117_施工管理とは

施工管理とは?現場監督との違いや役割を解説

「施工管理って具体的にどんな仕事?」「現場監督とは何が違うの?」「必要な資格やスキルは?」。建設業界への就職・転職を考えている方や、建設業に関わる仕事をしている方なら、このような疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。

施工管理とは?現場監督との違いや役割を解説

施工管理とは、建設工事が計画通りに、安全かつ高品質に完成するよう現場全体を管理・統括する仕事です。よく混同される「現場監督」とは、業務範囲や役割に違いがあります。

この記事では、施工管理の基本的な役割から、現場監督との違い、主な仕事内容である「4大管理」、必要なスキルや資格まで詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

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施工管理とは

施工管理とは、建設工事の現場を指揮・監督し、工事全体を管理する仕事です。工事が安全かつスムーズに進行するように、工程・品質・安全・原価を総合的に管理します。

建設工事には、高層ビルやマンション、商業施設、道路、橋梁など、規模の大きなプロジェクトも多くあります。こうした工事では、作業員や専門工事業者など多くの人が関わるため、全体を統括して管理する存在が不可欠です。その役割を担うのが施工管理です。

施工管理の基本的な役割

施工管理の基本的な役割は、以下のとおりです。

参考記事:国土交通省「監理技術者等の職務(役割)の明確化

  • 工事の計画立案:施工計画書や工程表の作成
  • 現場の指揮・監督:作業員への指示、進捗状況の確認
  • 関係者との調整:発注者、設計者、協力会社との打ち合わせ
  • 品質・安全の確保:設計図通りの施工、事故防止対策
  • コスト管理:予算内での工事完了
  • 書類作成・手続き:各種申請書類の作成、役所への届出

施工管理者は、発注者(施主)と元請け建設会社、そして様々な専門工事業者(下請け)の間に立ち、プロジェクト全体の進行をコントロールする司令塔のような存在です。

建設業法における位置づけ

建設業法では、工事の規模に応じて「主任技術者」または「監理技術者」を現場に配置することが義務付けられています。

国土交通省によれば、これらの技術者は「工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理等技術上の管理を行う者」とされています。施工管理技士の資格を持つ技術者がこの役割を担うことが一般的です。

施工管理と現場監督の違い

施工管理と現場監督は混同されやすい職種ですが、役割には違いがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

業務範囲の違い

施工管理と現場監督の最も大きな違いは、業務範囲の広さです。

項目施工管理現場監督
業務範囲工事全体の管理(現場+事務作業)現場での作業管理が中心
主な業務施工計画作成、工程表作成、予算管理、書類作成、関係者との調整、現場管理作業員への指示、資材の手配、現場の安全確認、進捗管理
勤務場所現場と事務所を行き来主に現場に常駐
デスクワーク多い比較的少ない

簡単に言えば、施工管理は「プロジェクト全体の責任者」、現場監督は「現場作業の司令塔」というイメージです。

施工管理が作成した計画書や工程表をもとに、現場監督が工事現場で作業員に指示を出すという流れで工事が進みます。

資格の違い

もう一つの大きな違いは、資格の有無です。

施工管理には「施工管理技士」という国家資格があります。一方、現場監督には特定の資格は必要ありません。

項目施工管理現場監督
国家資格施工管理技士(7種類)なし
資格の必要性主任技術者・監理技術者になるには必要資格がなくても就ける

「施工管理技士」の資格を持っている人を施工管理者とする企業もあります。

実際には兼任することも多い

ここまで施工管理と現場監督の違いを説明しましたが、実際には両者を明確に区別せず、同じ人が両方の業務を担当するケースも多いです。

特に中小規模の建設会社では、人材の数が限られているため、施工管理と現場監督を兼任することが一般的です。求人情報でも「施工管理」と「現場監督」が同じ意味で使われている場合もあります。

応募する際は、具体的な仕事内容や求められる資格を確認しておくことをおすすめします。

施工管理の4大管理とは

施工管理の仕事で最も重要なのが「4大管理」と呼ばれる管理業務です。4大管理は以下の4つで構成されています。

  • 工程管理
  • 品質管理
  • 安全管理
  • 原価管理

これら4つの管理項目は互いに深く関連しており、どれか1つでも問題が発生すると他の項目にも悪影響を及ぼします。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

工程管理

工程管理とは、工事が期限(工期)までに完了するよう、スケジュールを作成・管理することです。

具体的な業務内容は以下のとおりです。

  • 工程表(スケジュール)の作成
  • 各工程の作業内容、開始日、終了日の設定
  • 必要な作業員・資材・機材の手配
  • 進捗状況の確認と調整
  • 遅延が発生した場合のリカバリー策の検討

