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建設キャリアアップシステム(CCUS)登録方法とメリットを解説

「元請からCCUSに登録するよう言われたけど、何から始めればいいかわからない」「登録のメリットは本当にあるの?」とお悩みではありませんか?

建設キャリアアップシステム(CCUS)登録方法とメリットを解説

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者の経験や資格を蓄積し、適正な評価と処遇改善につなげるための業界共通システムです。2024年12月時点で技能者約158万人、事業者約28万者が登録しており、公共工事の加点対象にもなることから、今後さらに登録が進むと予測されています。

本記事では、CCUSの登録方法を技能者・事業者それぞれの視点から解説し、導入のメリットや費用、登録時の注意点まで詳しく紹介します。

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建設キャリアアップシステム(CCUS)とは

建設キャリアアップシステム(CCUS:Construction Career Up System)は、建設業に携わる技能者の資格・社会保険加入状況・就業履歴などを登録・蓄積し、技能者の適正な評価や事業者の業務負担軽減に役立てるシステムです。国土交通省と建設業団体が連携して普及を推進しており、一般財団法人建設業振興基金が運営しています。

参考:建設キャリアアップシステム(CCUS)公式サイト

CCUSに登録すると、技能者には個人用のICカード(建設キャリアアップカード)が発行されます。現場に設置されたカードリーダーにタッチすることで、いつ・どの現場で・どの職種で・どの立場で働いたかが就業履歴として記録されます。

CCUSの仕組み

CCUSは以下の4つの要素で構成されています。

  • 技能者情報の登録:本人情報、保有資格、社会保険加入状況などを登録
  • 事業者情報の登録:会社情報、建設業許可情報、社会保険加入状況などを登録
  • 現場情報の登録:元請事業者が現場・契約情報を登録し、施工体制を構築
  • 就業履歴の蓄積:技能者がカードリーダーにタッチして日々の就業履歴を記録

CCUSの登録状況(2024年12月時点)

項目登録数
技能者登録数約158万人
事業者登録数(累計)約28.5万者
うち法人・個人事業主約18.7万者
うち一人親方約9.8万者
就業履歴数(累計)約1億7,800万件

建設業技能者数は約300万人といわれており、すでに半数以上がCCUSに登録していることになります。公共工事でのCCUS活用が進んでいることもあり、今後さらに登録が加速すると見込まれています。

CCUSに登録するメリット

CCUSへの登録は、技能者と事業者の双方にメリットがあります。それぞれの立場から見たメリットを解説します。

技能者のメリット

1. 経験・スキルの見える化

従来、建設業界では技能者の経験や資格が適正に評価されにくい課題がありました。CCUSに登録することで、自身の就業履歴や保有資格がデータとして蓄積され、客観的に証明できるようになります。転職時にも過去のキャリアを示すことができ、適正な評価につながります。

2. 能力評価制度(レベル判定)の活用

CCUSに登録された情報をもとに、技能者の能力を4段階で評価する制度があります。レベルに応じてカードの色が変わり、レベル4(ゴールドカード)は登録基幹技能者相当として高い評価を受けることができます。

レベルカード色目安となる立場
レベル1見習い・初級技能者
レベル2中堅技能者
レベル3シルバー職長・班長クラス
レベル4ゴールド登録基幹技能者・熟練技能者

3. 建退共の掛金管理が簡単に

建設業退職金共済(建退共)の証紙貼付作業が不要になり、CCUSの就業履歴データと連携して退職金が適切に積み立てられます。掛金の納付漏れを防ぎ、退職金をしっかり受け取れるようになります。

事業者のメリット

1. 公共工事の入札で加点対象

経営事項審査において、CCUSの活用状況が評価項目となっています。すべての公共工事でCCUSを利用した場合は10点、民間工事を含むすべての建設工事で利用した場合は15点の加点が得られます。また、全国の自治体でも総合評価落札方式や入札参加資格審査での加点評価が広がっています。

