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印紙税とは?【建設業】印紙税の節約方法を解説

「工事請負契約書に貼る収入印紙はいくら必要?」「印紙税を節約する方法はないの?」「電子契約にすると印紙税が不要って本当?」。建設業に携わる方の中には、印紙税について疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

印紙税とは?【建設業】印紙税の節約方法を解説

建設業では工事請負契約書をはじめ、多くの書類に印紙税がかかります。契約金額が大きい建設工事では、印紙税だけで年間数十万円〜数百万円のコストになることも珍しくありません。

この記事では、建設業における印紙税の基本から、印紙税が必要な書類、印紙税額の一覧、そして印紙税を節約する方法まで詳しく解説します。電子契約による印紙税削減のポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事: 工事請負契約書の印紙税とは?収入印紙の貼付ルールと軽減措置

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印紙税とは

印紙税とは、契約書や領収書など一定の書類(課税文書)を作成した際に課せられる税金です。課税文書を作成した人が、収入印紙を文書に貼り付けて消印を押すことで納税します。

印紙税の基本

  • 課税対象:印紙税法で定められた20種類の課税文書
  • 納税方法:収入印紙を文書に貼付し、消印を押す
  • 納税義務者:課税文書を作成した者
  • 購入場所:郵便局、コンビニ、法務局など

建設業と印紙税の関係

建設業は、印紙税の負担が大きい業種の一つです。その理由は以下の通りです。

  • 工事請負契約書を頻繁に作成する
  • 契約金額が大きい(数百万円〜数億円)
  • 発注者・受注者の双方が契約書を保管するため、2通分の印紙が必要
  • 注文請書、変更契約書など関連書類も多い

例えば、年間100件の工事請負契約(平均契約金額1,000万円)がある場合、印紙税だけで年間100万円以上のコストがかかる可能性があります。

建設業で印紙税が必要な書類

建設業で印紙税が発生する主な書類を紹介します。

1. 工事請負契約書

工事請負契約書は、印紙税法上の「第2号文書(請負に関する契約書)」に該当します。建設業で最も多く作成される課税文書であり、印紙税の負担も大きくなります。

なお、建設業法第19条により、工事請負契約は書面で締結することが義務付けられているため、契約書の作成を省略することはできません。

2. 注文請書

注文請書は、受注側が「工事を引き受けます」という意思を文書化したものです。契約書とは異なりますが、契約の成立を証する書類とみなされるため、印紙税の課税対象となります。

3. 変更契約書

請負契約書に記載されている金額が変更された場合に作成される請負金額変更契約書も課税対象です。

  • 増額変更の場合:増額された金額に応じた印紙税
  • 減額変更の場合:原則として200円

4. 領収書

5万円以上の金銭を受領した際に発行する領収書は、「第17号文書(売上代金に係る金銭の受取書)」に該当し、印紙税がかかります。

建設工事請負契約書の印紙税額一覧

建設工事請負契約書には、現在印紙税の軽減措置が適用されています。令和9年3月31日までに作成される契約書が対象です。

印紙税額一覧表(軽減措置適用後)

契約金額軽減後の税額本則税額(参考)
1万円未満非課税非課税
1万円以上100万円以下200円200円
100万円超200万円以下200円400円
200万円超300万円以下500円1,000円
300万円超500万円以下1,000円2,000円
500万円超1,000万円以下5,000円10,000円
1,000万円超5,000万円以下10,000円20,000円
5,000万円超1億円以下30,000円60,000円
1億円超5億円以下60,000円100,000円
5億円超10億円以下160,000円200,000円
10億円超50億円以下320,000円400,000円
50億円超480,000円600,000円

※契約金額が100万円以下の建設工事請負契約書は、軽減措置の対象外です(税額200円)。

参考:国税庁「建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置

軽減措置の対象

軽減措置の対象となるのは、以下の条件を満たす契約書です。

  • 建設業法第2条第1項に規定する建設工事の請負に係る契約書
  • 契約金額が100万円を超えるもの
  • 令和9年3月31日までに作成されるもの

なお、建物の設計、建設機械の保守などは建設工事には該当しないため、軽減措置の対象外となります。ただし、建設工事と設計が一つの契約書に併記されている場合は、全体が軽減措置の対象となります。

印紙税の節約方法【5つのポイント】

建設業で印紙税を節約するための方法を5つ紹介します。

1. 消費税を別記載にする

契約書に記載する金額を消費税抜きで表示することで、印紙税を節約できます。

【具体例:請負金額5,000万円の場合】

表示方法記載金額印紙税額
税込表示「5,500万円」5,500万円30,000円
税抜表示「5,000万円(税500万円)」5,000万円10,000円

消費税額を別記載にするだけで、20,000円の節税になります。契約金額が大きいほど効果が大きくなります。

2. 複数の契約を1つにまとめる

複数の契約書を1つの契約書にまとめることで、印紙税を節約できます。

【具体例:建設工事5,000万円と設計500万円の場合】

契約方法印紙税額
別々に契約(工事5,000万円+設計500万円)10,000円+5,000円=15,000円
1つの契約書にまとめる(合計5,500万円)30,000円

この例では別々の方が安くなりますが、金額の組み合わせによっては、まとめた方が節税になるケースもあります。また、建設工事と設計を1つの契約書に併記すると、設計部分も軽減措置の対象となるメリットがあります。

