131_建設業のIT化とは

建設業のIT化とは?導入のポイントと成功事例を紹介

目次

建設業のIT化とは?

建設業のIT化とは、情報技術(IT)を活用して建設業務の効率化や生産性向上を図ることです。スマートフォンやタブレット、クラウドサービス、各種アプリなどのITツールを導入し、従来のアナログな業務をデジタル化することで、作業時間の短縮やコスト削減を実現します。

この記事では、建設業のIT化について、必要性やメリット、導入のポイント、成功事例まで詳しく解説します。IT化を検討している建設会社の方は、ぜひ参考にしてください。

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参考記事:国土交通省「建設産業・不動産業:建設業におけるITの活用について

IT化とICT化の違い

IT化と似た言葉に「ICT化」があります。両者の違いを整理しておきましょう。

用語正式名称意味
ITInformation Technology情報技術。コンピューターやソフトウェアなどの情報機器そのものを指す
ICTInformation and Communication Technology情報通信技術。ITに加えて、コミュニケーションや情報伝達の技術を含む

ICTはITよりも広い概念で、インターネットやSNS、クラウドサービスなども含まれます。国際的にはITとICTはどちらも「ICT」と認識されていることが多く、建設業界でもIT化・ICT化はほぼ同義で使われています。

建設業のIT化の具体例

建設業でのIT化には、さまざまな取り組みがあります。代表的な例を紹介します。

  • 施工管理アプリの導入:工程管理、写真管理、報告業務をスマホやタブレットで一元管理
  • クラウドによる図面・資料共有:図面や設計書をクラウド上で管理し、関係者全員がリアルタイムでアクセス
  • 勤怠管理システム:スマホアプリやGPSを活用した正確な労働時間の記録
  • Web会議ツール:遠隔地との打ち合わせをオンラインで実施
  • ドローンによる測量・点検:空撮による現場の状況把握や3D測量
  • BIM/CIM:3Dモデルを活用した設計・施工の一元管理
  • 電子黒板・電子小黒板:施工写真撮影時の情報入力を効率化

建設業でIT化が求められる背景

建設業でIT化が必要な背景

なぜ今、建設業でIT化が強く求められているのでしょうか。その背景には、業界が抱える深刻な課題があります。

深刻な人手不足と高齢化

建設業界は慢性的な人手不足に悩まされています。国土交通省の調査によると、建設業就業者の約3割が55歳以上で、29歳以下は約1割にとどまっています。

このまま高齢化が進めば、熟練技術者の退職とともに技術継承が困難になり、業界全体の衰退につながりかねません。限られた人員で効率的に業務を進めるために、IT化による生産性向上が不可欠となっています。

働き方改革への対応

2024年4月から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました原則として月45時間以内、年360時間以内に残業を抑える必要があります。

参考記事:

建設業は他業界と比較して労働時間が長い傾向があり、これまでの働き方を続けていては法令を遵守できません。IT化によって業務を効率化し、労働時間を削減することが急務となっています。

生産性向上の遅れ

建設業は他業界と比べて生産性向上が遅れていると指摘されています。バブル崩壊後、労働力が過剰だった時代には省力化の必要性が低く、生産性を向上させる取り組みが積極的に行われてきませんでした。

しかし、人手不足が深刻化する現在、少ない人員でも効率的に作業を進められるよう、IT化による生産性向上が求められています。

国土交通省によるi-Constructionの推進

国土交通省は、建設現場の生産性向上を目指す施策「i-Construction(アイ・コンストラクション)」を推進しています。ICTの全面的な活用、規格の標準化、施工時期の平準化などを通じて、建設業の生産性を2025年度までに2割向上させることを目標としています。

政府が建設業のIT化を後押しする流れの中で、企業としてもIT化に取り組むことが競争力強化につながります。

建設業のIT化が遅れている理由

建設業界では、IT化の必要性が認識されながらも、なかなか進んでいないのが現状です。その理由を見ていきましょう。

建設業のIT化が遅れている理由

アナログ業務が多い

建設業界では、いまだに紙の書類や手書きの図面、電話やFAXでのやり取りが中心となっている現場も少なくありません。長年続いてきたアナログな業務スタイルを変えることへの抵抗感があり、IT化が進みにくい状況です。

