031_工程表とは

工程表とは?種類や作成方法・ポイントを紹介

建設現場において、工期を守り効率的に作業を進めるために欠かせないのが「工程表」です。工程表を適切に作成・活用することで、作業の進捗管理がスムーズになり、トラブルの早期発見や人員・資材の効率的な配置が可能になります。

工程表とは?種類や作成方法・ポイントを紹介

しかし、「工程表の種類が多くてどれを使えばいいかわからない」「見やすい工程表の作り方がわからない」という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、工程表の基本から種類別の特徴、作成手順、見やすい工程表を作るポイントまで徹底解説します。

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目次

工程表とは?

工程表とは、工事のスケジュールや作業の流れを「いつ・どの順番で・どれくらいの時間で」行うかをまとめた計画表です。建築・土木などの建設現場において、着工から竣工までの全工程を視覚化し、関係者全員で共有するために使用されます。

工程表には、各作業の開始日・終了日、担当者、必要な資材・機材などが記載され、プロジェクト全体の進行状況を一目で把握できるようになっています。

工程表と行程表の違い

「工程表」と「行程表」は似た言葉ですが、意味が異なります。

項目工程表行程表
目的作業手順やスケジュールを管理目標達成までの道のりを示す
内容詳細な作業内容・日程・担当者大まかな予定・計画
用途建設現場の施工管理ロードマップ、旅程表など

工程表はプロジェクトの詳細な作業手順を示すもので、行程表は大まかな目標達成までのスケジュールを示すものと理解しておきましょう。

工程表を作成する目的と役割

工程表を作成する目的は、主に以下の5つです。

1. 納期の遵守

建設工事において工期は契約で定められており、施工会社の都合による「工期割れ」は認められません。工程表を作成することで、各作業の所要日数が明確になり、計画的に工事を進めて納期を守ることができます。

2. 作業効率の向上

工程表で各工程を可視化することで、人員配置や資材調達のタイミングを最適化できます。作業の段取りを事前に把握できるため、無駄な待ち時間を削減し、効率的に作業を進められます。

3. トラブルへの対応

天候不良や資材調達の遅れなど、予期せぬトラブルが発生した場合でも、工程表があれば全体のスケジュールを見ながら迅速に日程調整ができます。問題が連鎖して大きなトラブルに発展するのを防ぐことができます。

4. コストの削減

計画的な工程管理により、不必要な在庫を抱えることなく、建設機械のレンタル期間も無駄なく手配できます。工期短縮が実現すれば、人件費や機材費などのコスト削減にもつながります。

5. 情報共有の円滑化

工程表があれば、自社の作業員だけでなく、協力会社や発注者とも工事の進捗状況を共有できます。関係者全員が同じ情報を共有することで、意思疎通がスムーズになります。

工程表の種類(範囲別)

工程表は、管理する範囲や期間によって以下のように分類されます。

種類特徴・用途
総合(全体)工程表着工から竣工までの全工程を示す。プロジェクト全体の流れを把握するために使用
細部工程表特に重要な工程について詳細に管理するための工程表
月間工程表1ヶ月単位で作業内容をまとめた工程表
週間工程表1週間単位の詳細な作業計画を示す工程表。現場での日々の作業管理に使用

大規模な工事現場では、全体工程表で大きな流れを管理しながら、月間・週間工程表で詳細な作業を管理するという使い分けが一般的です。

工程表の種類(形式別)5選

工程表には、表現方法によって5つの種類があります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。

1. バーチャート工程表

バーチャート工程表は、最も一般的に使用される工程表です。縦軸に作業項目、横軸に日付(時間)を配置し、各作業の期間を棒グラフ(バー)で表します。

メリットデメリット
・作成が簡単でシンプル
・各作業の開始日・終了日が一目でわかる
・建設に詳しくない人でも理解しやすい
・各作業の進捗率がわかりにくい
・作業間の関連性が把握しにくい

適した現場:小〜中規模の工事、シンプルな工程管理

2. ガントチャート工程表

ガントチャート工程表は、縦軸に作業項目、横軸に進捗率(達成率)を取り、各作業の進捗状況を棒線で表します。バーチャートと似ていますが、横軸が「時間」ではなく「進捗率」である点が異なります。

メリットデメリット
・各作業の進捗率が一目でわかる
・計画に対する進捗の遅れを把握しやすい
・各作業の所要日数がわかりにくい
・作業間の関連性が把握しにくい

適した現場:進捗管理を重視する中規模工事

3. グラフ式工程表

グラフ式工程表は、バーチャートとガントチャートの特徴を組み合わせた工程表です。縦軸に進捗率(出来高比率)、横軸に日数を取り、工種ごとの工程を斜線で表します。

メリットデメリット
・進捗率と期限の両方を1つの表で確認できる
・各作業の進捗状況を直感的に把握できる
・作成が複雑で手間がかかる
・工種間の相互関係がわかりにくい

適した現場:厳密な進捗管理が必要な中規模工事

4. ネットワーク工程表

ネットワーク工程表は、作業内容や施工の順序を「〇(イベント)」と「→(アクティビティ)」を使って表した工程表です。各作業の関連性や依存関係を明確に示すことができます。

メリットデメリット
・作業間の関連性が明確にわかる
・クリティカルパス(最も時間がかかる工事ルート)を特定できる
・工期短縮の検討に役立つ
・作成に専門的な知識が必要
・各作業の進捗率がわかりにくい
・修正に手間がかかる

適した現場:複数の工種が存在する大規模工事

ネットワーク工程表では、「アクティビティ」「イベント」「クリティカルパス」「ダミー」などの専門用語が使用されます。作成には一定の学習が必要ですが、複雑な工事の管理には非常に有効です。

