出面を取る必要があります。

安全管理における「度数率」や「強度率」といった指標の分母には延べ労働時間が用いられており、正確な出面により精度の高い安全管理が可能になります。

5. 業務改善

出面表を活用すると、作業員の労働時間が長すぎないか、無理な作業が連続していないかなどをチェックでき、仕事量やスケジュールを調整して業務改善を図れます。

人工(にんく)の基礎知識

出面管理を理解するうえで欠かせないのが「人工(にんく)」という概念です。

人工とは

人工(にんく)とは、1人の作業員が1日(8時間)でこなせる作業量を表す単位です。人件費の計算や工程管理において、重要な指標となります。

表記意味
1人工1人の作業員が1日(8時間)働いた作業量
0.5人工1人の作業員が半日(4時間)働いた作業量
5人工5人の作業員が1日働いた作業量、または1人が5日働いた作業量

人工の計算方法

人工は以下の計算式で求められます。

人工 =(人数 × 作業時間)÷ 8時間

【計算例】

作業条件計算式結果
作業員1人で4時間の作業(1人 × 4時間)÷ 8時間0.5人工
作業員1人で2時間の作業(1人 × 2時間)÷ 8時間0.25人工
作業員3人で8時間の作業(3人 × 8時間)÷ 8時間3人工

人工代とは

人工代(にんくだい)とは、1日仕事をして発生した人件費のことを指します。技術力なども含めた1日あたりの金額のため、作業した時間が2時間でも8時間でも、金額は変わりません。

人工代の計算方法:

人工代 = 1人工の単価 × 人数 × 労働日数

【計算例】
1人工の単価が3万円、作業員2人が2日間作業した場合
3万円 × 2人 × 2日 = 12万円(4人工)

人工代の相場

人工代の相場は、国土交通省が毎年公表する「公共工事設計労務単価」を参考にします。令和6年3月から適用される主な職種の労務単価は以下のとおりです。

参考:国土交通省「令和7年度 公共工事設計労務単価

職種全国平均(円/日)
普通作業員約21,800円
大工約27,700円
鉄筋工約28,300円
とび工約28,100円
電工約30,100円
塗装工約32,700円

※職種や地域、作業の難易度、経験年数、資格の有無などによって単価は異なります。

歩掛(ぶがかり)の基礎知識

人工と関連して理解しておきたいのが「歩掛(ぶがかり)」です。

歩掛とは

歩掛(ぶがかり)とは、ある作業を行うのに必要な労務量を、標準的な条件のもとで算出した基準値のことです。作業ごとに「必要な手間」を数値化したもので、見積作成や工程管理に活用します。

歩掛で使用する単位が「人工(にんく)」です。

歩掛の活用例

例えば、作業員1人で2時間かかる作業Aの歩掛は0.25人工です。

(1人 × 2時間)÷ 8時間 = 0.25人工

この作業を4件行う場合、必要な人工は:
0.25人工 × 4件 = 1人工(8時間)

ここに労務単価をかけると、労務費を算出できます。
1人工 × 21,200円 = 21,200円

標準歩掛

国土交通省では、工事の適正予定価格を算出するために「公共建築工事標準単価積算基準」で標準歩掛を設定しています。材料の種類やサイズ別に標準的な値が定められており、見積作成の参考になります。

出面表のテンプレート

出面表のテンプレートを紹介します。自社の業務に合わせてカスタマイズしてご活用ください。

VALTEC出面表テンプレート

プロワン出面表テンプレート

出面管理の方法

出面管理の方法には、主に3つの手段があります。

1. 紙での管理

従来、出面表は紙で作成するのが一般的でした。作業員が現場に出入りする際に、氏名や入退場時間を手書きで記録する方法です。

メリットデメリット
シンプルで誰でも対応できる紙自体を紛失する恐れがある
特別な機器が不要データ入力に二度手間がかかる
導入コストが低い集計・分析に時間がかかる

2. エクセルでの管理

出面表のエクセルテンプレートを利用すれば、データを入力するだけで簡単に出面表を作成できます。

メリットデメリット
関数で自動計算ができるスマホでは操作しにくい
人為的ミスを防げるファイル管理が煩雑になりがち
印刷して紙として保管も可能リアルタイム共有が難しい

エクセルで使える便利な関数:

  • SUM関数:作業時間の合計
  • COUNTA関数:出勤日数のカウント
  • IF関数:条件による判定

3. アプリ・システムでの管理

最近では、スマートフォンやタブレットからアプリを使って出面管理を行う方法が注目されています。

メリットデメリット
どこからでも入力・編集が可能導入費用がかかる場合がある
リアルタイムで情報共有操作方法を覚える必要がある
労務計算を自動化できるネット環境が必要
検索・整理が簡単

出面管理の注意点

出面管理で気をつけるべきポイントを4つ紹介します。

1. 重複カウントの防止

同じ作業員が複数の現場を移動する場合、重複してカウントしないよう注意が必要です。現場ごとに正確な時間を記録しましょう。

2. 記録の精度向上

出面は自己申告の形で提出されることが多いため、記録の精度が課題になります。厚生労働省のガイドラインでは、自己申告をベースにした曖昧な労働時間の把握は望ましくないとされています。

3. 個人情報とプライバシー

出面表には作業員の個人情報が含まれるため、適切な管理と取り扱いが求められます。

4. 法令遵守とエビデンス

労働基準法に基づく労働時間管理の観点から、出面表はエビデンス(証拠)として重要な役割を果たします。適切に保管しておきましょう。

まとめ

出面(でめん)とは、建設工事現場に出た労働者の一日あたりの人数を指す建設業特有の用語です。労務管理、賃金計算、原価管理、安全管理において非常に重要な役割を果たします。

この記事のポイント:

  • 出面は「でめん」または「でづら」と読む
  • 出面表は作業員の出勤日数・作業時間を記録する表
  • 出面管理の目的は賃金管理、労務管理、原価管理、安全管理
  • 人工(にんく)は1人の作業員が1日8時間で行える作業量
  • 人工代は1人工あたりの人件費で、国土交通省の労務単価が参考になる
  • 歩掛は作業ごとの必要な手間を数値化したもの
  • 出面管理は紙、エクセル、アプリの3つの方法がある

出面管理を適切に行うことで、人件費の正確な把握、労働環境の改善、工事の採算管理につなげましょう。

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