「工事写真の黒板に何を書けばいいかわからない」「検査で指摘されない黒板の書き方を知りたい」「効率的に黒板を作成したい」。工事写真の黒板の書き方に悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

工事写真の黒板は、写真だけでは伝わらない情報を補足し、施工状況を正確に記録するための重要なツールです。正しい書き方を身につければ、検査で指摘を受けることなく、スムーズに工事記録を残せます。
この記事では、工事写真の黒板の書き方を完全ガイドとして解説します。必要な記載項目、記入例、テンプレートも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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工事写真の黒板とは
工事写真の黒板(小黒板)とは、工事写真を撮影するときに詳細な現場状況を記し、撮影対象と一緒に写すための板のことです。
工事写真の被写体だけでは、それがいつ・どこで・何の工事なのかがわかりません。黒板に必要な情報を記載して写真に写し込むことで、施工状況を正確に記録できます。
黒板の役割・重要性
工事写真における黒板には、以下の役割があります。
- 情報の補足:写真だけでは伝わりにくい詳細情報を記載
- 施工の証明:適切な材料・工法で施工されたことを証明
- 進捗の記録:工事の進行状況を記録
- 検査資料:施主や役所の検査に対応するための証拠資料
- トラブル防止:後日の確認やクレーム対応時の客観的な証拠
たとえば、ただの鉄筋の写真だけでは、それが柱の配筋なのか梁の配筋なのかわかりません。しかし、黒板に「○○工事」「柱C1」「配筋完了」「2025年4月10日」と書かれていれば、その写真がいつ・どこで・どの作業を記録したものか、はっきり読み取れます。
黒板は義務?
工事写真に黒板を写し込むことは、法令で明確に義務づけられているわけではありません。しかし、公共工事や多くの元請契約では、黒板によって必要な情報を写真に記録することが実質的に求められています。
国土交通省が定める「営繕工事写真撮影要領」では、撮影時に黒板などを使って「工事名」「撮影場所」「施工状況」などを明確に示すことが推奨されています。
黒板に記載する項目【必須項目一覧】
工事写真の黒板に記載すべき項目を解説します。国土交通省の写真管理基準では、以下の項目のうち必要な事項を小黒板に記載するよう定めています。
基本の記載項目
| 項目 | 内容 | 5W1H |
|---|---|---|
| 工事名 | 工事の名称(例:○○邸新築工事) | What(何を) |
| 工種・種別 | 工事の種類(例:基礎工事、配筋工事) | What(何を) |
| 撮影部位・箇所 | 撮影している場所(例:1階柱C1、2階床) | Where(どこで) |
| 施工状況 | 作業内容(例:配筋完了、打設前) | How(どのように) |
| 撮影日 | 撮影した日付(例:2025年4月10日) | When(いつ) |
| 施工者名 | 施工会社名または担当者名 | Who(誰が) |
必要に応じて記載する項目
| 項目 | 内容 | 記載する場面 |
|---|---|---|
| 設計寸法 | 設計図に記載された寸法 | 出来形管理写真 |
| 実測寸法 | 実際に測定した寸法 | 出来形管理写真 |
| 使用材料 | 材料名・規格・メーカー名 | 材料検収写真 |
| 測点 | 測点番号(例:No.5+10.0) | 土木工事 |
| 略図 | 撮影位置や構造を示す簡易図 | 位置関係を示す場合 |
黒板の書き方【5つのポイント】
黒板を書く際に意識すべき5つのポイントを解説します。
ポイント1:5W1Hを意識する
黒板の内容は「5W1H」を意識して書くことが大切です。5W1Hが記入されていれば、情報が伝わりやすい工事写真ができます。
| 5W1H | 対応する項目 | 記入例 |
|---|---|---|
| When(いつ) | 撮影日 | 2025年4月10日 |
| Where(どこで) | 撮影部位・箇所 | 1階 柱C1 |
| Who(誰が) | 施工者名 | ○○建設株式会社 |
| What(何を) | 工事名・工種 | ○○邸新築工事 配筋工事 |
| Why(なぜ) | 撮影目的 | 配筋検査のため |
| How(どのように) | 施工状況 | 配筋完了 |
ポイント2:書き方を統一する
