「うちの会社の粗利率は業界平均と比べてどうなんだろう」「売上はあるのに利益が残らない」とお悩みの建設会社経営者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、建設業における粗利率の計算式・業界平均値・利益改善のポイントを徹底解説します。工事原価の構成要素から、粗利率が低くなる原因、具体的な改善策まで、すぐに実践できる知識をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
粗利率とは?建設業における基本知識
粗利率(売上高総利益率)とは、売上高に対する粗利益の割合を示す指標です。建設業では「完成工事高総利益率」とも呼ばれ、企業の基本的な収益力を測る重要な経営指標となります。
粗利率が高いほど、売上から原価を引いた後に残る利益が大きく、経営に余裕が生まれます。逆に粗利率が低いと、いくら売上があっても利益が残らず、経営が苦しくなります。
粗利と粗利率の違い
まず、「粗利」と「粗利率」の違いを確認しておきましょう。
| 用語 | 定義 | 単位 |
|---|---|---|
| 粗利(粗利益) | 売上高から売上原価を引いた金額 | 円 |
| 粗利率 | 売上高に対する粗利益の割合 | % |
粗利は「いくら儲かったか」という金額を示し、粗利率は「どれだけ効率よく儲けているか」という割合を示します。経営状態を正しく把握するには、両方の数字を確認することが重要です。
粗利率と営業利益率の違い
建設業の経営分析でよく使われる利益率には、粗利率のほかに「営業利益率」や「経常利益率」があります。
| 利益率の種類 | 計算式 | 建設業の平均 |
|---|---|---|
| 粗利率(売上高総利益率) | 粗利益÷売上高×100 | 約20〜25% |
| 営業利益率 | 営業利益÷売上高×100 | 約3〜5% |
| 経常利益率 | 経常利益÷売上高×100 | 約5% |
粗利率は工事の収益性を、営業利益率は会社全体の経営効率を示します。粗利率が高くても、販管費(人件費・広告費・事務所家賃など)が多ければ営業利益率は低くなります。
見積書の作成方法については「建設業の見積書の書き方」で詳しく解説しています。
粗利率の計算式と計算例
粗利率の基本計算式
建設業における粗利率の計算式は以下のとおりです。
粗利率(%)= 粗利益 ÷ 売上高 × 100
または
粗利率(%)=(売上高 − 工事原価)÷ 売上高 × 100
具体的な計算例
実際の工事を例に、粗利率を計算してみましょう。
【計算例】3,000万円の新築住宅工事
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上高(完成工事高) | 3,000万円 |
| 材料費 | 900万円 |
| 労務費 | 450万円 |
| 外注費 | 750万円 |
| 経費 | 300万円 |
| 工事原価(合計) | 2,400万円 |
| 粗利益 | 600万円 |
粗利率 = 600万円 ÷ 3,000万円 × 100 = 20.0%
この例では粗利率は20.0%となり、建設業界の平均(約22〜25%)と比較するとやや低い水準です。原価管理の見直しや価格設定の調整を検討する必要があるかもしれません。
工事原価の4つの構成要素
粗利率を正確に計算するには、工事原価を正しく把握することが重要です。建設業の工事原価は、主に以下の4つの要素で構成されます。
| 原価項目 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 材料費 | 工事に使用する資材の購入費用 | 木材、鉄骨、コンクリート、設備機器など |
| 労務費 | 自社の作業員に支払う人件費 | 賃金、法定福利費、福利厚生費など |
| 外注費 | 下請業者への支払い | 専門工事業者、一人親方への発注費用 |
| 経費 | 上記以外の工事に関する費用 | 仮設費、機械損料、現場管理費など |
建設業の粗利率の平均値【2025年最新】
一般財団法人建設業情報管理センターの「建設業の経営分析(令和5年度)」によると、建設業全体の粗利率(売上高総利益率)の平均は約25〜26%です。
売上規模別の粗利率平均
粗利率は企業の売上規模によって大きく異なります。一般的に、売上規模が小さいほど粗利率は高く、売上規模が大きいほど粗利率は低くなる傾向があります。
| 売上高規模 | 粗利率の目安 |
|---|---|
| 5,000万円未満 | 約30〜35% |
| 5,000万円〜1億円 | 約25〜30% |
| 1億円〜5億円 | 約22〜25% |
| 5億円〜20億円 | 約18〜22% |
| 20億円以上 | 約15〜18% |
大企業ほど粗利率が低くなるのは、大規模工事では下請けに工事を発注する比率が高くなり、外注費が増加するためです。
業種別の粗利率平均
建設業の中でも、業種によって粗利率は異なります。
| 業種 | 粗利率の目安 |
|---|---|
| 総合建設業(ゼネコン) | 約8〜15% |
| 土木工事業 | 約20〜25% |
| 建築工事業 | 約20〜25% |
| 住宅建設業(工務店) | 約22〜28% |
| 設備工事業 | 約25〜30% |
| 専門工事業 | 約25〜35% |
大手ゼネコンの粗利率が低いのは、多くの工事を下請けに発注するため外注費の比率が高くなるからです。一方、専門工事業は自社施工の比率が高いため、粗利率が高くなる傾向があります。
建設業の粗利率が低くなる原因
建設業は他業種と比べて粗利率が低い傾向にあります。サービス業の粗利率が約50%であるのに対し、建設業は20〜25%程度です。その主な原因を解説します。
