
工事写真の撮影・管理での注意点とは?工事写真に必要なポイントを解説!
公開日:2024.12.15
▼ 目次
工事現場での「工事写真」や「施工写真」は、施工管理において重要な役割を果たします。これらの写真は、工事の進捗や品質を記録するだけでなく、発注者への報告やトラブル防止にも欠かせません。
しかし、適切に撮影・管理しなければ写真が不十分な情報源となり、品質確認や工程管理の妨げになる可能性もあります。本記事では、工事写真の撮影や管理における注意点やポイントを、国土交通省の基準を踏まえながら解説します。
[1] 工事写真の役割と重要性
工事写真の目的
工事写真は、現場での作業内容や工程を記録することで以下の目的を達成します。
- 品質管理
施工が設計図通りに進んでいることを証明します。 - 進捗管理
工事が計画通りの順番で進行しているかを確認します。 - エビデンスとしての活用
施工不良やトラブル発生時に、原因の解明や責任分担を明確にする資料として使用されます。 - 発注者への報告
発注者に対し、工程の完了や工事品質を説明する資料となります。
国土交通省が定める工事写真の基準
公共工事において、国土交通省は「営繕工事写真撮影要領」や「デジタル写真管理基準」に基づき、写真撮影や管理方法を定めています。具体的には以下が求められます。
- 必要な撮影ポイントを漏れなく記録すること
- 撮影順序や工程ごとの写真整理を徹底すること
- 黒板や説明書きを活用して、写真の信頼性を高めること
[2] 工事写真の撮影での注意点
1. 撮影の基本ルール
工事写真の撮影には、正確かつ見やすい記録を残すための基本ルールがあります。
- 焦点とピントを合わせる
対象物がはっきり写るようにカメラを調整し、写真がブレないよう固定します。 - 適切な明るさを確保
暗い場所や影になりやすい場所では補助光を使用し、明るく撮影します。 - 撮影位置を統一
同じ対象を異なる日で撮影する場合、位置や角度を揃えることで比較が容易になります。
2. 撮影順番を守る
撮影する順番を意識することで、写真が整理しやすくなり、後で活用しやすくなります。以下の順番で撮影することが一般的です。
- 施工前
現場の初期状態や作業開始前の状況を記録。 - 施工中
重要な工程や手順を撮影。 - 施工後
完成箇所や清掃後の状態を記録。
3. 黒板情報の活用
黒板を使って、撮影対象の情報を明確に伝えることが重要です。黒板には以下を記載します。
- 工事名(例:〇〇道路舗装工事)
- 撮影日(例:2024年1月15日)
- 工程名(例:基礎工事)
- 撮影箇所(例:敷地内東側)
[3] 工事写真の管理での注意点
1. 台帳の作成
工事写真を管理するためには、台帳の作成が重要です。以下のポイントを押さえましょう。
- 分類ごとに整理
工程ごと、撮影日ごとに分類します。 - エクセルや写真管理アプリを活用
写真管理用の専用アプリを使用することで、検索性や共有性が向上します。
2. 撮影データのバックアップ
デジタル写真は、誤って消去されるリスクがあるため、クラウドストレージや外付けハードディスクに定期的にバックアップを取ります。
- 推奨ストレージ:Google Drive、Dropbox、OneDriveなど
- ファイル命名規則:日付+工程名(例:20240115_基礎工事)
3. トラブル防止のためのデータ確認
定期的に写真データを確認し、不足がないか、ピントが合っているかをチェックします。特に以下のタイミングでの確認が推奨されます。
- 工程終了時
- 発注者への提出前
- 工事進捗報告会の前
[4] 工事写真のデータ整理法
撮影した工事写真を有効に活用するためには、データを効率的に整理することが重要です。特に、現場ごと、工程ごとに整理されたデータは、報告書作成やトラブル対応で迅速に活用できます。
1. 工事写真の分類方法
写真データを整理する際は、以下の基準で分類するとわかりやすくなります。