従業員の高齢化とITリテラシーの差

建設業では従業員の高齢化が進んでおり、ITツールの操作に不慣れな人が多い傾向があります。新しいシステムの導入に対する心理的なハードルが高く、「使いこなせないのではないか」という不安から導入をためらうケースも見られます。

現場での変更が多い

建設現場では、設計変更や施工方法の修正が頻繁に発生します。「現場での変更が多い」「デジタル化できない作業が多い」と感じている人も多く、IT化が難しいという印象を持たれがちです。

中小企業が多く投資余力が限られる

建設業界の大半は中小企業であり、IT投資に回せる資金が限られています。システム導入にかかる初期費用や、運用にかかるランニングコストが負担となり、IT化に踏み切れない企業も多くあります。

縦割りの分業構造

建設業界は、下請け・孫請けと仕事が流れていく縦割りの分業構造が根強く残っています。自社の判断だけで仕事のやり方を変更しにくく、業界全体でのIT化が進みにくい状況です。

建設業をIT化するメリット

IT化が遅れている建設業ですが、IT化を進めることで多くのメリットが得られます。具体的なメリットを見ていきましょう。

業務効率化・生産性向上

IT化の最大のメリットは業務効率化と生産性向上です。施工管理アプリを導入すれば、現場での写真撮影、整理、報告までをスマホ一台で完結できます。

図面や資料のクラウド管理により、必要な情報を即座に検索・共有できるようになり、資料を探す手間も大幅に削減されます。これまで複数人で行っていた作業を1人で済ませられるようになるなど、少ない人員でも効率的に業務を進められます。

勤怠管理の効率化

IT化によって、従業員の勤怠管理が効率化します。従来は紙の出勤簿やタイムカードで管理していた勤怠状況を、スマホアプリやクラウドシステムで管理できるようになります。

GPSを利用した位置情報や打刻システムを活用すれば、正確な勤務時間や作業場所を記録することも可能です。集計作業も自動化され、労働時間の把握や適切な労働条件の管理が行いやすくなります。

資料の整理・管理の手間削減

建設業では、図面、設計書、契約書、施工写真など大量の資料を扱います。IT化により、これらの資料をデジタルで一元管理できるようになり、整理や検索の手間が大幅に削減されます。

クラウドストレージを活用すれば、いつでもどこでも必要な資料にアクセスでき、関係者との共有もスムーズに行えます。

移動時間の削減

建設業では、現場とオフィス間の移動、打ち合わせのための移動など、多くの時間が移動に費やされています。IT化によって、Web会議ツールを活用した遠隔での打ち合わせや、クラウドを通じた現場状況の確認が可能になり、移動時間を大幅に削減できます。

移動にかかる交通費などのコストや手間が減り、その時間を他の業務に充てることができます。

消耗品コストの削減

建設現場では、図面や写真の印刷のために、コピー用紙やインク代など多くの消耗品が使用されています。IT化によって図面や資料をシステム上で管理できるようになれば、印刷にかかる経費を削減することができます。

ペーパーレス化は環境負荷の軽減にもつながり、企業のSDGsへの取り組みとしてもアピールできます。

情報共有の迅速化・コミュニケーション改善

IT化により、現場と事務所、関係者間での情報共有がリアルタイムで行えるようになります。チャットツールや施工管理アプリを活用すれば、必要な情報を即座に共有でき、「言った・言わない」のトラブルも防止できます。

コミュニケーションが活性化することで、チームワークの向上やミスの防止にもつながります。

安全性の向上

IT化は安全管理の強化にも貢献します。危険箇所の警告システムの導入、作業員の体調管理、ヒヤリハット情報の共有・蓄積など、ICTを活用した安全対策により、労働災害のリスクを低減できます。

ウェアラブルデバイスによる作業員のバイタルチェックや、カメラとセンサーによる危険検知など、最新技術を活用した安全管理も進んでいます。

テレワークの実現

IT化によって、事務作業や設計作業などのテレワーク化が可能になります。クラウドでデータを共有し、Web会議で打ち合わせを行うことで、自宅からでも業務を進められるようになります。

柔軟な働き方を提供できることは、人材採用においても大きなアピールポイントになります。

建設業IT化の成功事例

実際にIT化に取り組み、成果を上げている建設会社の事例を紹介します。

事例①:施工管理アプリ導入で写真管理を効率化(電気工事会社)

