経審(経営事項審査)とは?

経審(経営事項審査)とは?【建設業】申請の流れと点数アップのコツ

「経審(経営事項審査)って何?」「公共工事の入札に必要らしいけど、手続きが複雑でわからない」「点数を上げる方法を知りたい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、経審(経営事項審査)の仕組み・申請の流れ・点数アップのコツを徹底解説します。経審の5つの評価項目から、P点(総合評定値)の計算方法、短期間で評点を改善する具体的な方法まで、公共工事の受注を目指す建設業者の方に役立つ情報をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

経審(経営事項審査)とは?

経審(経営事項審査)とは、公共工事を元請として受注しようとする建設業者が必ず受けなければならない審査です。建設業法第27条の23に基づき、建設業者の経営規模・経営状況・技術力・社会性などを客観的に数値化して評価します。

公共工事の発注機関(国・地方公共団体など)は、入札に参加する建設業者を「客観的事項」と「主観的事項」の2つの観点から審査します。このうち客観的事項にあたる審査が経審であり、全国統一の基準で評価されます。

経審が必要な工事

経審は、以下の条件を満たす公共工事を直接請け負う場合に必要です。

  • 発注者が国・地方公共団体・公共法人などである
  • 請負代金が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)
  • 発注者から直接請け負う(元請)工事である

下請として工事を受注する場合は、経審を受ける必要はありません。

経審を受けるメリット

経審を受けることで、以下のようなメリットがあります。

①公共工事の入札に参加できる
経審を受けなければ、公共工事の競争入札に参加することができません。公共工事は安定した発注量があり、売上の安定化につながります。

②企業の信頼性をアピールできる
経審の結果は一般公開されており、民間企業が発注先を選定する際の参考資料としても活用されています。経審を受けていること自体が、企業の信頼性の証明になります。

③自社の経営状況を客観的に把握できる
経審を通じて、経営規模・財務状況・技術力などを数値化して確認できます。同業他社との比較や、改善すべきポイントの把握に役立ちます。

経審の評価項目と点数の仕組み

経審では、建設業者を5つの評価項目で審査し、それぞれの点数を合算して総合評定値(P点)を算出します。

P点(総合評定値)の計算式

総合評定値(P点)は、以下の計算式で算出されます。

P = 0.25×X1 + 0.15×X2 + 0.20×Y + 0.25×Z + 0.15×W

評価項目内容ウェイト
X1完成工事高25%
X2自己資本額・平均利益額15%
Y経営状況(財務分析)20%
Z技術力(技術職員数・元請完成工事高)25%
Wその他の審査項目(社会性等)15%

P点の平均は約700点で設計されており、一般的に900点以上で高評価1,000点以上で大規模工事の入札参加が視野に入ります。

X1点:完成工事高

X1点は、業種ごとの完成工事高を評価する項目です。ウェイトが25%と最も高く、P点に大きく影響します。

完成工事高は、2年平均または3年平均のいずれかを選択して申請します。年度によるばらつきを緩和するための「激変緩和措置」であり、有利な方を選ぶことが重要です。

また、専門工事の完成工事高を一式工事に振り替える「完成工事高の振替(積上げ)」を活用することで、評点アップを狙うことも可能です。

X2点:自己資本額・平均利益額

X2点は、自己資本額利払前税引前償却前利益(平均利益額)の2つの指標で評価されます。

  • 自己資本額:純資産合計の金額(2年平均を選択可)
  • 平均利益額:営業利益+減価償却実施額の2年平均

経営規模を示す指標であり、短期的な改善は難しい項目ですが、利益の蓄積によって長期的に評点を上げることができます。

Y点:経営状況(財務分析)

Y点は、登録経営状況分析機関が財務諸表をもとに算出する経営状況の評価です。以下の8つの財務指標から計算されます。

指標評価内容
純支払利息比率借入金への依存度
負債回転期間負債の返済能力
売上高経常利益率収益性
総資本売上総利益率資本効率
自己資本対固定資産比率財務安定性
自己資本比率財務健全性
営業キャッシュフローキャッシュ創出力
利益剰余金内部留保

Y点を改善するには、借入金の返済利益率の向上自己資本比率のアップなどが有効です。

Z点:技術力

Z点は、技術職員数元請完成工事高の2つの要素で評価されます。

Z = 技術職員評点×0.8 + 元請完成工事高評点×0.2

技術職員は保有する資格によって点数が異なり、上位資格ほど高い評価を受けます。

技術者区分点数
一級技術者+監理技術者講習受講6点
一級技術者(監理技術者資格者証保有)5点
一級技術者または技術士5点
基幹技能者または一級技能士3点
二級技術者2点
その他の技術者1点

監理技術者については「監理技術者とは?資格要件・主任技術者との違い」をご参照ください。

W点:その他の審査項目(社会性等)

W点は、社会保険の加入状況各種制度への取り組みなど、社会性を評価する項目です。加点・減点の幅が大きく、短期間で改善しやすい項目が多いため、点数アップを目指すなら最初に取り組むべき項目です。