2. 技能者の能力を客観的に把握

CCUSには技能者の保有資格や就業履歴が登録されているため、採用時や現場配置の際に技能者の能力を客観的に確認できます。自社のニーズに合った人材を適切に配置することが可能になります。

3. 事務作業の効率化

CCUSでは全建統一様式に準じた安全書類を出力できる機能があり、作業員名簿などの書類作成が効率化されます。一度情報を登録すれば、何度でも出力が可能です。また、建退共の電子申請方式とも連携しており、掛金管理業務も軽減されます。

4. 施工能力のアピール

所属する技能者の情報がCCUSに蓄積されることで、自社の施工能力を発注者や元請に示すことができます。優秀な技能者を多く抱える企業であることを客観的にアピールでき、受注機会の拡大につながります。

CCUSの登録に必要な費用

CCUSを利用するには、登録料やシステム利用料が必要です。技能者と事業者で費用体系が異なりますので、それぞれ確認しておきましょう。

CCUSの登録に必要な費用

技能者の登録料

技能者登録には「簡略型」と「詳細型」の2種類があります。能力評価制度(レベル判定)を利用する場合は詳細型での登録が必要です。

登録タイプ登録料登録内容
簡略型(インターネット申請のみ)2,500円本人情報、所属事業者、社会保険加入状況
詳細型4,900円簡略型の内容+保有資格、健康診断受診歴など
簡略型から詳細型への変更2,400円差額分

カードの有効期間は発行日から9年経過後最初の誕生日までです。申請時60歳以上の方は14年目の誕生日まで有効となる優遇措置があります。カードの紛失・破損時は再発行料1,000円がかかります。

事業者の登録料

事業者登録料は資本金額によって異なります。有効期間は5年間で、5年ごとに更新が必要です。

資本金登録料(税込)
一人親方無料
個人事業主(500万円未満)6,000円
500万円未満6,000円
500万円以上1,000万円未満12,000円
1,000万円以上2,000万円未満24,000円
2,000万円以上5,000万円未満48,000円
5,000万円以上1億円未満60,000円
1億円以上3億円未満120,000円
3億円以上120,000円

システム利用料

登録料とは別に、システムを利用するための費用が発生します。

管理者ID利用料(全事業者が対象)

  • 一般事業者:11,400円/年(1IDあたり)
  • 一人親方:2,400円/年(1IDあたり)

現場利用料(元請事業者が対象)

  • 技能者のカードタッチ1回につき10円

たとえば、50人の技能者が20日間働く現場では、50人×20日×10円=10,000円の現場利用料が発生します。

技能者のCCUS登録方法

技能者登録の方法は「インターネット申請」と「認定登録機関での窓口申請」の2種類があります。簡略型での登録はインターネット申請のみ対応しています。

登録の流れ

Step1:必要書類の準備

登録に必要な書類を収集します。インターネット申請の場合は、書類をスキャナーやスマートフォンで撮影し、JPG形式の画像データとして保存します。

Step2:利用申込み・申請用IDの取得

CCUSの公式サイトから利用申込みを行い、申請用ログインIDを取得します。

Step3:情報の入力・書類のアップロード

本人情報、所属事業者情報、社会保険情報などを入力し、証明書類をアップロードします。詳細型の場合は保有資格情報なども登録します。

Step4:登録料の支払い

クレジットカードまたは払込票で登録料を支払います。

Step5:審査・技能者IDの発行

CCUSによる審査が行われ、不備がなければ約3〜4週間で技能者IDが発行されます。IDはメールで通知されます。

Step6:建設キャリアアップカードの受領

技能者ID発行後、約1週間で顔写真入りのICカード(建設キャリアアップカード)が届きます。

技能者登録に必要な書類

書類の種類具体例備考
顔写真証明写真(6ヶ月以内撮影)正面・無帽・無背景
本人確認書類(1点でOK)運転免許証、マイナンバーカード住所・氏名・生年月日が確認できるもの
本人確認書類(2点必要)健康保険証+住民票など上記がない場合
社会保険の確認書類健康保険証、年金手帳、雇用保険被保険者証加入状況に応じて
保有資格の証明書類(詳細型)技能講習修了証、免許証など資格名・氏名・交付日が確認できるもの