工程管理は、原価管理や品質管理にも影響するため、施工管理の要といっても過言ではありません。天候不良や予期せぬトラブルで工程が遅れることもあるため、臨機応変な対応力が求められます。

品質管理

品質管理とは、建築物が設計図どおりに、定められた品質基準を満たして施工されているか確認することです。

具体的な業務内容は以下のとおりです。

  • 設計図・仕様書との照合確認
  • 使用する材料の品質チェック
  • 各工程での品質試験・検査の実施
  • 施工状況の写真撮影・記録
  • 不備があった場合の修正指示

定められた品質を守ることは、完成した建物の安全性や耐久性を確保するだけでなく、発注者からの信頼獲得や会社の評判向上にもつながります。

安全管理

安全管理とは、作業員や近隣住民の安全を確保し、事故を未然に防ぐことです。建設現場は危険と隣り合わせの環境であり、安全管理は4大管理の中でも最も優先度が高いとされています。

具体的な業務内容は以下のとおりです。

  • 現場の危険箇所の把握と対策(手すり・安全看板の設置など)
  • 安全帯・ヘルメットなど保護具の使用徹底
  • 朝礼での注意喚起(KY活動)
  • 安全協議会の開催
  • ヒヤリハット報告の収集・分析
  • 熱中症対策の実施

建設現場では毎年、重大な労災事故が発生しています。施工管理者が率先して現場の安全を管理し、事故ゼロを目指すことが求められます。

原価管理

原価管理とは、工事にかかる費用(人件費、資材費、機械レンタル料など)を管理し、予算内で工事を完了させることです。

具体的な業務内容は以下のとおりです。

  • 実行予算書の作成
  • 収支と支出の管理
  • 無駄なコストの削減
  • 資材発注の最適化
  • 適切な人員配置

建設会社にとって、工事で確保される利益は経営に直結します。予算を超過すれば赤字になってしまうため、コストを管理しながら適正な利益を確保することが重要です。

近年は「5大管理」「6大管理」も

近年では、4大管理に加えて「環境管理」を含めた「5大管理(QCDSE)」という考え方も広まっています。

環境管理では、工事による騒音・振動・粉塵の抑制、廃棄物の適正処理、近隣住民への配慮などを行います。環境意識の高まりとともに、施工管理者が担う役割はさらに広がっています。

施工管理の具体的な仕事内容

4大管理以外にも、施工管理にはさまざまな業務があります。具体的な仕事内容を見ていきましょう。

施工管理の具体的な仕事内容

施工計画の作成

工事を始める前に、施工計画書を作成します。施工計画書には、工事の概要、工程、施工方法、使用する機材、安全対策などが記載されます。この計画をもとに工事が進められるため、非常に重要な書類です。

工程表の作成・管理

工事全体のスケジュールを示す工程表を作成します。各工程の開始日・終了日、必要な作業員数、資材の搬入時期などを計画し、進捗に応じて調整を行います。

関係者との打ち合わせ・調整

施工管理者は、発注者、設計者、協力会社、作業員など、多くの関係者との調整役を担います。定期的な打ち合わせを行い、工事の進捗状況や問題点を共有し、意見を調整してプロジェクトを円滑に進めます。

書類作成・申請手続き

施工管理には多くのデスクワークが含まれます。具体的には以下のような書類作成・手続きがあります。

  • 施工計画書・工程表の作成
  • 工事日報・報告書の作成
  • 品質管理記録の作成
  • 役所への各種申請・届出
  • 竣工書類の作成

現場の巡回・確認

日々の現場巡回では、作業の進捗状況、品質、安全面などを確認します。問題があれば作業員に指示を出し、必要に応じて計画を修正します。

資材・人員の手配

工事に必要な資材の発注や、作業員・重機の手配も施工管理の仕事です。適切なタイミングで必要なものを確保することで、工程の遅延を防ぎます。

施工管理に必要なスキル

施工管理者には、さまざまなスキルが求められます。特に重要なスキルを紹介します。

コミュニケーション能力

施工管理者は、発注者、設計者、協力会社、作業員など、多くの関係者と日々やり取りを行います。相手の立場を理解し、円滑にコミュニケーションを取る能力が欠かせません。

リーダーシップ

多くの作業員や協力会社をまとめ、同じ目標に向かって動かすリーダーシップが必要です。時には厳しい判断を下し、チームを導く力が求められます。

スケジュール管理能力

工程管理を適切に行うためには、スケジュール管理能力が不可欠です。複数のタスクを同時に進める「マルチタスク能力」も求められます。

問題解決能力

建設現場では、天候不良、資材の遅延、人員不足など、予期せぬトラブルが日常的に発生します。問題を迅速に把握し、適切な対応策を講じる能力が必要です。

危機管理能力

安全管理を徹底するためには、常にリスクを想定し、事前に対策を立てておく危機管理能力が求められます。事故やトラブルが発生した際には、迅速かつ的確に対応する判断力も必要です。

