「工事が予定通りに進まず、工期延長が避けられない」「工期延長の原因を把握して対策を立てたい」「施主への伝え方や工期延長願の書き方がわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、工期延長の原因と対処法を徹底解説します。原因別の具体的な対策、工期延長時の手続き、トラブル防止のポイントまで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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工期延長とは?
工期延長とは、当初予定していた工事完了日(竣工日)に間に合わず、工期を延ばすことです。建設工事では工事開始前に完成予定日が決まっており、その期日を守ることが基本ですが、さまざまな原因によりやむを得ず延長となる場合があります。
工期延長は、施主(発注者)への影響、コスト増加、信頼低下など多くの問題を引き起こすため、現場担当者が最も避けたい事態の一つです。
工期延長が発生する7つの原因
工期延長となる主な原因を解説します。原因を把握することで、適切な対策を立てられます。
原因①:天候不良・自然災害
最も一般的な工期延長の原因が、天候不良や自然災害です。
- 長雨・豪雨:屋外作業ができない
- 台風・暴風:足場が危険で作業中止
- 降雪・積雪:冬季の作業遅延
- 地震:現場の被害確認・復旧作業
工事は基本的に屋外で行うため、悪天候の中で作業を敢行すれば事故につながります。天候による工期延長は不可抗力として扱われることが多いです。
原因②:資材の供給遅延・不足
資材の納品が遅れると、予定していた作業が滞り、工期延長につながります。
- メーカーの生産遅延:特注品や人気商品の納期遅れ
- 物流の混乱:災害や繁忙期による配送遅延
- 資材価格の高騰:予算オーバーによる発注見直し
- 世界情勢の影響:輸入資材の供給不安定
特に大規模工事では大量の資材が必要となるため、サプライチェーンの管理が重要です。
原因③:人手不足・労働力の確保困難
建設業界の深刻な人手不足は、工期遅延に直結する問題です。
- 熟練工の不足:特定の技術を持つ職人が確保できない
- 繁忙期の人員不足:2〜3月は内装業者が特に不足
- 複数現場の掛け持ち:一つの現場に十分な人員を配置できない
- 協力会社のスケジュール:予定が合わず人員確保が困難
人手不足は施工業者側の問題とみなされることが多いため、適切な人員配置と計画が重要です。
原因④:設計の不備・変更
設計図の問題は、工期延長の大きな原因となります。
- 設計図の完成遅れ:着工が遅延
- 施主の希望が反映されていない:手戻りが発生
- 設計ミス:サイズや強度の問題で修正が必要
- 設計変更:追加の作業が発生
設計図は工事の基盤となるものであるため、その内容は正確である必要があります。
原因⑤:施工ミス・品質不良
施工ミスや品質不良が発生すると、修正作業が必要となり工期が延長します。
- 寸法・位置の間違い:やり直しが発生
- 品質基準を満たさない:再施工が必要
- 検査不合格:是正工事が発生
- 作業員の技術不足:予想外の手戻り
品質管理が不十分だと工事の再作業が頻発し、全体のスケジュールに影響を与えます。
原因⑥:許認可の遅れ
公共工事などでは多くの許認可が必要となり、これらが遅れると作業開始が遅れます。
- 建築確認申請の審査遅延
- 道路使用許可の取得遅れ
- 近隣住民の同意が得られない
- 行政手続きの想定以上の時間
原因⑦:コミュニケーション不足
プロジェクトチーム内での情報共有不足は、作業の遅延やミスを引き起こします。
- 関係者間の連携不足:認識のズレ
- 進捗状況の共有不足:問題の発見遅れ
- 変更事項の伝達漏れ:古い情報で作業
- 施主との認識相違:手戻りの発生
工期延長による影響
工期延長が発生すると、さまざまな影響が生じます。
影響①:コストの増加
工期延長により原価率が上昇します。
