086_安全書類の_作成方法

安全書類の作成方法|グリーンファイルの種類と書き方

「安全書類の作成方法がわからない」「グリーンファイルにはどんな種類があるのか」「元請への提出に必要な書類を知りたい」——そんな悩みを抱えている建設業の方も多いのではないでしょうか。

安全書類の作成方法|グリーンファイルの種類と書き方

本記事では、安全書類(グリーンファイル)の作成方法を詳しく解説します。必要な書類の種類、書き方のポイント、提出時の注意点まで、元請への提出に必要な安全書類の知識を網羅的に紹介します。

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目次

安全書類(グリーンファイル)とは?

安全書類とは、建設現場の安全を確保するために作成される書類の総称です。下請企業が元請企業に対して提出する書類群のことで、「グリーンファイル」「労務安全書類」とも呼ばれます。

安全というイメージが強い緑(グリーン)のファイルで綴じられることが多いことから、この名で呼ばれるようになりました。

参考記事:buildee 「グリーンファイル(安全書類)とは?概要やその種類

安全書類を作成する目的

安全書類を作成する主な目的は以下の通りです。

  • 責任の所在を明確にする:万が一事故が発生した際に、管理者と作業員の関係性を明らかにする
  • 現場の安全を確保する:作業員の安全や権利を保証し、事故を未然に防ぐ
  • 工事体制を把握する:工事にどの企業が関わっているか、どの作業員が従事しているかを明確にする
  • 法令遵守を証明する:安全教育の実施状況や社会保険の加入状況を確認する

安全書類の作成・提出は義務

安全書類は、建設業法により作成と保存が義務付けられています。どの現場においても提出が必要であり、着工前に作成・提出しなければなりません。

着工後に書類内容との差異が生じた場合(作業員の変更など)は、再度作成・提出する必要があります。

安全書類(グリーンファイル)の種類一覧

安全書類は主要なものだけで20種類以上が存在します。大きく分けると「労務安全関係書類」と「施工体制台帳関係書類」の2種類に分類されます。

安全書類の分類と種類一覧

分類書類名概要
労務安全関係書類作業員名簿現場で働く作業員の情報を記載
工事安全衛生計画書工事の安全衛生に関する計画を記載
新規入場時教育実施報告書新規入場者への安全教育の実施報告
安全ミーティング報告書安全ミーティング(KY活動)の報告
持込機械等使用届持ち込む機械・電動工具等の届出
移動式クレーン・車両系建設機械等使用届クレーンや重機の使用届出
工事・通勤用車両届工事車両・通勤車両の届出
有機溶剤・特定化学物質等持込使用届危険物・有害物の持込届出
火気使用願溶接等の火気使用の許可申請
外国人建設就労者現場入場届出書外国人労働者の入場届出
年少者就労報告書18歳未満の作業員の報告
高年齢者作業申告書65歳以上の作業員の申告
施工体制台帳関係書類再下請負通知書下請契約の内容を通知
下請負業者編成表下請業者の構成を示す
施工体制台帳工事に関わる全業者の情報
施工体系図施工体制を図で表したもの
施工体制台帳作成建設工事の通知施工体制台帳作成の通知

※元請企業や現場によって提出を求められる書類は異なります。事前に確認しましょう。

提出必須の主要安全書類と書き方

ここでは、特に提出が必須となることが多い安全書類について、書き方のポイントを解説します。

①作業員名簿(全建統一様式第5号)

作業員名簿は、現場で働く作業員の個人情報や雇用状況を記載する書類です。「どんな人がいつ現場に入っているのか」を把握するために作成します。

主な記載項目:

項目記載内容
ふりがな・氏名作業員の氏名をフルネームで記載
職種型枠大工、とび工、電気工事工など
生年月日・年齢作業員の生年月日と年齢
雇入年月日企業が雇用を開始した年月日
経験年数担当している仕事の経験年数
現住所・連絡先作業員の住所と緊急連絡先
最近の健康診断日健康診断を受けた直近の日付
血液型万が一の事故に備えて記載
保有資格作業に必要な資格・免許
受講した特別教育フルハーネス型安全帯など
社会保険加入状況健康保険・年金・雇用保険の加入状況
建設キャリアアップシステム(CCUS)技能者IDCCUSに登録している場合は記載
参考:建設キャリアアップシステム(CCUS)公式サイト