書類をアップロードする際は、記載内容がはっきり読み取れることを確認してください。文字の滲みやピンボケは審査不備の原因になります。また、健康保険被保険者記号・番号や基礎年金番号はマスキング(黒塗り)して提出します。

代行申請について

技能者登録は、所属する事業者や元請事業者、CCUS登録行政書士による代行申請も可能です。パソコン操作が苦手な方や時間がない方は、代行申請の利用を検討してください。代行申請の際は、本人の同意書が必要です。

事業者のCCUS登録方法

事業者登録も「インターネット申請」と「認定登録機関での窓口申請」の2種類があります。事業者登録を先に行い、その後に所属する技能者の登録を行う流れがスムーズです。

登録の流れ

Step1:必要書類の準備

事業者確認書類と社会保険等の確認書類を収集します。建設業許可の有無によって必要書類が異なります。

Step2:利用申込み・申請用IDの取得

CCUSの公式サイトから利用申込みを行います。

Step3:情報の入力・書類のアップロード

事業者情報、社会保険加入状況などを入力し、証明書類をアップロードします。建設業許可がある場合は、許可情報と連携して入力が簡略化されます。

Step4:審査

CCUSによる審査が行われます。審査期間は約3〜4週間が目安です。

Step5:登録料の支払い

審査完了後、登録料の請求書が届きます。銀行振込、コンビニ払い、カード決済で支払います(48,000円を超える場合は銀行振込のみ)。

Step6:事業者IDの発行

入金確認後、事業者IDがメールで通知されます。これでCCUSへのログインが可能になります。

事業者登録に必要な書類

建設業許可がある法人の場合

  • 建設業許可通知書または許可証明書
  • 社会保険加入証明書類(健康保険・厚生年金・雇用保険)

建設業許可がない法人の場合

  • 履歴事項全部証明書(発行から6ヶ月以内)
  • 社会保険加入証明書類

個人事業主・一人親方の場合

  • 納税証明書または確定申告書(税務署の受付印があるもの)
  • 労災保険特別加入の証明書類(特別加入している場合)

不要な情報(個人情報など)はマスキングして提出する必要があります。マスキングが不十分だと審査不備になるため、事前に「証明書類見本一覧」を確認しておきましょう。

一人親方のCCUS登録

一人親方がCCUSを利用する場合は、「事業者登録」と「技能者登録」の両方が必要になるケースがあります。

事業者登録が必要なケース

請負契約を結んで施工体制に事業者として登録される立場の場合は、事業者登録が必要です。元請から「事業者IDを出すように」と言われた場合は、このケースに該当します。一人親方の事業者登録料は無料ですが、管理者ID利用料(2,400円/年)は必要です。

技能者登録のみで良いケース

特定の事業者に所属せず、専ら技能労働者として雇用される立場であれば、技能者登録のみで問題ありません。

一人親方の登録費用

費用項目金額
事業者登録料無料
管理者ID利用料2,400円/年
技能者登録料(簡略型)2,500円
技能者登録料(詳細型)4,900円

CCUS登録後の現場運用

事業者登録と技能者登録が完了したら、現場でCCUSを運用する準備が必要です。特に元請事業者には以下の対応が求められます。

元請事業者が行うこと

1. 現場・契約情報の登録

現場を開設する際に、現場情報(現場名、所在地、工期など)と契約情報をCCUSに登録します。登録すると現場IDが発行されます。

2. カードリーダーの設置

技能者の就業履歴を記録するために、現場にカードリーダーを設置します。カードリーダーは約1万円〜3万円で、様々な機種が販売されています。また、iPhoneの建レコアプリを利用すれば、カードリーダーなしでも就業履歴を蓄積できます。

