「施工体制台帳の作り方がわからない」「記入例を見ながら書きたい」「どんな添付書類が必要?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、施工体制台帳の書き方・記入例・添付書類を徹底解説します。作成義務の対象となる工事や、令和6年12月改正の金額基準、保存期間まで、実務で必要な知識をすべてカバーしていますので、ぜひ参考にしてください。
施工体制台帳とは?
施工体制台帳とは、特定の工事に関わる元請企業・下請企業すべての情報や関係を1つにまとめた安全書類(グリーンファイル)です。どの会社がどの工事範囲を担当し、どのような技術者が配置されているかを明確にするために作成します。
施工体制台帳の作成は建設業法第24条の8で義務付けられており、作成を怠ると指導や行政処分の対象となります。
その他の安全書類については「安全書類の作成方法」で詳しく解説しています。
施工体制台帳を作成する3つの目的
施工体制台帳を作成する主な目的は以下の3つです。
①品質・工程・安全などの施工トラブル防止
技術者の配置や下請構造を見える化することで、責任の所在を明確にし、事故や施工ミスを防止します。
②不良・不適格業者の参入防止
建設業許可の有無や社会保険の加入状況を確認し、建設業法違反の発生を防ぎます。
③重層下請構造による生産性低下の防止
下請の階層構造を把握することで、安易な重層下請を抑制し、生産性の低下を防ぎます。
施工体制台帳と施工体系図の違い
施工体制台帳と混同されやすい書類に「施工体系図」があります。
| 書類名 | 内容 | 用途 |
|---|---|---|
| 施工体制台帳 | 元請・下請の詳細情報を記載した台帳 | 現場事務所に備え置き、発注者への提出用 |
| 施工体系図 | 下請の施工分担関係を図式化したもの | 現場の見やすい場所に掲示 |
施工体系図は、施工体制台帳に基づいて作成する書類で、各下請人の施工分担関係が一目でわかるように図式化したものです。施工体制台帳の作成が必要な工事では、施工体系図も作成しなければなりません。
施工体制台帳の作成義務【2025年最新】
施工体制台帳の作成が必要となる工事は、公共工事と民間工事で基準が異なります。令和6年12月の改正により、民間工事の金額基準が引き上げられました。
公共工事の場合
対象工事:発注者から直接請け負った公共工事で、下請契約を締結したすべての工事(金額を問わない)
義務内容:
- 施工体制台帳を工事現場に備え置く
- 施工体制台帳の写しを発注者に提出する
- 施工体系図を工事関係者および公衆の見やすい場所に掲示
民間工事の場合
対象工事:発注者から直接請け負った建設工事で、締結した下請契約の総額が以下の金額以上となった場合
| 工事の種類 | 下請契約の総額(令和6年12月改正後) |
|---|---|
| 建築一式工事 | 8,000万円以上 |
| その他の工事 | 5,000万円以上 |
義務内容:
- 施工体制台帳を工事現場に備え置く
- 発注者から請求があったときは閲覧に供する
- 施工体系図を工事関係者の見やすい場所に掲示
工事請負契約書の詳細については「工事請負契約書とは」をご参照ください。
施工体制台帳の記載事項
施工体制台帳には、建設業法施行規則第14条の2第1項で定められた記載事項をすべて記入する必要があります。記入漏れがあると、発注者から指摘を受けたり、行政処分を受けたりする可能性があります。
施工体制台帳の用紙はA3横サイズで、左側に元請企業の情報、右側に一次下請企業の情報を記入します。
元請企業に関する記載事項(左側)
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 会社名・事業者ID | 元請企業の会社名、CCUS事業者ID(登録している場合) |
| 建設業許可 | 許可番号、許可業種、許可年月日 |
| 工事名称・工事内容 | 発注者との契約書に記載された工事名称と具体的な内容 |
| 発注者名・住所 | 工事の発注者の名称と所在地 |
| 工期 | 発注者との契約書に記載された工期 |
| 契約日 | 発注者と契約を締結した日付 |
| 社会保険の加入状況 | 健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況 |
| 現場代理人 | 氏名、権限および意見申出方法 |
| 監督員 | 氏名、権限および意見申出方法 |
| 監理技術者・主任技術者 | 氏名、資格内容、専任の有無 |
| 専門技術者 | 氏名、担当工事内容、資格内容(配置する場合) |
| 外国人に関する情報 | 特定技能外国人・外国人技能実習生の有無 |
一次下請企業に関する記載事項(右側)
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| 会社名・事業者ID | 一次下請企業の会社名、CCUS事業者ID |
| 代表者名・住所 | 一次下請企業の代表者名と所在地 |
| 建設業許可 | 許可番号、許可業種(工事に必要な業種のみ) |
| 工事名称・工事内容 | 下請契約の工事名称と具体的な内容 |
| 工期 | 元請企業との下請契約で定めた工期 |
| 契約日 | 元請企業と契約を締結した日付 |
| 社会保険の加入状況 | 健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入状況 |
| 現場代理人 | 氏名、権限および意見申出方法 |
| 主任技術者 | 氏名、資格内容、専任の有無 |
| 安全衛生責任者 | 氏名 |
| 雇用管理責任者 | 氏名 |
| 外国人に関する情報 | 特定技能外国人・外国人技能実習生の有無 |
施工計画書の書き方と合わせて確認しておくと、工事着手前の書類準備がスムーズに進みます。
