066_現場管理費・_一般管理費の違い

現場管理費・一般管理費の違い|労務管理費との意味の違いを解説

「現場管理費と一般管理費の違いがわからない」「それぞれの内訳や計算方法を知りたい」「労務管理費って何?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

現場管理費・一般管理費の違い|労務管理費との意味の違いを解説

本記事では、現場管理費と一般管理費の違いを徹底解説します。それぞれの内訳、計算方法、労務管理費との違い、見積書・積算での正しい記載方法まで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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現場管理費と一般管理費の違い

現場管理費と一般管理費の違いを簡潔に説明すると、以下のようになります。

項目現場管理費一般管理費
定義工事現場を管理するための費用会社を維持・運営するための費用
対象工事現場本社・支社
工事との関係間接的に関係する直接関係しない
工事原価含まれる含まれない
相場純工事費の5〜15%工事原価の8〜15%

簡単にまとめると:

  • 現場管理費 = 現場の維持・管理に必要な費用
  • 一般管理費 = 会社の維持・運営に必要な費用

工事費の構成と現場管理費・一般管理費の位置づけ

現場管理費と一般管理費の違いを理解するため、工事費の構成を確認しましょう。

工事費の構成図

工事費 = 工事価格 + 消費税
工事価格工事原価純工事費直接工事費 + 共通仮設費
現場管理費(工事原価に含まれる)
一般管理費等(工事原価に含まれない)

ポイント:

  • 現場管理費は工事原価に含まれる
  • 一般管理費は工事原価に含まれない
  • 公共工事では、一般管理費・現場管理費・共通仮設費をまとめて「共通費」または「間接工事費」と呼ぶ

現場管理費とは?

現場管理費とは、工事現場を管理するために必要な費用です。工事に直接関わる費用ではありませんが、工事をスムーズに進めるために必要不可欠な費用です。

現場管理費の具体例

  • 現場監督や現場作業員の給与
  • 作業服や作業用具の費用
  • 社会保険料、健康診断の費用
  • 現場で使用するパソコン、電話、事務用品
  • 安全対策にかかる費用

現場管理費の内訳17項目

国土交通省「公共建築工事共通費積算基準」では、現場管理費を以下の17項目に分類しています。

項目内容
労務管理費作業員の募集・解散、賃金以外の食事・通勤用バス等の費用
租税公課固定資産税、自動車税、印紙税などの税金
保険料工事保険、自動車保険、賠償責任保険など
従業員給料手当現場監督、技術者、事務員の給料・諸手当
退職金現場従業員の退職金・退職給与引当金
法定福利費労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金の事業主負担分
福利厚生費健康診断、慰安旅行、レクリエーション費用
事務用品費事務用品、新聞、雑誌、消耗品の費用
通信交通費電話、郵便、交通費、旅費など
交際費現場に関係する交際費、慶弔費など
補償費第三者への損害補償費用
外注経費外部企業への業務委託費用
工事登録等に要する費用業務データ登録、実績登録にかかる費用
雑費上記に該当しないその他の経費
安全訓練等に要する費用安全訓練、安全大会、安全パトロールの費用
イメージアップ経費現場周辺の美化、イメージアップ活動の費用
公共事業労務費調査に要する費用労務費調査への協力に要する費用

一般管理費とは?

一般管理費とは、会社を維持・運営するために必要な費用です。工事現場ではなく、本社や支社でかかる経費が該当します。

一般管理費の具体例

  • 本社・支社の従業員の給与
  • 本社事務所の家賃・水道光熱費
  • 役員報酬
  • 広告宣伝費
  • 減価償却費

一般管理費等の内訳

項目内容
役員報酬取締役などの役員への報酬
従業員給料手当本社・支社の従業員の給料・諸手当
退職金本社従業員の退職金・退職給与引当金
法定福利費本社従業員の社会保険料の事業主負担分
福利厚生費本社従業員の健康診断、福利厚生費用
修繕維持費本社建物、機械設備の修繕・維持費用
事務用品費本社の事務用品、消耗品の費用
通信交通費本社の電話、郵便、交通費など
動力用水光熱費本社の電気・水道・ガス代
調査研究費技術研究、市場調査などの費用
広告宣伝費会社の広告・宣伝費用
交際費本社関連の交際費、慶弔費など
寄付金社会貢献のための寄付金
地代家賃本社事務所の賃料
減価償却費社屋、機械設備、自動車などの減価償却費
試験研究償却費新技術・新製品の研究開発費の償却
開発償却費新事業開発費の償却
租税公課固定資産税、事業税など
保険料会社全体の保険料
雑費その他の経費
付加利益法人税、住民税、内部留保金など(会社の利益)

現場管理費と一般管理費の混同しやすい項目

現場管理費と一般管理費には同じ名称の項目がありますが、対象が異なります。混同しないよう注意しましょう。

項目現場管理費一般管理費
従業員給料手当現場監督、現場事務員の給料本社・支社の従業員の給料
法定福利費現場従業員の社会保険料本社従業員の社会保険料
福利厚生費現場従業員の健康診断など本社従業員の健康診断など
事務用品費現場事務所の事務用品本社事務所の事務用品
通信交通費現場関連の通信費・交通費本社関連の通信費・交通費

判断基準:

  • 現場を対象とした経費 → 現場管理費
  • 会社(本社・支社)を対象とした経費 → 一般管理費

労務管理費とは?現場管理費との違い

労務管理費は、現場管理費の内訳の一つです。混同しやすいので、違いを整理しましょう。

労務管理費の定義

労務管理費とは、作業員の募集・解散や、賃金以外の費用のことです。

労務管理費に含まれるもの

  • 作業員の募集・解散にかかる費用
  • 作業員の食事代(賃金とは別に支給する場合)
  • 通勤用バスの運行費用
  • 作業員の宿泊費(工事のために宿泊が必要な場合)
  • 作業員の帰郷旅費

労務管理費と他の費用の違い

項目内容分類
労務費作業員の賃金(日当、残業代)直接工事費
労務管理費作業員の募集・解散、食事代、通勤バスなど現場管理費の一部
従業員給料手当現場監督、技術者、事務員の給料現場管理費の一部
法定福利費社会保険料の事業主負担分現場管理費の一部

現場管理費の計算方法

現場管理費の計算方法には、以下の2種類があります。

計算方法①:積み上げ方式

17項目の費用をそれぞれ見積もり、合計する方法です。

計算例:

項目金額
労務管理費50,000円
従業員給料手当300,000円
法定福利費48,000円
福利厚生費20,000円
事務用品費10,000円
通信交通費30,000円
保険料25,000円
安全訓練等に要する費用15,000円
その他22,000円
現場管理費 合計520,000円

計算方法②:現場管理費率方式

過去の実績に基づいた比率(現場管理費率)を純工事費に掛けて算出する方法です。

計算式:

現場管理費 = 純工事費 × 現場管理費率

計算例:

  • 純工事費:5,000,000円
  • 現場管理費率:10%

現場管理費 = 5,000,000 × 10% = 500,000円

現場管理費率の目安

現場管理費率の目安は5〜15%です。工事の種類や規模によって変動します。

工事規模現場管理費率の目安
小規模工事(500万円未満)10〜15%
中規模工事(500万〜5,000万円)8〜12%
大規模工事(5,000万円以上)5〜8%

※公共工事の場合は、国土交通省「公共建築工事共通費積算基準」の算定式に基づいて計算します。

一般管理費の計算方法

一般管理費の計算方法も、積み上げ方式と比率方式の2種類があります。

計算方法①:積み上げ方式

各項目の費用をそれぞれ見積もり、合計する方法です。

計算方法②:一般管理費等率方式

比率(一般管理費等率)を工事原価に掛けて算出する方法です。

計算式:

一般管理費等 = 工事原価 × 一般管理費等率

計算例:

  • 工事原価:5,500,000円
  • 一般管理費等率:10%

一般管理費等 = 5,500,000 × 10% = 550,000円

一般管理費等率の目安

一般管理費等率の目安は8〜15%です。

工事規模一般管理費等率の目安
小規模工事12〜15%
中規模工事10〜12%
大規模工事8〜10%

工事費の計算例

現場管理費と一般管理費を含む工事費の計算例を紹介します。

計算例:住宅リフォーム工事

項目金額備考
【純工事費】
直接工事費4,500,000円材料費+労務費+直接経費
共通仮設費225,000円直接工事費の5%
純工事費 計4,725,000円
【現場管理費】
現場管理費472,500円純工事費の10%
工事原価 計5,197,500円
【一般管理費等】
一般管理費等519,750円工事原価の10%
工事価格 計5,717,250円
【消費税】
消費税(10%)571,725円
工事費 合計6,288,975円

見積書への記載方法

現場管理費と一般管理費の見積書への記載方法を解説します。

記載方法①:諸経費として一括記載

民間工事では、現場管理費と一般管理費を「諸経費」として一本化して記載するのが一般的です。

記載例:

項目金額
直接工事費4,500,000円
共通仮設費225,000円
諸経費992,250円
工事価格 計5,717,250円

記載方法②:内訳を分けて記載

公共工事や詳細な見積りが必要な場合は、現場管理費と一般管理費を分けて記載します。

記載例:

項目金額
直接工事費4,500,000円
共通仮設費225,000円
純工事費 計4,725,000円
現場管理費472,500円
工事原価 計5,197,500円
一般管理費等519,750円
工事価格 計5,717,250円

現場管理費・一般管理費を適切に設定するポイント

現場管理費・一般管理費を適切に設定するポイント

現場管理費・一般管理費を適切に設定するためのポイントを解説します。

ポイント①:高すぎず低すぎず設定する

  • 高すぎる場合:見積金額が高くなり、受注が難しくなる
  • 低すぎる場合:赤字工事になるリスクが高まる

ポイント②:内訳を説明できるようにする

顧客から値引き交渉された場合に、根拠を持って説明できるよう、内訳を把握しておきましょう。

説明例:

  • 「安全訓練を実施するには〇〇円必要です」
  • 「今回の工事では保険料が〇〇円かかります」

ポイント③:過去の実績を参考にする

過去の工事データを蓄積し、自社の実績に基づいた比率を設定しましょう。

ポイント④:公共工事は積算基準に従う

公共工事の場合は、国土交通省「公共建築工事共通費積算基準」に従って計算します。

まとめ

現場管理費と一般管理費の違いは、「現場の維持管理」か「会社の維持管理」かという点です。どちらも工事に直接関係しない費用ですが、適正な利益を確保するために欠かせません。

本記事のポイント:

  • 現場管理費は工事原価に含まれる、一般管理費は含まれない
  • 現場管理費は17項目、一般管理費は21項目の内訳がある
  • 労務管理費は現場管理費の内訳の一つ
  • 現場管理費率の目安は5〜15%、一般管理費等率の目安は8〜15%
  • 民間工事では「諸経費」として一本化して記載することが多い

現場管理費と一般管理費を正しく理解し、適正な工事費を算出しましょう。

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