- リース品の延長料金:足場、重機などの使用日数増加
- 追加人員の人件費:特別料金での人員確保
- 夜間・休日作業費用:工期を取り戻すための割増費用
- 現場事務所の維持費:延長日数分の経費
これらのコスト増加は利益を圧迫し、最悪の場合赤字になる可能性もあります。
影響②:罰則金(違約金)の発生
契約書に定められた完成日より遅れた場合、罰則金(違約金)が発生することがあります。
- 施主の営業スケジュールへの損害を補償
- 仮住まい費用や引っ越し費用の負担
- 契約書で定められた遅延損害金
施主に指摘されてから罰則金に気づくことがないよう、契約書をしっかりと確認しましょう。
影響③:後工程への波及
工期延長は後工程に関わる協力会社のスケジュールにも影響を与えます。
- 資材や人員の再手配が必要
- 協力会社との信頼関係に影響
- 急な変更で必要な人員確保が困難に
影響④:従業員への負担増加
工期の遅れを取り戻すために、残業時間や休日出勤が増加します。
- 体や精神へのストレス増大
- 疲労による施工ミスのリスク
- ミスを取り戻すためのさらなる残業
影響⑤:信用の低下
工期を守れないことは、会社の信用問題にも関わります。
- 施主からの信頼低下
- 次の仕事の受注に影響
- 公共工事では入札参加資格停止の可能性
原因別の具体的な対策
工期延長の原因別に、具体的な対策を解説します。
対策①:天候不良・自然災害への対策
事前の備え:
- 予備日(バッファ)を設ける:工程計画に余裕を持たせる
- 天気予報を定期的に確認:週間予報をチェックし、作業計画を調整
- 屋内作業を先行:雨天時でも進められる作業を確保
- 季節を考慮した工程計画:梅雨・台風シーズンを見越した計画
発生時の対応:
- 速やかに関係者へ連絡
- 復旧後の工程を再計画
- 必要に応じて増員や残業で挽回
対策②:資材不足への対策
事前の備え:
- 早めの発注:リードタイムを考慮して余裕を持った発注
- 複数の仕入先を確保:1社に依存しないサプライチェーン
- 予備の資材リスト作成:代替品を事前にリストアップ
- 定期的な在庫確認:サプライヤーとの情報共有
発生時の対応:
- 代替品の迅速な手配
- 作業順序の入れ替え(先にできる作業を進める)
- 施主への早めの報告と相談
対策③:人手不足への対策
事前の備え:
- 早めの人員確保:特に繁忙期(2〜3月)は早期に予約
- 複数の協力会社と関係構築:いざという時の予備戦力
- ITツールの活用:業務効率化で必要人数を削減
- 社内全体での調整:複数現場間で職人を融通
発生時の対応:
- 他現場からの応援要請
- 作業時間の延長(早朝・残業・休日)
- 作業の優先順位を見直し
対策④:設計の不備・変更への対策
事前の備え:
- 設計図の十分なチェック:着工前に複数人で確認
- 施主との認識合わせ:要望を正確にヒアリング
- 設計変更の手順を明確化:変更時のルールを事前に決定
- BIMの活用:3Dモデルで事前に検証
発生時の対応:
- 影響範囲を迅速に把握
- 変更後の工程を再計画
- 追加費用・工期への影響を施主と協議
対策⑤:施工ミス・品質不良への対策
事前の備え:
- 品質管理体制の強化:チェックリストの活用
- 作業手順書の整備:標準化された手順で品質を担保
- 定期的な品質検査:問題の早期発見
- 作業員の教育・訓練:技術力の向上
発生時の対応:
- 原因の究明と再発防止策の検討
- 修正作業の計画と実施
- 関係者への報告と対策共有
対策⑥:コミュニケーション不足への対策
事前の備え:
- 定期的なミーティング:進捗共有と課題の早期発見
- コミュニケーションツールの活用:リアルタイムで情報共有
- 工程表の共有:全員が同じスケジュールを把握
- 役割と責任の明確化:誰が何を担当するか明確に
工期延長が決まった時の対処法

工期延長が避けられないと判断した場合の対処法を解説します。
対処法①:速やかに関係者へ連絡
工期延長が決まったら、速やかに関係者へ連絡することが最優先です。