審査項目加点/減点
社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)未加入で大幅減点
建設業退職金共済(建退共)加入で+21点
退職一時金制度・企業年金制度加入で+21点
法定外労働災害補償制度加入で+21点
防災協定の締結締結で+20点
建設業経理士の配置人数に応じて加点
ISO9001・ISO14001の認証取得で各+5点
CCUS(建設キャリアアップシステム)実施で+10〜15点
若年技術職員(35歳未満が15%以上)該当で+1点
営業年数6年以上で加点(最大+60点)

経審の申請の流れ

経審は、経営状況分析経営規模等評価の2段階で行われます。申請の流れは以下のとおりです。

①決算・事業年度終了届の提出

決算を行い、許可行政庁に事業年度終了届(決算変更届)を提出します。この決算日が審査基準日となり、経審の有効期間(1年7ヵ月)の起点になります。

②経営状況分析の申請

登録経営状況分析機関に経営状況分析を申請します。全国に10社ある分析機関から自由に選択でき、財務諸表などの必要書類を提出すると、経営状況分析結果通知書が発行されます。

分析手数料は機関によって異なりますが、一般的に8,000円〜13,000円程度です。

③経営規模等評価・総合評定値の請求

許可行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)に経営規模等評価申請総合評定値請求を行います。

必要書類と手数料を納付し、審査を受けると、経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書が発行されます。

④入札参加資格の申請

経審の結果通知書を受け取ったら、各発注機関に入札参加資格審査を申請します。入札参加資格が認められると、公共工事の入札に参加できるようになります。

経審の手数料

経審を受けるには、以下の手数料が必要です。

項目費用
経営状況分析8,000円〜13,000円程度
経営規模等評価(1業種目)11,000円
経営規模等評価(2業種目以降)1業種につき2,500円加算
総合評定値請求400円

例えば、3業種で経審を受ける場合は、経営状況分析(約10,000円)+経営規模等評価(11,000円+2,500円×2=16,000円)+総合評定値請求(400円)=約26,400円となります。

経審の点数を上げる方法

経審の点数(P点)を上げるには、各評価項目ごとに適切な対策を講じる必要があります。ここでは、短期間で効果が出やすい施策を中心に解説します。

W点から優先的に取り組む

W点(その他の審査項目)は、加点幅が大きく、短期間で改善しやすい項目が多いため、まずはW点から取り組むことをおすすめします。

すぐに取り組める施策:

  • 社会保険への加入確認:健康保険・厚生年金・雇用保険に未加入だと大幅減点。必ず加入を確認
  • 建退共への加入:現場作業員を対象に建設業退職金共済に加入(+21点)
  • 法定外労災への加入:上乗せ労災保険に加入(+21点)
  • 退職一時金制度の導入:事務職員向けに退職一時金制度を導入(+21点)
  • 防災協定の締結:地方自治体と防災協定を締結(+20点)

Z点(技術力)を強化する

Z点を上げるには、技術職員の資格取得監理技術者講習の受講が効果的です。

  • 監理技術者講習の受講:一級技術者に1日講習を受講させるだけで評点アップ(5点→6点)
  • 上位資格の取得推進:二級から一級への資格取得を支援(2点→5点)
  • 資格保有者の採用:審査基準日から6ヵ月超の雇用関係が必要

Y点(経営状況)を改善する

Y点は財務諸表から算出されるため、財務体質の改善が必要です。

  • 借入金の返済:負債を減らして自己資本比率を向上
  • 利益率の改善:薄利多売を避け、適正な利益を確保
  • 固定資産のリース活用:購入ではなくリースを活用して資産を圧縮
  • 不良債権の整理:回収不能な売掛金を適切に処理

X点(経営規模)の最適化

X点は短期的な改善が難しい項目ですが、以下の施策で評点を最適化できます。

  • 2年平均と3年平均の有利な方を選択:業種ごとに有利な方を計算して選択
  • 完成工事高の振替(積上げ):専門工事を一式工事に振り替えて評点アップ
  • 工事進行基準の採用:年度をまたぐ大規模工事は進行基準で計上

経審の有効期間

経審の結果通知書の有効期間は、審査基準日(決算日)から1年7ヵ月です。

公共工事を継続して受注するためには、毎年経審を受けて、有効期間が途切れないようにする必要があります。決算後は速やかに経審の手続きを進めましょう。

まとめ

本記事では、経審(経営事項審査)の仕組み・申請の流れ・点数アップのコツについて解説しました。

経審のポイント(まとめ):

  • 経審とは:公共工事を元請として受注するために必須の審査
  • 評価項目:X1(完成工事高)、X2(経営規模)、Y(経営状況)、Z(技術力)、W(社会性)の5項目
  • P点の計算式:P = 0.25×X1 + 0.15×X2 + 0.20×Y + 0.25×Z + 0.15×W
  • 点数アップのコツ:まずはW点(社会保険・各種制度)から取り組む
  • 有効期間:審査基準日から1年7ヵ月(毎年の受審が必要)

経審は公共工事の受注だけでなく、企業の信頼性向上にも役立ちます。点数アップの施策を計画的に実行し、入札参加資格の向上を目指しましょう。

建設業法については「建設業法19条とは?見積期間の注意点と下請法への対応」もご参照ください。


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