工程ごとに分類
各工程に対応するフォルダを作成し、対応する写真を格納します。
- 例:
- 基礎工事
- 配筋工事
- 型枠設置
- コンクリート打設
日付ごとに分類
日付順に写真を並べることで、進捗を時系列で把握できます。
- 例:
- 20240101(基礎工事開始)
- 20240105(配筋確認)
- 20240110(コンクリート打設)
2. ファイル命名規則の設定
写真のファイル名に規則を設けることで、簡単に特定のデータを検索できるようになります。以下の形式が一般的です。
- ファイル名の例:
20240115_基礎工事_配筋確認.jpg
ファイル名に含める要素
- 撮影日
- 工程名
- 撮影内容
3. 台帳とのリンク付け
工事写真台帳に写真データの情報(ファイル名や保存場所)を記載することで、台帳と写真を関連付けます。これにより、特定の項目に関連する写真を迅速に確認できます。
[5] 工事写真の管理ツール活用法
写真を整理する手間を軽減し、効率的に管理するために、専用の管理ツールを活用する方法があります。
1. Google Driveなどのクラウドストレージを使った基本的な管理方法
撮影した写真はGoogle DriveやBoxなどのクラウドストレージを利用して管理をすると、他のメンバーとも共有ができるため便利です。クラウドストレージを利用する場合には、フォルダの管理を自分たちで対応する必要があるため、わかりやすいフォルダ構成を検討しましょう。
また、エクセルを利用して写真の一覧情報を整理し、台帳を作成するのも、写真の検索性を高めるためには有効な方法です。
2. 専用の写真管理アプリ
クラウド型の写真管理アプリを導入することで、さらに効率的に管理できます。特におすすめな写真管理アプリは、Anymore施工管理です。Anymore施工管理には以下の特徴があります。
- PCだけではなく、スマートフォンからLINE経由で写真の登録ができる。
- 写真管理機能と工事写真台帳機能が連動しており、簡単に写真台帳を作成することができる。
- 作成した写真台帳はPDF, Excelでダウンロードができる。
- 写真や写真台帳は案件に紐づけられて管理されるため、誰でも簡単に効果的な写真の管理体制を構築できる。
- 1ヶ月の無料期間がありその間に操作性のチェックをすることができる。
[6] 施工管理における工事写真の活用例
工事写真は施工管理業務の中で、さまざまな場面で活用されます。以下に具体例を挙げます。
1. 発注者への進捗報告
定期的に工事写真を提出することで、発注者に進捗状況を明確に伝えます。工程ごとの写真をまとめた報告書を作成することで、透明性を確保できます。
2. トラブル対応の証拠資料
施工ミスやクレーム対応の際、写真が信頼性のある証拠資料となります。特に施工前後の状態を撮影した写真は、原因特定に役立ちます。
3. 作業者への教育・指導
工事写真を用いることで、新人作業員への教育や現場作業の指導が効果的に行えます。具体的な写真を見せることで、施工内容が視覚的に理解しやすくなります。
[7] 工事写真の管理で押さえるべきポイント
- 規則的な整理を徹底する
分類や命名規則を統一し、誰が見ても分かりやすい状態を保ちます。 - 定期的にデータを確認・更新する
最新の状況を正確に反映し、不足や誤りを防ぎます。 - 適切なツールを選ぶ
現場の規模や予算に応じてエクセルや専用ソフトを使い分けることで、効率化を図ります。
[8] まとめ
工事写真の撮影・管理は、施工管理において欠かせない重要な業務です。正しい撮影方法やデータ整理のルールを守り、効率的に管理することで、発注者への報告やトラブル対応の質を向上させることができます。
特に、国土交通省の基準に従った写真管理を行うことで、公共工事や大規模プロジェクトでも信頼性の高い記録を残すことが可能です。本記事を参考に、工事写真管理の体制を見直し、現場運営の効率化を目指してください。