「立替金精算書って何?」「インボイス制度に対応した書き方は?」「立替金と経費の違いは?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。立替金精算書は取引先のために立て替えた費用を請求するための書類であり、インボイス制度の開始により記載方法に注意が必要になっています。
本記事では、立替金精算書の基礎知識・インボイス対応の書き方・建設業での具体例について徹底解説します。請求書の書き方と併せて、正しい精算処理を理解しましょう。
立替金精算書とは?
立替金精算書(たてかえきんせいさんしょ)とは、取引先や顧客のために一時的に立て替えた費用を、後から精算・請求するための書類です。
立替金とは
立替金とは、本来は相手(取引先・顧客)が支払うべき費用を、一時的に代わりに支払った金銭のことです。建設業では、以下のような場面で発生します。
- 元請会社が下請会社の代わりに材料費を支払った
- 施工業者が施主の代わりに申請手数料を支払った
- 現場担当者が会社の代わりに消耗品を購入した
立替金と経費の違い
立替金と経費(経費精算)は混同されやすいですが、明確な違いがあります。
| 項目 | 立替金 | 経費 |
|---|---|---|
| 費用の負担者 | 取引先・顧客 | 自社 |
| 会計処理 | 立替金(資産)で処理 | 経費(費用)で処理 |
| 精算先 | 取引先・顧客に請求 | 社内で精算 |
| 消費税 | 立替金は課税対象外 | 経費は課税仕入れ |
立替金は自社の費用ではなく、一時的に預かっているお金という位置づけです。
立替金精算書が必要な場面
建設業で立替金精算書が必要となる主な場面は以下の通りです。
- 官公庁への申請手数料:建築確認申請、道路使用許可など
- 登記費用:建物表題登記、所有権保存登記など
- 検査費用:第三者機関による検査手数料
- 材料費の立替:施主指定の材料を代理購入
- 運搬費・送料:施主宛ての荷物の送料
- 宿泊費・交通費:顧客都合による出張費用
立替金精算書の基本的な書き方
立替金精算書に記載すべき基本項目を解説します。
立替金精算書の記載項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書類名 | 「立替金精算書」と明記 |
| 発行日 | 精算書を作成した日付 |
| 宛先 | 精算を請求する相手(取引先・顧客)の名称 |
| 発行者 | 自社の名称・住所・連絡先 |
| 立替日 | 費用を立て替えた日付 |
| 立替内容 | 何のために立て替えたか(具体的に) |
| 立替金額 | 立て替えた金額 |
| 合計金額 | 立替金の合計額 |
| 支払先 | 実際に支払った先(任意) |
| 振込先 | 精算金の振込先口座情報 |
| 添付書類 | 領収書・レシートのコピーなど |
立替金精算書の記入例
【立替金精算書の例】
発行日:2025年〇月〇日
宛先:株式会社〇〇 御中
発行者:△△建設株式会社
下記の通り、立替金の精算をお願いいたします。
| No. | 立替日 | 内容 | 支払先 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 2025/〇/〇 | 建築確認申請手数料 | 〇〇市役所 | 35,000円 |
| 2 | 2025/〇/〇 | 中間検査手数料 | 〇〇検査機関 | 15,000円 |
| 3 | 2025/〇/〇 | 完了検査手数料 | 〇〇検査機関 | 15,000円 |
| 合計 | 65,000円 | |||
※添付書類:領収書コピー 3枚
インボイス制度と立替金精算書
インボイス制度(適格請求書等保存方式)の開始により、立替金の精算方法に注意が必要になりました。
インボイス制度における立替金の扱い
インボイス制度では、仕入税額控除を受けるために適格請求書(インボイス)の保存が必要です。立替金の場合、以下の点に注意が必要です。
【ポイント】
- 立替金そのものは消費税の課税対象外(不課税取引)
- 立て替えた費用の元の取引が課税取引かどうかが重要
- 精算を受ける側(取引先)が仕入税額控除を受けるには、インボイスの交付が必要
立替金精算の2つの方法
インボイス制度下での立替金精算には、主に2つの方法があります。
【方法①】元のインボイスをそのまま交付
立替払いをした際に受け取ったインボイス(領収書等)の原本またはコピーを、立替金精算書と一緒に取引先に交付する方法です。
- メリット:シンプルで分かりやすい
- デメリット:元のインボイスの宛名が立替者名義になっている