3. 契約書を1通のみ作成する

通常、契約書は発注者・受注者が各1通ずつ保管するため、2通分の印紙税が必要です。

印紙税を節約するために、契約書を1通のみ作成し、一方はコピーを保管する方法があります。コピー(写し)は課税文書に該当しないため、印紙税がかかりません。

ただし、コピーに署名・押印や「原本証明」を付した場合は、課税文書に該当する可能性があるため注意が必要です。

4. 軽減措置を活用する

建設工事請負契約書には、令和9年3月31日まで印紙税の軽減措置が適用されています。軽減措置により、本則税額の約40%〜50%が軽減されます。

軽減措置を確実に受けるために、契約書が軽減措置の対象条件を満たしているか確認しましょう。

5. 電子契約を導入する【最も効果的】

印紙税を節約する最も効果的な方法は、電子契約の導入です。電子契約では印紙税が一切かかりません

詳しくは次の章で解説します。

電子契約で印紙税がゼロになる理由

電子契約を導入すると、印紙税がかからなくなります。その理由と根拠を解説します。

電子契約に印紙税がかからない理由

印紙税は、「文書」に対して課税される税金です。印紙税法において、「文書の作成」とは用紙への記載によるものと定義されています。

電子契約は、PDFファイルなどの電子データで契約を締結するため、「文書」には該当しません。したがって、印紙税の課税対象外となります。

国税庁の見解

国税庁は、電子契約について以下のような見解を示しています。

「印紙税の課税対象となるのは、課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれません。したがって、電磁的記録に印紙税は課税されません。」

(出典:国税庁「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」)

国会答弁での確認

2005年の国会答弁においても、「文書課税である印紙税においては、電磁的記録により作成されたものについて課税されないこととなる」と明確に述べられています。

電子契約による印紙税削減の具体例

【年間100件の工事請負契約(平均1,000万円)の場合】

項目紙の契約書電子契約
1件あたりの印紙税10,000円×2通=20,000円0円
年間の印紙税20,000円×100件=200万円0円
年間削減額200万円

電子契約を導入することで、年間200万円のコスト削減が可能です。

建設業で電子契約を導入するメリット

電子契約を導入するメリットは、印紙税の削減だけではありません。

1. 印紙税がゼロになる

前述の通り、電子契約では印紙税がかかりません。契約金額が大きい建設業では、大幅なコスト削減につながります。

2. 契約締結までの時間短縮

紙の契約書では、印刷・署名・押印・郵送など多くの手間がかかります。電子契約では、オンラインで契約書を作成・送信できるため、契約締結までの時間が数日から数時間に短縮されます。

3. 保管・管理の効率化

紙の契約書は物理的な保管スペースが必要で、過去の契約書を探すのも手間がかかります。電子契約では、データベースで一元管理でき、検索も数秒で完了します。

4. 紛失・劣化のリスク軽減

電子契約はサーバーに保管され、バックアップも取れるため、紙のように紛失・劣化・毀損するリスクがありません。

5. 郵送費・印刷費の削減

印紙税以外にも、郵送費・印刷費・封筒代などのコストも削減できます。

印紙税に関する注意点

印紙を貼り忘れた場合の罰則

収入印紙を貼り忘れた場合、過怠税が課されます。

  • 通常:本来の印紙税額の3倍
  • 自主的に申告した場合:本来の印紙税額の1.1倍

また、消印を押し忘れた場合も、消印されていない印紙の額面金額と同額の過怠税が課されます。

印紙税を間違えて多く貼った場合

印紙税を多く納付してしまった場合は、税務署に還付請求を行うことで、払い戻しを受けることができます。

電子契約を印刷した場合

電子契約を印刷しても、それは原本の複製(写し)であり、原則として印紙税はかかりません。ただし、印刷した書面に署名・押印や「原本証明」を付した場合は、課税対象となる可能性があります。

よくある質問

Q1:収入印紙は誰が負担しますか?

A:実務上は、契約当事者(発注者と受注者)がそれぞれ保管する契約書1通分の印紙代を各自で負担するケースが一般的です。

Q2:注文書には印紙税がかかりますか?

A:注文書(発注書)自体には印紙税はかかりません。ただし、注文書に対する注文請書は課税対象となります。

Q3:収入印紙はどこで購入できますか?

A:収入印紙は、郵便局、コンビニエンスストア、法務局などで購入できます。ただし、コンビニでは200円の印紙のみ取り扱っている場合が多いです。

Q4:建設業で電子契約は法的に認められていますか?

A:はい、建設業法で電子契約は認められています。2001年の建設業法改正により、一定の要件を満たせば電子契約での契約締結が可能となりました。電子署名とタイムスタンプを付与することで、紙の契約書と同等の法的効力を持ちます。

まとめ

建設業では工事請負契約書をはじめ、多くの書類に印紙税がかかります。契約金額が大きい建設工事では、印紙税だけで年間数十万円〜数百万円のコストになることも珍しくありません。

印紙税を節約する5つの方法:

  1. 消費税を別記載にする
  2. 複数の契約を1つにまとめる
  3. 契約書を1通のみ作成する
  4. 軽減措置を活用する
  5. 電子契約を導入する【最も効果的】

特に電子契約の導入は、印紙税がゼロになるだけでなく、契約締結の時間短縮、保管・管理の効率化など、多くのメリットがあります。

印紙税は「払わなければならない税金」と思われがちですが、工夫次第で大幅に節約できます。ぜひこの記事を参考に、印紙税のコスト削減に取り組んでみてください。

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