ある電気工事会社では、複数の現場を担当する中で、図面の持ち運びや施工写真の管理が課題となっていました。

【導入前の課題】

  • 複数現場の図面を持ち歩くのが大変
  • 施工写真の整理に時間がかかる
  • 確認のために事務所と現場を往復する必要があった

【導入後の効果】

  • デジカメや黒板が不要になり、現場に持っていく荷物がiPad一台に集約
  • クラウドで情報を一元化し、担当者全員で最新の図面を共有
  • 確認や報告のための移動が不要に

事例②:電子黒板アプリで撮影時間を大幅短縮(土木工事会社)

愛知県のある土木工事会社では、写真撮影や記録作業の手間が課題となっていました。

【導入前の課題】

  • 手書き黒板とデジカメを併用しており、準備に時間がかかる
  • 写真整理や鉄筋本数の確認に時間がかかる
  • 作業負担が大きく、残業の原因になっていた

【導入後の効果】

  • 電子黒板アプリの導入で、黒板の準備時間が大幅に短縮
  • 撮影した写真がクラウドに自動保存され、整理の手間が激減
  • 写真撮影にかかる時間が約50%削減

事例③:3D-CAD導入で製造工程を短縮(設備製造会社)

山口県のプラント機器・設備製造会社では、3D-CADを導入することで大きな成果を上げました。

【導入前の課題】

  • 2次元の図面から想像力を駆使して3次元の実物を製造していた
  • 手直しを避けるための確認に時間がかかり、生産力が低下

【導入後の効果】

  • 3Dモデルで形状を円滑に確認でき、製造工程が短縮
  • 業務効率化により、受注件数が増加
  • 見積もりの精度も向上し、顧客満足度がアップ

事例④:クラウド勤怠管理で労務管理を改善(中小建設会社)

従業員30名程度の中小建設会社では、複数の現場を同時に進行する中で、勤怠管理が課題となっていました。

【導入前の課題】

  • 紙の出勤簿で管理しており、集計作業に手間がかかる
  • 現場ごとの労働時間が正確に把握できない
  • 2024年問題への対応として、残業時間の管理強化が必要

【導入後の効果】

  • スマホアプリで打刻でき、現場からでも勤怠報告が可能に
  • GPS機能で作業場所も記録され、労務管理が正確に
  • 残業時間のリアルタイム把握で、上限規制への対応が容易に

事例⑤:Web会議導入で移動時間を削減(総合建設会社)

複数の県にまたがって現場を持つ総合建設会社では、打ち合わせのための移動時間が課題でした。

【導入前の課題】

  • 打ち合わせのために片道2時間以上かけて移動することもあった
  • 移動時間が業務を圧迫し、残業の原因に
  • 現場監督の負担が大きかった

【導入後の効果】

  • 定例会議をWeb会議に切り替え、移動時間を大幅削減
  • 現場からスマホで参加でき、リアルタイムで情報共有
  • 年間の移動時間が約40%削減、交通費も削減

建設業IT化を成功させるポイント

IT化を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。

ポイント①:IT化への抵抗感を減らす

IT化を進める上で最も重要なのは、現場の理解と協力を得ることです。「なぜIT化が必要なのか」「IT化によってどんなメリットがあるのか」を具体的に示し、従業員の抵抗感を解消しましょう。

いきなり全面的に導入するのではなく、まずは興味を持った人や若手から始めて、徐々に広げていく方法も効果的です。

ポイント②:スモールスタートで始める

IT化を急激に進めれば、現場の混乱や抵抗を招きます。小さな範囲から始めて、成功体験を積み重ねることが大切です。

例えば、まずは施工写真の管理だけをアプリ化する、一つの現場だけで試験導入するなど、スモールスタートで始めましょう。効果が実感できれば、自然と全社への展開が進みます。

ポイント③:シンプルで使いやすいツールを選ぶ

ITツールを選ぶ際は、機能の多さよりも使いやすさを重視しましょう。機能が多すぎて複雑なツールは、ITに不慣れな人が使いこなせず、結局使われなくなってしまいます。

直感的に操作でき、特別な研修なしでも使い始められるシンプルなツールがおすすめです。

ポイント④:建設業に特化したツールを選ぶ

汎用的なITツールよりも、建設業界に特化したツールを選ぶことで、スムーズな導入・定着が期待できます。建設業特有の業務フローや用語に対応しているため、現場での使い勝手が良く、導入後のサポートも充実しています。

