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工事見積書の諸経費の書き方を解説!内訳・相場・計算方法について

工事見積書の諸経費の書き方を解説!内訳・相場・計算方法について

建設業やリフォーム業界では、見積書の作成が工事契約の第一歩です。その中でも「諸経費」は重要な項目ですが、明確な定義や計算方法を理解していないと適切な見積もりができません。特に、「諸経費とは何か」「相場や計上方法」「内訳の具体例」について把握することが求められます。

この記事では、工事見積書における諸経費の意味や書き方、具体的な内訳、相場、計算方法を詳しく解説します。


[1] 諸経費とは?

諸経費の定義

諸経費とは、工事に直接関係する費用(直接工事費)ではなく、工事を円滑に進めるための間接的な費用を指します。現場管理費や運搬交通費、法定福利費などが含まれます。

諸経費と経費の違い

一般的な「経費」は、会社運営全体にかかる費用を指しますが、「諸経費」は特定の工事に関わる間接的な費用を指します。

項目経費諸経費
対象範囲会社全体(例:事務所家賃、社員給与)工事ごと(例:現場管理費、運搬交通費)
計上目的企業の運営費用をカバー工事を進めるための間接費用をカバー

英語での表現

諸経費は英語で「Miscellaneous Expenses」または「Indirect Costs」と表記されることが一般的です。


[2] 諸経費の内訳

諸経費は複数の項目で構成されています。それぞれの内容を理解することで、適切な見積もりが可能になります。

1. 現場管理費

現場管理費とは、工事現場の運営や管理に必要な費用を指します。具体的には、現場監督者の人件費や安全管理費、仮設設備費などが含まれます。

例:現場管理費の内訳

  • 現場監督者の給与:200,000円
  • 安全管理費:50,000円
  • 仮設トイレの設置費用:30,000円

2. 運搬交通費

運搬交通費とは、資材や機械を工事現場まで運ぶための費用や、作業員が現場に移動するための交通費を指します。

例:運搬交通費

  • 資材運搬費:50,000円
  • 作業員交通費:20,000円

3. 法定福利費

法定福利費は、労働基準法などで定められた福利厚生費用を指します。具体的には、社会保険料や労働保険料が該当します。

例:法定福利費

  • 社会保険料:100,000円
  • 労災保険料:20,000円

4. その他の諸経費

その他の諸経費には、事務諸経費や管理費が含まれます。

例:その他の諸経費

  • 事務諸経費(書類作成費用など):10,000円
  • 管理費(契約書作成、法務対応費用など):15,000円

[3] 諸経費の相場と計算方法

諸経費の相場

諸経費の相場は、工事全体の金額に対して**10〜20%**が一般的です。ただし、工事内容や地域によって異なります。

工事内容諸経費の割合(相場)
小規模建設工事10〜15%
中規模建設工事15〜20%
大規模建設工事20%以上

計算方法の例

総工事費に対して諸経費率を掛けて計算します。

例:総工事費500万円、諸経費率20%の場合

諸経費=500万円×20%=100万円

建設業における具体例

  1. 駐車場工事の場合
    • 総工事費:300万円諸経費率:15%
    諸経費=300万円×15%=45万円
  2. 電気工事の場合
    • 総工事費:800万円諸経費率:12%
    諸経費=800万円×12%=96万円

[4] 諸経費を含めた工事見積書の作成方法

工事見積書を作成する際、諸経費は重要な項目です。適切な諸経費の計上により、発注者に対して信頼性のある見積書を提示できます。以下に、具体的な見積書の作成例と注意点を示します。

工事見積書の例

ケーススタディ:住宅リフォーム工事

項目数量単価金額
直接工事費
材料費一式1,200,000円
労務費15人工25,000円/人工375,000円
機械費10時間12,000円/時間120,000円
小計(直接工事費)1,695,000円
諸経費(15%)254,250円
総計1,949,250円

注意点:諸経費の計上ミスを防ぐ方法

  1. 明確な内訳を記載
    発注者が諸経費の内容を理解できるよう、細かい内訳を示します。
  2. 適切な諸経費率を適用
    工事の規模や地域特性に応じた割合を採用します。
  3. 利益と諸経費の混同を避ける
    諸経費と会社の利益は別物です。利益率を考慮しつつ、諸経費を正確に計上しましょう。

[5] 諸経費に関するよくある質問

諸経費についてよく寄せられる質問とその回答を以下にまとめました。

Q1. 諸経費は必ず10%以上で計上すべきですか?

A.
工事内容によりますが、10%未満でも適正な場合があります。たとえば、運搬交通費や現場管理費が少ない小規模工事では、5〜8%程度になることもあります。一方、大規模工事では20%以上になることも珍しくありません。

Q2. 英語で諸経費を記載する際のポイントは?

A.
「Miscellaneous Expenses」や「Indirect Costs」が一般的な表記ですが、具体的な内訳(運搬交通費や管理費など)を記載することで、外国の発注者にも分かりやすくなります。

Q3. 諸経費の内訳を省略してもいいですか?

A.
諸経費の内訳を省略することは可能です。ただし内訳を省略する場合でも、どのような諸経費が現場で発生しているかについては把握をしておきましょう。発注者から諸経費の妥当性や内訳について質問を受けた際に、諸経費の計算根拠や内訳についての説明ができると不信感を払拭することができます。

[6] 工事見積書に諸経費を反映させるポイント

諸経費を適切に反映させるための具体的なポイントを以下に示します。

1. 工事の規模に応じた調整

小規模工事では、諸経費率を控えめに設定し、大規模工事では多めに設定するのが一般的です。

2. 内訳を詳細に記載

諸経費の内訳を具体的に示すことで、発注者が納得しやすくなります。たとえば、「現場管理費」「運搬交通費」「法定福利費」などをそれぞれ金額とともに明記します。

3. 地域特性や工事条件の反映

労務費や材料費が地域によって異なるため、諸経費にも影響します。都市部と地方では異なる計算が必要です。


[7] まとめ

諸経費は、工事見積書において重要な役割を果たす項目です。現場管理費、運搬交通費、法定福利費などの内訳を明確にし、適切な相場や計算方法を採用することで、信頼性の高い見積書を作成できます。

この記事を参考に、諸経費を正確に計上し、発注者との良好な関係構築に役立ててください。

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