書き方のポイント:

  • 提出後に新たに入場する作業員がいる場合は、名簿を追記または再作成する
  • 健康保険の被保険者番号は2020年10月以降、記載が禁止されているため注意
  • 資格証や特別教育の修了証の写しを添付する場合がある

②再下請負通知書(全建統一様式第1号-甲)

再下請負通知書は、下請企業が請け負った仕事の一部をさらに別の下請企業に依頼する際に提出する書類です。一次下請以下の下請契約をした会社が作成し、元請企業に提出します。

主な記載項目:

項目記載内容
直近上位注文者名自社に下請の依頼をした会社名
元請名・工事名称元請企業名と工事の名称
自社に関する事項会社名、住所、代表者名、許可番号など
工事内容自社が担当する工事の内容
工期自社が担当する工事の期間
契約日下請契約を締結した日付
主任技術者名工事の主任技術者の氏名
安全衛生責任者名安全衛生責任者の氏名
社会保険加入状況健康保険・年金・雇用保険の加入状況
再下請業者に関する事項再下請業者がいる場合はその情報

書き方のポイント:

  • 1枚目は自社に関する事項、2枚目は再下請業者に関する事項を記載
  • 工事内容が変更になった場合は「変更届」として再提出が必要
  • 一人親方も作成義務がある

③下請負業者編成表(全建統一様式第1号-乙)

下請負業者編成表は、工事をどのような企業が請け負っているのかを明確にする書類です。一次下請企業が二次下請以下の請負状況をまとめて元請企業に提出します。

書き方のポイント:

  • 二次下請以下の企業から回収した再下請負通知書をもとに作成する
  • 二次下請業者が4社以上ある場合は、用紙をコピーして追加する

④工事安全衛生計画書(全建統一様式第6号)

工事安全衛生計画書は、工事を安全に進めるための行動や心がけを記載する書類です。

主な記載項目:

  • 工事概要(工事名称、工期、工事内容)
  • 安全衛生管理体制(安全衛生責任者、担当者など)
  • 主な作業と予想される危険
  • 安全対策・衛生対策
  • 使用する機械・設備

⑤持込機械等使用届(全建参考様式第6号)

持込機械等使用届は、現場に持ち込む機械や電動工具等を届け出る書類です。

主な記載項目:

  • 機械の名称・型式
  • 製造者名
  • 使用期間
  • 点検状況
  • 管理者名

⑥工事・通勤用車両届

工事・通勤用車両届は、工事現場に入る工事車両や通勤車両を届け出る書類です。トラックや生コン車などの工事車両、作業員の通勤車両が対象となります。

主な記載項目:

  • 車両番号(ナンバープレート)
  • 車種・車名
  • 運転者名
  • 使用目的(工事用・通勤用)
  • 自賠責保険・任意保険の加入状況

⑦火気使用願

火気使用願は、溶接などの火気を現場で使用する際に許可を申請する書類です。

主な記載項目:

  • 使用する火気の種類(溶接、切断など)
  • 使用場所
  • 使用期間
  • 防火対策
  • 消火器の設置状況

⑧施工体制台帳(全建統一様式第3号)

施工体制台帳は、工事に関わる元請から下請業者すべての会社の情報を1つにまとめた書類です。元請企業が作成します。

作成が必要となる条件:

  • 公共工事の場合:下請契約がある場合は金額に関わらず作成必須
  • 民間工事の場合:下請契約の総額が4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の場合

⑨施工体系図

施工体系図は、施工体制を図で表したものです。工事に関わる全ての業者の関係性を視覚的にわかりやすく示します。

安全書類の書式について

安全書類には法律で定められた統一書式がありません。そのため、事業者や地域によって書式が異なります。

全建統一様式とは

全建統一様式とは、一般社団法人全国建設業協会が定めた安全書類の様式です。元請・下請の事務作業の軽減と労務安全書類の一層の充実を目的としており、全国の中小建設事業者からゼネコンまで幅広く採用されています。

全建統一様式を使うメリット:

  • どの現場や事業者でも統一された規格で作成できる
  • 記載内容が法律等に則っていることが担保されている
  • 誰が担当しても同じ知識で作成できる

ただし、元請企業によっては独自の書式を指定される場合もあります。その場合は指定された書式に従いましょう。

国土交通省の作成例

国土交通省のホームページでも、施工体制台帳・再下請負通知書・作業員名簿などの作成例がExcel形式で無料公開されています。テンプレートとして活用することができます。

安全書類の作成手順

安全書類を作成する一般的な手順を解説します。

手順①:必要な書類を確認する

まず、元請企業に提出が必要な書類を確認します。工事の規模や種類、ゼネコンによって必要な書類は異なるため、着工前に必ず確認しましょう。

手順②:書式を入手する

元請企業から指定された書式があればそれを使用します。指定がなければ、全建統一様式や国土交通省の作成例を活用しましょう。

手順③:必要な情報を収集する

作成に必要な情報を収集します。

  • 作業員の個人情報(氏名、住所、生年月日など)
  • 資格・免許の情報
  • 社会保険の加入状況
  • 健康診断の実施状況
  • 使用する機械・車両の情報

手順④:書類を作成する

収集した情報をもとに、各書類を作成します。記入漏れや誤りがないか必ず確認しましょう。

手順⑤:添付書類を準備する

必要に応じて以下の添付書類を準備します。

  • 資格証・免許証の写し
  • 特別教育の修了証の写し
  • 健康診断書の写し
  • 社会保険加入証明書
  • 外国人労働者の場合は在留カード・パスポートの写し

手順⑥:提出・保管する

着工前に元請企業に提出します。提出した書類の控えは、定められた期間保管しましょう。

安全書類の提出時の注意点

安全書類を提出する際の注意点を解説します。

注意点①:着工前に提出する

安全書類は原則として工事着手前に提出する必要があります。締め切り日は現場によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

注意点②:内容に変更があれば再提出する

着工後に書類内容との差異が生じた場合(作業員の追加・変更、使用機械の変更など)は、速やかに変更届を提出する必要があります。

注意点③:押印の要否を確認する

県や国交省の仕様では押印の必要は「無」になっています。ただし、書式によって異なる場合があるため、元請企業に確認することをおすすめします。

注意点④:一人親方も提出が必要

建設現場で一人親方として活動している方も、安全書類の作成・提出が求められます。基本的には他の事業者と書く内容は大きく変わりません。

安全書類の保管期間

安全書類は、建設業法第40条の3により一定期間の保管が義務付けられています。

保管期間の目安

書類の種類保管期間
安全書類(一般)原則5年間
施工体系図・完成図書・打ち合わせ記録建物引き渡し後10年間

書類を正しく保存しなかった場合、「10万円以下の過料」という罰則が適用される可能性があるため注意しましょう。

安全書類の作成を効率化する方法

安全書類は種類が多く、作成に手間がかかります。効率化する方法を紹介します。

方法①:グリーンサイトを活用する

グリーンサイトは、安全書類をクラウド上で作成・提出・管理できるサービスです。大手ゼネコンでも活用されており、多くの建設会社が利用しています。

グリーンサイトのメリット:

  • インターネット環境があればいつでもどこでも作成・確認可能
  • 資格・免許の期限が近づくとアラートで通知
  • 書類の量が膨大にならず管理コスト・スペースを削減

方法②:施工管理アプリを活用する

施工管理アプリの中には、安全書類の作成・管理機能を備えているものがあります。帳票作成機能を活用すれば、スマートフォンからでも安全書類を作成できます。

方法③:建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用する

施工体制台帳等は、建設キャリアアップシステム(CCUS)を用いて作成することが可能です。CCUSに登録されている情報を利用して、効率的に書類を作成できます。

参考:建設キャリアアップシステム(CCUS)公式サイト

まとめ

安全書類(グリーンファイル)は、建設現場の安全を守り、作業員の命と権利を守る重要な書類です。種類が多く不備が生じやすいため、スケジュールに余裕を持って作成しましょう。

本記事のポイント:

  • 安全書類は建設業法により作成・保存が義務
  • 主要なものだけで20種類以上存在する
  • 全建統一様式を活用すると効率的に作成できる
  • 着工前に提出し、変更があれば再提出が必要
  • 保管期間は原則5年間(一部は10年間)
  • グリーンサイトや施工管理アプリで効率化可能

元請企業によって必要な書類は異なるため、事前に確認し、計画的に準備を進めましょう。

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