連絡の順序:
- 上司への報告:工期が遅れる旨を報告し、対応を相談
- 施主への連絡:会社判断として工期延長を伝える
- 協力会社への連絡:後工程のスケジュール調整を依頼
- その他関係者:近隣住民など影響を受ける人への告知
連絡が遅れると、関係者に迷惑をかけ、資材や人手の確保が難しくなります。連絡なしの工期延長は賠償責任に発展する恐れもあるため注意しましょう。
対処法②:罰則金・契約内容の確認
工期延長に際しては、契約書の内容を確認しましょう。
- 遅延損害金の有無と金額
- 工期延長の手続き方法
- 不可抗力による延長の取り扱い
- 追加費用の負担ルール
対処法③:工程の再計画
工期延長が決まったら、新しい工程表を作成しましょう。
- 残りの作業を洗い出し
- 新しい竣工日を設定
- クリティカルパスを確認
- リソースの再配分
対処法④:工期延長願の提出(公共工事の場合)
公共工事では、工期延長願を役所に提出する必要があります。
工期延長願の記載事項:
- 延長する理由:具体的に記載(例:「〇日間の豪雨で屋外の外壁塗装が進まず」)
- 現場の状況:工事が中断した場合の影響
- 行った対策:改善のために実施したこと
- 延長日数:何日延長するのか
- 新しい完成予定日:変更後の竣工日
施主への伝え方
工期延長を施主にお願いする際は、以下の点を明確に伝えましょう。
伝えるべき3つのポイント
- 結論:工期が延長になること
- 理由:なぜ延長になるのか
- 延長日数:何日延長するのか
メール例文
件名:工期遅延のお詫びと工期延長のお願いについて
〇〇様
平素より大変お世話になっております。△△工務店の□□でございます。
このたびは、〇〇邸新築工事につきまして、工期延長のお願いでご連絡いたしました。
誠に申し訳ございませんが、〇〇が理由により、当初の予定日(〇月〇日)までに完成させることが困難な状況となりました。
竣工が遅れてしまうことで、〇〇様のご予定に影響が出ることは重々承知しておりますが、弊社としましては〇〇日の工期延長をお願いしたく存じます。
新しい完成予定日は〇月〇日となります。
ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
工期延長を防ぐための総合的な対策
工期延長を防ぐためには、総合的なアプローチが必要です。
対策①:適切な工期設定
最初の工期設定が重要です。
- 過去の実績を参考にする
- 予備日を設ける(想定期間の1.2倍程度のバッファ)
- 季節・天候を考慮する
- 繁忙期の人員確保を見越す
対策②:リスク管理
潜在的なリスクを洗い出し、事前に対策を講じましょう。
- リスクアセスメントを実施
- 各リスクに対する対応策を策定
- 責任者を明確にする
対策③:進捗管理の徹底
日々の進捗を把握し、遅延を早期に発見することが重要です。
- 毎日の進捗確認
- 週次での工程見直し
- 遅れが出たら即座に対策
対策④:ITツールの活用
施工管理アプリを活用することで、工程管理を効率化できます。
- リアルタイムで進捗共有
- 工程変更時の自動通知
- 現場からスマホで更新可能
- 関係者全員が最新情報を把握
まとめ
工期延長は、天候、資材不足、人手不足、設計の不備、施工ミスなどさまざまな原因で発生します。発生すると、コスト増加、罰則金、信頼低下など多くの影響が生じます。
本記事のポイント:
- 工期延長の主な原因は7つ(天候、資材、人手、設計、施工ミス、許認可、コミュニケーション)
- 原因別に事前の備えと発生時の対応を準備しておく
- 工期延長が決まったら速やかに関係者へ連絡
- 施主への伝え方は「結論」「理由」「延長日数」を明確に
- 適切な工期設定、リスク管理、進捗管理で未然に防ぐ
工期延長のリスクを最小限に抑えるために、日頃からの準備と適切な工程管理を心がけましょう。
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