3. 施工体制の登録

現場に入場する下請事業者と技能者の情報を施工体制として登録します。

下請事業者・技能者が行うこと

技能者は現場に入場する際、建設キャリアアップカードをカードリーダーにタッチします。これにより就業履歴が自動的に蓄積されます。カードを忘れた場合は、後からシステムに直接入力することも可能です。

CCUS登録時の注意点

スムーズに登録を完了するために、以下の点に注意してください。

審査に時間がかかる

登録申請から審査完了まで1〜2ヶ月かかることがあります。自分で申請した場合、80〜90%は不備修正が発生するといわれています。現場入場に間に合わせるためには、早めに手続きを始めることが重要です。

書類の不備に注意

審査不備の主な原因は以下のとおりです。

  • 必要書類の添付漏れ
  • 書類の文字が不鮮明(滲み、ピンボケ)
  • マスキングの不備(必要な箇所をマスキングしていない、または不要な箇所をマスキングしている)
  • 有効期限切れの書類を添付している

申請前に「証明書類見本一覧」を確認し、正しい書類を準備しましょう。

事業者IDと技能者IDの関連付け

技能者登録の際に所属事業者の事業者IDを入力し、関連付けを行う必要があります。関連付けがされていないと、作業員名簿に技能者が表示されないなどの問題が発生します。

通知の送付先に注意

審査完了通知や建設キャリアアップカード、払込用紙は「登録責任者情報に記載の住所」に送付されます。送付先で受け取れないという問い合わせが非常に多いため、住所の入力は正確に行いましょう。

よくある質問

Q. CCUSへの登録は義務ですか?

A. 2025年現在、CCUSへの登録は義務ではなく任意です。ただし、外国人技能実習生を受け入れる場合は、受け入れ事業者と外国人本人の登録が義務付けられています。また、公共工事でのCCUS活用が進んでおり、登録していないと現場に入れないケースも増えています。

Q. 簡略型と詳細型、どちらで登録すべきですか?

A. 能力評価制度(レベル判定)を利用する場合は詳細型での登録が必要です。処遇改善につなげるためにも、詳細型での登録をおすすめします。最初は簡略型で登録し、後から詳細型に変更することも可能です(差額2,400円)。

Q. 登録を代行してもらうことはできますか?

A. CCUS登録行政書士や認定アドバイザーに代行を依頼できます。代行費用の相場は、技能者登録で1〜2万円、事業者登録で3〜10万円程度です。これとは別にCCUSへの登録料が必要です。

Q. 登録後に情報が変わったらどうすればいいですか?

A. 住所変更、資格取得、所属事業者の変更など、登録情報に変更があった場合は変更申請を行います。情報が古いまま放置すると、有効な就業履歴が登録できなかったり、レベル判定で不利になったりする可能性があります。

まとめ

建設キャリアアップシステム(CCUS)は、技能者の経験・資格を客観的に証明し、適正な評価と処遇改善につなげるための重要なシステムです。

CCUSへの登録により、技能者は自身のキャリアを見える化でき、能力評価制度によるレベルアップが可能になります。事業者は公共工事の入札で加点を得られるほか、技能者の能力を客観的に把握し、業務効率化にもつながります。

登録方法は「インターネット申請」と「認定登録機関での窓口申請」の2種類があり、事業者登録を先に行ってから技能者登録を行う流れがスムーズです。審査には1〜2ヶ月かかることもあるため、現場入場に間に合わせるためには早めの手続きが重要です。

公共工事でのCCUS活用が加速している今、登録を先送りにしている事業者や技能者の方は、ぜひこの機会に登録を検討してみてください。

CCUSの詳しい情報や申請手続きについては、建設キャリアアップシステム公式サイト(https://www.ccus.jp/)をご確認ください。

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