【方法②】立替金精算書をインボイスとして交付
立替金精算書自体を適格請求書(インボイス)の形式で作成し、交付する方法です。
- メリット:取引先の名義で書類を発行できる
- デメリット:立替者がインボイス発行事業者でなければ発行できない
インボイス対応の立替金精算書の記載事項
立替金精算書をインボイスとして交付する場合、以下の記載が必要です。
| 記載事項 | 内容 |
|---|---|
| ①発行者の氏名・名称 | 立替払いをした事業者名 |
| ②登録番号 | 適格請求書発行事業者の登録番号(T+13桁) |
| ③取引年月日 | 立替払いをした日付 |
| ④取引内容 | 立て替えた費用の内容 |
| ⑤税率ごとの対価の額 | 税率(10%・8%)ごとの合計額 |
| ⑥税率ごとの消費税額 | 税率ごとの消費税額 |
| ⑦交付を受ける者の氏名・名称 | 取引先(精算を受ける相手)の名称 |
インボイス対応の立替金精算書の記入例
【インボイス対応 立替金精算書】
発行日:2025年〇月〇日
宛先:株式会社〇〇 御中
発行者:△△建設株式会社
登録番号:T1234567890123
下記の通り、立替金の精算をお願いいたします。
| No. | 立替日 | 内容 | 税率 | 金額(税込) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 2025/〇/〇 | 現場消耗品(〇〇) | 10% | 11,000円 |
| 2 | 2025/〇/〇 | 運搬費(〇〇運送) | 10% | 5,500円 |
| 10%対象 合計(税抜) | 15,000円 | |||
| 消費税額(10%) | 1,500円 | |||
| 合計(税込) | 16,500円 | |||
※添付書類:領収書コピー 2枚(元のインボイス)
立替金精算書の注意点
①領収書・レシートを必ず保管する
立替金を証明するために、支払いの証拠となる書類を必ず保管しましょう。
- 領収書の原本またはコピー
- レシート
- 振込明細・クレジットカード明細
- 請求書(支払い済みのもの)
②立替金と売上を区別する
立替金に利益を上乗せして請求すると、それは売上(課税取引)となります。立替金として精算する場合は、実費のみを請求しましょう。
【例】
- 実際の支払額:10,000円 → 請求額:10,000円 = 立替金(不課税)
- 実際の支払額:10,000円 → 請求額:12,000円 = 売上(課税)
③非課税取引の立替金に注意
官公庁への手数料など、もともと非課税の取引を立て替えた場合は、消費税は発生しません。インボイスの交付も不要です。
【非課税となる立替金の例】
- 建築確認申請手数料(行政手数料)
- 登記費用(登録免許税)
- 印紙代
④請求書との違いを明確にする
立替金精算書と請求書は別の書類です。混同しないように、書類名を「立替金精算書」と明記しましょう。
立替金精算書に関するよくある質問
Q1. 立替金精算書に収入印紙は必要?
立替金精算書は金銭の受領を証明する書類ではないため、収入印紙は不要です。ただし、領収書として発行する場合は、金額に応じて印紙が必要になります。
Q2. 立替金の時効はある?
立替金の請求権は、一般的な債権と同様に5年(または10年)の消滅時効があります。立て替えたら早めに精算しましょう。
Q3. 立替金を請求書に含めてもいい?
請求書に立替金を含めることは可能ですが、立替金と売上(工事代金等)を区別して記載する必要があります。消費税の計算が異なるためです。
Q4. 免税事業者でも立替金精算書は発行できる?
立替金精算書自体は発行できます。ただし、インボイス(適格請求書)としては発行できないため、取引先が仕入税額控除を受けられない場合があります。元のインボイスのコピーを添付する方法で対応しましょう。
まとめ
本記事では、立替金精算書の基礎知識・インボイス対応の書き方・建設業での具体例について解説しました。
立替金精算書のポイント(まとめ):
- 立替金とは:取引先のために一時的に立て替えた費用(自社の経費ではない)
- 記載項目:立替日・内容・金額・支払先・添付書類など
- インボイス対応:登録番号・税率ごとの金額・消費税額を記載
- 注意点:領収書の保管、立替金と売上の区別、非課税取引の確認
立替金精算書は正しく作成・管理することで、税務上のトラブルを防ぐことができます。インボイス制度に対応した適切な処理を心がけましょう。
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