黒板の書き方は統一することが重要です。書き方が統一されていれば、写真管理や確認作業がスムーズに進みます。
複数の担当者が黒板を記入する場合は、あらかじめテンプレートを作成しておきましょう。テンプレートに沿って書くことを周知しておけば、誰が担当しても書き方を統一できます。
ポイント3:読みやすい字で書く
黒板に書く文字は大きく、読みやすい字で書きましょう。写真で確認した際に読めなければ意味がありません。
注意すべき文字:
- 「シ」「ツ」などの間違いやすいカタカナ
- 「1」「7」「l」などの数字・アルファベット
- 癖のあるひらがな
誰が見ても読める字を意識して、丁寧に書くことが大切です。
ポイント4:黒板と写真の内容を一致させる
黒板の記載内容と撮影している工事の内容が一致していることを確認しましょう。
撮影箇所が多いと、黒板の内容が別の現場のものになっていたり、現場状況と記載内容が違っていたりする場合があります。元請け会社への提出時に成果品として認められないこともあるため、撮影前に必ず確認しましょう。
ポイント5:視認性を確保する
黒板は写真で視認できる位置に配置しましょう。以下の点に注意が必要です。
- 適切なサイズ:大きすぎて被写体を隠さない、小さすぎて文字が読めない
- 反射に注意:直射日光による照り返しで文字が見えなくならないよう角度を調整
- 影に注意:撮影者の影が黒板にかからないように
- 被写体との位置関係:黒板と対象物が両方しっかり見える構図に
黒板の記入例【工種別テンプレート】
工種別の黒板の記入例を紹介します。テンプレートとして活用してください。
基礎工事(配筋工事)の記入例
| 工事名 | ○○邸新築工事 |
| 工種 | 基礎工事 |
| 種別 | 配筋工事 |
| 撮影部位 | 基礎配筋 柱C1 |
| 施工状況 | 配筋完了(コンクリート打設前) |
| 撮影日 | 2025年4月10日 |
| 施工者 | ○○建設株式会社 |
コンクリート打設工事の記入例
| 工事名 | ○○ビル新築工事 |
| 工種 | 躯体工事 |
| 種別 | コンクリート打設 |
| 撮影部位 | 2階床スラブ |
| 施工状況 | 打設状況 |
| 使用材料 | 普通コンクリート 24-18-20N |
| 撮影日 | 2025年5月15日 |
| 施工者 | ○○建設株式会社 |
外壁工事の記入例
| 工事名 | ○○マンション大規模修繕工事 |
| 工種 | 外壁工事 |
| 種別 | タイル貼り |
| 撮影部位 | 南面 3階 |
| 施工状況 | タイル貼り完了 |
| 撮影日 | 2025年6月20日 |
| 施工者 | ○○リフォーム株式会社 |
電気工事の記入例
| 工事名 | ○○邸新築工事 |
| 工種 | 電気設備工事 |
| 種別 | 配線工事 |
| 撮影部位 | 1階リビング 天井内 |
| 施工状況 | 配線完了(天井下地前) |
| 撮影日 | 2025年7月5日 |
| 施工者 | ○○電気工業 |
配管工事の記入例
| 工事名 | ○○邸新築工事 |
| 工種 | 給排水設備工事 |
| 種別 | 給水配管 |
| 撮影部位 | 1階床下 キッチン配管 |
| 施工状況 | 配管完了(床下地前) |
| 使用材料 | 架橋ポリエチレン管 16A |
| 撮影日 | 2025年7月10日 |
| 施工者 | ○○設備工業 |
出来形管理写真の記入例
| 工事名 | ○○道路改良工事 |
| 工種 | 舗装工 |
| 種別 | アスファルト舗装 |
| 測点 | No.5+10.0 |
| 施工状況 | 舗装厚測定 |
| 設計値 | 50mm |
| 実測値 | 52mm |
| 撮影日 | 2025年8月1日 |
| 施工者 | ○○土木株式会社 |
黒板の種類【手書き黒板と電子黒板】
工事写真に用いる黒板には、手書き黒板と電子黒板の2種類があります。
比較表
| 項目 | 手書き黒板 | 電子黒板 |
|---|---|---|
| 作成方法 | 手書きで記入 | アプリで入力 |
| 持ち運び | 実物の黒板が必要 | スマホ・タブレットのみ |
| 修正 | 消して書き直し | 簡単に修正可能 |
| テンプレート | 都度手書き | 保存・再利用可能 |
| 視認性 | 書く人の字による | 常にきれいな文字 |
| 初期費用 | 黒板購入費のみ | アプリ利用料 |
| 効率 | 時間がかかる | 大幅に効率化 |
手書き黒板のメリット・デメリット
メリット:
- 初期費用が安い
- デジカメでも使える
- 電池切れの心配がない
デメリット:
- 書き換えに手間がかかる
- 黒板の持ち運びが必要
- 2人以上での撮影が必要な場合がある
- 字が読みにくくなることがある
電子黒板のメリット・デメリット
メリット:
- 黒板の持ち運びが不要
- 1人でも撮影できる
- テンプレートを保存・再利用できる
- 常にきれいな文字で表示
- 修正が簡単
- 写真台帳の自動作成と連携
デメリット:
- アプリの利用料が発生する場合がある
- 操作に慣れが必要
- 粉塵が舞う現場ではスマホが使いにくい
撮影時の注意点
黒板を使って工事写真を撮影する際の注意点を解説します。
1. 撮影タイミングを計画する
工事写真は撮影するタイミングが重要です。工事が進んでしまうと、後から撮り直しができない場合があります。
事前に撮影計画を立て、撮影タイミングを逃さないようにしましょう。特に不可視部分(完成後に見えなくなる部分)は、適切なタイミングで必ず撮影してください。
2. 写真の編集は禁止
工事写真は撮影後の編集・加工が禁止されています。色補正や切り抜きも「改ざん」とみなされる可能性があります。
ただし、「デジタル工事写真の小黒板情報電子化基準」に基づく電子黒板の使用は認められています。
3. 撮影後すぐに確認する
撮影後はすぐにその場で写真を確認しましょう。以下の点をチェックします。
- ピントが合っているか
- 黒板の文字が読み取れるか
- 必要な要素がすべて写っているか
- 黒板の内容と撮影対象が一致しているか
4. 試し撮りをする
本撮影の前に試し撮りをして、黒板の位置や角度を確認しましょう。特に以下の点に注意が必要です。
- 直射日光による反射で文字が見えなくなっていないか
- 撮影者の影が写り込んでいないか
- 黒板と被写体の両方がしっかり写っているか
よくあるNG例と対策
黒板の書き方でよくあるNG例と対策を紹介します。
| NG例 | 問題点 | 対策 |
|---|---|---|
| 文字が小さすぎる | 写真で読み取れない | 大きく太い字で書く |
| 文字が読みにくい | 誰が書いたかで品質がバラバラ | 丁寧に書く、電子黒板を使う |
| 黒板が反射している | 文字が白飛びして見えない | 角度を調整して撮影 |
| 黒板が小さすぎる | 文字が読めない | 適切なサイズの黒板を使う |
| 黒板が大きすぎる | 被写体を隠してしまう | 配置を工夫する |
| 内容が間違っている | 別の工事の情報が記載されている | 撮影前に必ず確認 |
| 必要項目が不足 | 5W1Hが揃っていない | チェックリストで確認 |
| 書き方がバラバラ | 担当者によって書き方が違う | テンプレートを作成 |
黒板作成を効率化する方法
黒板作成の効率化方法を3つ紹介します。
1. テンプレートを事前に作成する
工事ごとに黒板のテンプレートを事前に作成しておきましょう。工事名や施工者名など、毎回同じ内容はあらかじめ記入しておき、撮影部位や施工状況だけを書き換えれば効率的です。
2. 撮影計画を共有する
撮影計画を関係者全員で共有し、黒板に書く内容を事前に決めておくと効率的です。撮影タイミングと黒板の内容を一覧にしておくと、撮り忘れや記載ミスを防げます。
3. 電子黒板アプリを活用する
電子黒板アプリを使えば、黒板作成の手間を大幅に削減できます。

電子黒板アプリのメリット:
- テンプレートを保存・再利用できる
- よく使う黒板をお気に入り登録できる
- 履歴機能で過去の黒板を呼び出せる
- 常にきれいな文字で表示される
- 1人でも撮影できる
- 写真台帳の自動作成と連携
まとめ
工事写真の黒板は、写真だけでは伝わらない情報を補足し、施工状況を正確に記録するための重要なツールです。正しい書き方を身につけて、検査に通る工事写真を作成しましょう。
黒板の書き方のポイント:
- 5W1Hを意識する:いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように
- 書き方を統一する:テンプレートを作成して共有
- 読みやすい字で書く:大きく、丁寧に
- 黒板と写真の内容を一致させる:撮影前に必ず確認
- 視認性を確保する:反射や影に注意
必須の記載項目:
- 工事名
- 工種・種別
- 撮影部位・箇所
- 施工状況
- 撮影日
- 施工者名
電子黒板アプリを活用すれば、黒板作成の効率化と写真台帳の自動作成が可能です。ぜひ導入を検討してみてください。

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