施工体制台帳の書き方・記入例
ここでは、施工体制台帳の具体的な書き方を項目ごとに解説します。
元請企業側の記入例
【会社名・事業者ID】
元請企業の正式名称を記入します。CCUS(建設キャリアアップシステム)に登録している場合は、事業者IDも記入します。
【建設業許可】
元請企業が受けている許可をすべて記入します。
記入例:国土交通大臣許可(特-5)第○○○○号 建築工事業、土木工事業
【工事名称・工事内容】
発注者との契約書に記載された工事名称をそのまま記入し、工事の具体的な内容も記載します。
記入例:○○ビル新築工事 / 鉄骨造、地上5階、延床面積2,000㎡
【現場代理人の権限および意見申出方法】
直近上位の注文者(発注者)との施工に関する意見交換の方法を記入します。
記入例:請負契約書第○条記載のとおり。口頭および文書による。
【監理技術者・主任技術者】
下請契約の請負代金の合計が5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上の場合は監理技術者を、それ未満の場合は主任技術者を配置します。
資格内容には、1級建築施工管理技士などの資格名を記入します。
監理技術者の詳細については「監理技術者とは」をご参照ください。
一次下請企業側の記入例
【主任技術者】
建設業許可を受けた企業は、請け負ったすべての工事に主任技術者を配置する必要があります。
※建設業許可を受けていない場合は、主任技術者の記入は不要です。
【安全衛生責任者】
現場の安全衛生管理を行う者の氏名を記入します。必要な資格は特に定められていませんが、必ず選任し、現場に常駐する必要があります。
【雇用管理責任者】
現場の労務管理を行う者の氏名を記入します。賃金台帳、労災保険、労働環境の整備などを担当します。
施工体制台帳の添付書類
施工体制台帳には、以下の添付書類が必要です。元請業者が準備する書類と、下請業者から提出を受ける書類があります。
元請業者が準備する添付書類
- 発注者と締結した請負契約書の写し
- 下請負人と締結した請負契約書の写し(注文書・請書および基本契約書等)
- 監理技術者・主任技術者の資格を証明する書類の写し
- 監理技術者・主任技術者の雇用関係を証明する書類の写し
- 監理技術者補佐を置く場合は、資格・雇用関係を証明する書類の写し
下請業者から提出を受ける添付書類
- 再下請負通知書(二次下請以降がある場合)
- 主任技術者の資格を証明する書類の写し
- 主任技術者の雇用関係を証明する書類の写し
※公共工事の場合、再下請負通知書に添付される契約書には請負代金の額を記載する必要があります。
施工体制台帳の保存期間
施工体制台帳は、工事期間中は現場に備え置き、工事完了後も一定期間の保存が義務付けられています。
| 書類 | 保存期間 |
|---|---|
| 施工体制台帳 | 目的物の引き渡しから5年間 |
| 施工体系図 | 目的物の引き渡しから10年間 |
工事完了後は、施工体制台帳の一部を営業所の帳簿に添付して保存します。途中で契約が解除された場合でも、債権債務が消滅した時から5年間保存する必要があります。
なお、施工体制台帳は電子化して保存することも認められています。紙書類の紛失リスクや管理の手間を考慮すると、電子データでの保存がおすすめです。
施工体制台帳作成時の注意点
注意点①:記載漏れ・添付書類の不備に注意
施工体制台帳の記載事項に漏れがあったり、添付書類が不足していたりすると、発注者から指摘を受けます。最悪の場合、営業停止処分などの行政処分を受ける可能性もあります。
国土交通省のWebサイトでは「施工体制台帳等のチェックリスト」が公開されていますので、提出前に確認することをおすすめします。
注意点②:常に最新の状態を維持する
工事の進捗に伴い、下請業者が追加されたり、技術者が変更になったりした場合は、その都度施工体制台帳を更新しなければなりません。最新の情報が記載されていない台帳は、安全管理やトラブル対応の妨げとなります。
注意点③:グリーンサイトの活用
施工体制台帳は、グリーンサイトなどのクラウドサービスを活用して作成・管理することも可能です。グリーンサイトでは、一度登録した会社情報や作業員情報が自動で反映されるため、入力の手間を大幅に削減できます。
グリーンサイトの詳細については「グリーンサイトとは」をご参照ください。
施工体制台帳のテンプレート
施工体制台帳の様式は法令で定められた形式はなく、記載すべき事項が網羅されていれば自由な様式で作成可能です。ただし、発注者から指定された様式がある場合は、それに従う必要があります。
国土交通省のWebサイトでは、以下のテンプレートが公開されています。
- 施工体制台帳(作成例)
- 施工体系図(作成例・樹状図形式)
- 施工体系図(作成例・表形式)
- 再下請負通知書(作成例)
- 作業員名簿(作成例)
- 施工体制台帳等のチェックリスト
まとめ
本記事では、施工体制台帳の書き方・記入例・添付書類・保存期間について解説しました。
施工体制台帳のポイント(まとめ):
- 施工体制台帳とは:元請・下請すべての企業情報と施工分担関係をまとめた安全書類
- 作成義務:公共工事は下請契約を締結した全工事、民間工事は下請契約の総額5,000万円(建築一式8,000万円)以上
- 記載事項:元請・下請の会社情報、建設業許可、技術者、社会保険の加入状況など
- 添付書類:契約書の写し、技術者の資格・雇用証明、再下請負通知書など
- 保存期間:施工体制台帳は5年間、施工体系図は10年間
施工体制台帳の作成は法律で義務付けられており、不備があると行政処分のリスクがあります。チェックリストを活用して、記載漏れや添付書類の不備がないよう確認しましょう。
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