原因①:材料費・人件費の高騰
近年、建設資材の価格が急激に上昇しています。2021年1月と比較すると、2025年時点で建設資材物価は平均37%上昇しており、特に鉄鋼や木材の価格高騰が顕著です。
また、建設業界は慢性的な人手不足に直面しており、労務費も上昇傾向にあります。2024年4月からの時間外労働の上限規制(建設業の2024年問題)により、人件費がさらに増加している企業も多いです。
原因②:価格競争の激化
建設業、特に公共工事では入札による価格競争が行われます。受注を獲得するために低価格で応札すると、粗利率は必然的に低くなります。民間工事でも相見積もりによる価格競争があり、適正な利益を確保しにくい状況です。
原因③:原価管理の不備
多くの中小建設会社では、原価管理体制が十分に整備されていません。工事進行中のリアルタイムな原価把握ができていないため、予算超過や無駄な支出に気づくのが遅れ、結果的に粗利率が悪化します。
具体的には、実行予算の作成が不十分で材料費や労務費の詳細な積算ができていない、発注・入出金管理が曖昧で実際の支出額を正確に把握できていない、といった問題があります。
原因④:追加工事・手戻りの発生
自然災害や天候の影響による工期延長、施工不良によるやり直し、顧客からの仕様変更など、現場では予期せぬコストが発生します。特に人件費や外注費は工期が延びるほど膨らみ、粗利を圧迫します。
粗利率を改善する5つのポイント
建設業で粗利率を改善するための具体的な方法を5つ紹介します。
ポイント①:原価管理を徹底する
粗利率改善の基本は、原価管理の徹底です。工事開始前の実行予算作成から、施工中の進捗管理、完了後の実績分析まで、一貫した原価管理体制を構築しましょう。
具体的には、以下のサイクルを回すことが重要です。
- 見積段階:適正な原価を積算し、必要な粗利を確保した見積書を作成
- 着工前:実行予算を作成し、利益目標を設定
- 施工中:予算と実績を比較し、差異があれば原因を分析して対策
- 完工後:最終的な粗利率を確認し、次の工事に反映
特に重要なのは、工事進行中のリアルタイムな原価把握です。月次または週次で実際の支出と予算を比較し、差異が発生した場合は速やかに原因を分析して対策を講じることで、粗利率の悪化を防げます。
ポイント②:見積精度を向上させる
粗利率が低い原因の一つに、見積段階での原価積算の甘さがあります。過去の工事データを分析し、より精度の高い見積りを作成することで、想定外の原価増加を防げます。
見積書には、材料費の価格変動リスクや工期延長リスクを織り込んでおくことも重要です。見積諸経費の詳細については「見積書の諸経費とは」をご参照ください。
ポイント③:外注費を見直す
建設業では外注費が原価の大きな割合を占めます。外注先との価格交渉や、複数の業者から見積りを取得して比較検討することで、外注費の削減が可能です。
ただし、一方的な値下げ要求は下請法違反になる可能性があります。また、無理な原価削減は品質低下につながるため、適正な価格と品質のバランスを保つことが重要です。
ポイント④:赤字受注を避ける
売上を優先して利益度外視で受注すると、いくら工事をこなしても利益は残りません。受注前に必ず粗利益を計算し、最低限確保すべき粗利率を下回る工事は受注しないというルールを設けましょう。
会社の固定費(人件費、事務所家賃、リース料など)を賄うために必要な粗利益額を算出し、それを基準に受注判断を行うことが重要です。
ポイント⑤:施工管理システムを導入する
Excel管理では原価のリアルタイム把握が難しく、集計に時間がかかります。施工管理システムを導入することで、原価管理の精度と効率が大幅に向上します。
システム導入により期待できるメリットは以下のとおりです。
- 工事案件ごとの原価をリアルタイムで把握できる
- 予算と実績の差異を自動で算出・可視化できる
- 過去の工事データを蓄積・分析して見積精度を向上できる
- 問題の早期発見と迅速な対策が可能になる
粗利率から見る経営改善の考え方
粗利率を経営改善に活かすための考え方を解説します。
損益分岐点を把握する
会社の固定費を粗利率で割ると、赤字にならないために必要な最低売上高(損益分岐点売上高)がわかります。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 粗利率
例えば、年間固定費が8,000万円、粗利率が20%の場合、損益分岐点売上高は4億円となります。つまり、年間4億円以上の売上がないと赤字になるということです。
粗利率を25%に改善できれば、損益分岐点売上高は3.2億円に下がり、経営に余裕が生まれます。
工事別の粗利率を分析する
会社全体の粗利率だけでなく、工事案件ごとの粗利率を分析することで、どの種類の工事が利益を生みやすいかがわかります。
粗利率の高い工事の受注を増やし、粗利率の低い工事は改善策を講じるか受注を控えることで、会社全体の収益性を向上させることができます。
まとめ
本記事では、建設業における粗利率の計算式・平均値・改善ポイントについて解説しました。
粗利率のポイント(まとめ):
- 計算式:粗利率(%)= 粗利益 ÷ 売上高 × 100
- 建設業の平均:約20〜25%(売上規模や業種により異なる)
- 低下の原因:材料費・人件費の高騰、価格競争、原価管理の不備、追加工事・手戻り
- 改善のポイント:原価管理の徹底、見積精度の向上、外注費の見直し、赤字受注の回避、システム導入
粗利率は建設会社の収益性を示す最も基本的な指標です。まずは自社の粗利率を正確に把握し、業界平均と比較してみましょう。そのうえで、改善すべきポイントを特定し、具体的な対策を講じることが重要です。
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