ポイント⑤:導入後の効果測定と改善を行う

ITツールを導入したら終わりではなく、定期的に効果を測定し、改善を続けることが大切です。「どれだけ業務時間が削減されたか」「どの程度コストが削減されたか」などを数値で把握し、より高い効果が出るよう運用方法を改善していきましょう。

建設業のIT化に活用できるツール

建設業のIT化に活用できる代表的なツールを紹介します。

施工管理アプリ

施工管理アプリは、建設業のIT化において最も導入しやすいツールの一つです。工程管理、写真管理、報告業務、図面共有など、現場の業務を一元管理できます。

機能できること
工程管理工程表の作成・共有、進捗状況の確認
写真管理施工写真の撮影・整理・共有を一元化
報告機能日報・報告書の作成・提出をペーパーレス化
図面共有図面をクラウドで共有、いつでも最新版にアクセス
チャット機能現場と事務所のリアルタイムコミュニケーション
検査機能検査項目の管理、チェックリストのデジタル化

勤怠管理システム

スマホアプリやクラウドを活用した勤怠管理システムにより、従業員の勤務時間をリアルタイムで記録・管理できます。GPS機能で作業場所も記録でき、2024年問題への対応にも役立ちます。

クラウドストレージ

図面や資料をクラウド上で管理し、関係者全員がいつでもどこでもアクセスできるようにします。Googleドライブ、Dropbox、OneDriveなどの汎用サービスのほか、建設業向けの専用サービスもあります。

Web会議ツール

Zoom、Microsoft Teams、Google Meetなどのweb会議ツールを活用すれば、遠隔地との打ち合わせをオンラインで実施できます。移動時間の削減と、迅速な意思決定に貢献します。

タブレット端末

スマートフォンよりも大画面で、図面の確認や入力作業がしやすいタブレット端末は、建設現場での活用に適しています。施工管理アプリや電子黒板アプリなど、さまざまなツールを利用できます。

施工管理アプリ「Anymore」でIT化を実現

建設業のIT化を始めるなら、施工管理アプリ「Anymore」がおすすめです。中小規模の施工会社向けに開発された、業界で最もシンプルで使いやすい施工管理アプリです。

AnymoreがIT化に最適な理由

特徴メリット
シンプルな操作性ITに不慣れな人でも直感的に使える
豊富な機能案件管理、工程管理、写真、報告、検査、発注、請求まで対応
LINE連携普段使い慣れたLINEから通知を受け取れる
Googleカレンダー連携既存のスケジュール管理と連動
リーズナブルな料金初期費用0円、外部メンバー費用0円、月額15,000円〜

Anymoreは、「使いやすさ」を最優先に設計されています。複雑な機能を詰め込むのではなく、現場で本当に必要な機能をシンプルに提供することで、IT化の第一歩として最適なツールとなっています。

建設業のIT化をお考えの方は、ぜひAnymoreをお試しください。

まとめ

この記事では、建設業のIT化について解説しました。

ポイントをまとめると、以下の通りです。

  • 建設業のIT化とは、ITツールを活用して業務効率化・生産性向上を図ること
  • 人手不足、働き方改革、生産性向上の遅れなどを背景に、IT化の必要性が高まっている
  • IT化が遅れている理由は、アナログ業務の多さ、従業員の高齢化、投資余力の限界など
  • IT化のメリットは、業務効率化、勤怠管理の改善、資料管理の手間削減、移動時間削減、コスト削減、情報共有の迅速化、安全性向上など
  • 成功のポイントは、抵抗感の解消、スモールスタート、シンプルなツール選び、効果測定と改善

建設業のIT化は、業務効率化や生産性向上だけでなく、働き方改革への対応、若手人材の確保、企業の競争力強化にもつながります。

まずは施工管理アプリなど、導入しやすいツールから始めて、IT化の効果を実感してみてください。施工管理アプリ「Anymore」は、シンプルで使いやすく、IT化の第一歩として最適です。

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