パソコンスキル

施工管理にはデスクワークも多く含まれるため、基本的なパソコンスキル(Word、Excel、メールなど)は必須です。CADソフトや施工管理アプリを使う場面もあります。

施工管理に必要な資格

施工管理の仕事をするにあたり、必ずしも資格が必要というわけではありません。しかし、「施工管理技士」の資格を取得することで、仕事の幅が広がり、キャリアアップにつながります

施工管理技士とは

施工管理技士は、施工管理技術検定に合格した人に与えられる国家資格です。建設工事現場において、工程管理・品質管理・安全管理などを行うための知識・技術を証明するものです。

施工管理技士には以下の7種類があります。

資格名対象工事
建築施工管理技士建築工事全般(ビル、マンション、住宅など)
土木施工管理技士土木工事全般(道路、橋梁、ダムなど)
電気工事施工管理技士電気工事
管工事施工管理技士空調・給排水などの管工事
電気通信工事施工管理技士電気通信工事
造園施工管理技士造園工事
建設機械施工管理技士建設機械を使った工事

それぞれ1級と2級があり、1級の方が大規模な工事を担当できます。

資格取得のメリット

施工管理技士の資格を取得すると、以下のようなメリットがあります。

  • 主任技術者・監理技術者になれる:1級取得で監理技術者、2級取得で主任技術者として認められる
  • 年収アップが期待できる:資格手当が支給される会社が多い
  • 転職に有利:人材不足の建設業界では、有資格者は引く手あまた
  • キャリアアップ:より大きなプロジェクトを任されるようになる

施工管理のやりがい

施工管理の仕事には、多くのやりがいがあります。

成果が形として残る

自分が携わった建物やインフラが形として残り、地図に載ることもあります。完成した建物を見て達成感を感じられるのは、建設業ならではの醍醐味です。

社会貢献度が高い

建物やインフラは人々の生活を支えるものです。自分の仕事が社会に貢献していることを実感でき、充実感を得られます。

スキルアップできる

施工管理の業務は多岐にわたるため、経験を積む中で幅広いスキルが身につきます。技術的な知識だけでなく、コミュニケーション能力やマネジメント能力も磨かれます。

施工管理の業務効率化には施工管理アプリが有効

施工管理の業務は多岐にわたり、現場と事務所を行き来しながら多くのタスクをこなす必要があります。そこで役立つのが施工管理アプリです。

施工管理アプリでできること

機能効果
工程管理工程表の作成・共有、進捗状況のリアルタイム確認
写真管理工事写真の撮影・自動整理、台帳作成の効率化
報告機能日報・報告書の作成、現場からの報告がスマホで完結
情報共有図面・資料の共有、チャットでのコミュニケーション
カレンダー連携スケジュール管理、予定の共有

施工管理アプリを選ぶポイント

施工管理アプリを選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。

  • 使いやすさ:現場スタッフがすぐに使いこなせるシンプルな操作性
  • 必要な機能:案件管理、工程管理、写真管理、報告機能など
  • 導入コスト:初期費用、月額費用、外部メンバーの利用料金
  • サポート体制:導入支援、問い合わせ対応の充実度
  • 他ツールとの連携:LINEやGoogleカレンダーなど既存ツールとの連携

特に中小規模の建設会社には、シンプルで使いやすく、導入コストが抑えられるアプリがおすすめです。

Anymore施工管理:概要説明
引用元:Anymore施工管理説明資料

まとめ

施工管理とは、建設工事を計画通りに、安全かつ高品質に完成させるために現場全体を管理・統括する仕事です。

この記事のポイントをまとめると以下のとおりです。

  • 施工管理は工事全体を管理、現場監督は現場作業の指揮が中心
  • 施工管理には「施工管理技士」という国家資格がある
  • 4大管理(工程・品質・安全・原価)が施工管理の基本業務
  • コミュニケーション能力、リーダーシップ、問題解決能力などが必要
  • 成果が形として残る、社会貢献度が高いなど、やりがいのある仕事

施工管理の業務は多岐にわたりますが、施工管理アプリを活用することで業務効率化を図ることができます。情報共有や書類作成の手間を削減し、より本質的な業務に集中できる環境を整えてみてはいかがでしょうか。

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