5. 出来高累計曲線(曲線式工程表)

出来高累計曲線は、縦軸に出来高累計(進捗率)、横軸に時間を取り、工事全体の進捗状況をS字型の曲線で表す工程表です。「バナナ曲線」「Sカーブ」とも呼ばれます。

メリットデメリット
・工事全体の進捗状況を視覚的に把握できる
・計画に対して進捗が早いか遅いかが一目でわかる
・各作業の開始日・終了日がわからない
・作業の順序・必要日数が把握できない

適した現場:大規模工事の全体進捗モニタリング

工程表5種類の比較表

工程表の種類作業日数進捗率作業の関連性作成難易度適した規模
バーチャート易しい小〜中規模
ガントチャート易しい小〜中規模
グラフ式普通中規模
ネットワーク難しい大規模
出来高累計曲線普通大規模

現場の規模や管理したい内容に応じて、最適な工程表を選択しましょう。複数の工程表を組み合わせて使用することも効果的です。

工程表の作成手順

工程表を作成する基本的な手順を解説します。

ステップ1:施工範囲・作業内容を洗い出す

まず、設計図書や仕様書、施工計画書をもとに、必要な作業を洗い出します。作業をわかりやすい単位に分け、「準備工」「基礎工事」「躯体工事」などの名称をつけましょう。各作業に必要な資材や機械設備も同時にリストアップしておきます。

ステップ2:作業の順序を決める

洗い出した作業を、施工する順番に並べます。「Aの作業が完了しないとBの作業に着手できない」といった依存関係を明確にし、並行して実施できる作業も把握しておきます。

ステップ3:各作業の所要日数を設定する

過去の実績データや経験をもとに、各作業にかかる日数を設定します。顧客の希望納期だけで設定すると、事故やミスの原因となるため、工事内容や人員数を踏まえて適正な日数を見積もりましょう。

ステップ4:全体の工期を調整する

着工から竣工までの全体期間を確認し、各作業の日数を調整します。天候不良やトラブルに備えて、最後に数日間の予備日を設けておくことも重要です。

ステップ5:工程表の形式を決めて作成する

現場の規模や目的に応じて、バーチャートやネットワーク式など適切な形式を選び、工程表を作成します。作成方法は「手書き」「Excel」「工程管理アプリ」などがあります。

ステップ6:関係者に周知・共有する

作成した工程表は、自社の管理部門で確認・調整した後、協力会社や発注者に共有します。関係者全員が同じ工程表を見ることで、認識のズレを防ぎます。

見やすい工程表を作る8つのポイント

見やすい工程表を作る8つのポイント

見やすい工程表を作成するためのポイントを解説します。

1. 専門用語を使いすぎない

工程表は現場作業員だけでなく、発注者や施主も見ることがあります。専門用語ばかりが並ぶとわかりにくいため、誰もが理解できる表現を心がけましょう。

2. 情報を詰め込みすぎない

工程表に情報を詰め込みすぎると、見づらくなってしまいます。説明的な表現は最低限に抑え、知りたいポイントがすぐにわかるようにシンプルに作成しましょう。

3. 色を使いすぎない

工種ごとに色分けしすぎると、かえって見づらくなります。基本は白黒で作成し、重要な部分だけ赤字で示すなど、2〜3色程度に抑えましょう。終了した工程をグレーに塗るなど、ルールを統一することも大切です。

4. 1行に複数の工程を表示する

1行に1つの工程だけを表示すると、行数が増えて無駄なスペースが増えてしまいます。1行に複数の工程を表示することで、すっきりと見やすい工程表になります。

5. 作業内容別・場所別に整理する

作業内容別や工事場所別に分けて並べると、誰がどのようなタスクを抱えていて、進捗状況はどのくらいなのかを把握しやすくなります。

6. 用途に応じて時間単位を変える

現場作業員用には日単位の詳細な工程表が必要ですが、管理職や施主には週単位・月単位の工程表のほうが見やすいです。見る人に合わせて時間単位を切り替えられるようにしましょう。

7. 休日の表示・非表示を切り替えられるようにする

休日が記載されると工程表が長くなり、見にくくなることがあります。休日情報の表示・非表示を切り替えられるようにしておくと便利です。

8. 印刷を考慮して作成する

作成した工程表は、印刷して事務所に貼り付けることもあります。1枚に収められるデザインにする、白黒コピーでも見やすいかどうかを確認するなど、印刷することまで考慮して作成しましょう。

工程表の作成方法3選

工程表を作成する方法は、主に3つあります。

1. 手書き

紙と筆記用具があればすぐに作成できる最もシンプルな方法です。パソコンが苦手な方でも取り組みやすいですが、修正が難しく、共有にも手間がかかります。

2. Excel(エクセル)

多くの企業で導入されているExcelを使えば、無料テンプレートを活用して工程表を作成できます。修正も比較的簡単で、データの共有もしやすいです。ただし、複雑な工程管理には限界があります。

3. 工程管理アプリ・システム

施工管理アプリや工程管理システムを使えば、テンプレートから簡単に工程表を作成でき、関係者との共有もスムーズです。スマートフォンやタブレットからもアクセスでき、リアルタイムでの進捗管理が可能になります。

作成方法メリットデメリット
手書きすぐに作成できる、PCが不要修正・共有が困難、見栄えが悪い
Excel無料で作成可能、修正しやすい複雑な管理には不向き、同時編集が困難
工程管理アプリテンプレートで簡単作成、リアルタイム共有導入コストがかかる場合がある

工程表作成でよくある失敗

工程表を作成する際によくある失敗パターンを紹介します。

多機能なツールを選んでしまう

「どうせ導入するなら多機能なサービスを」と選んでしまいがちですが、機能が多すぎると覚えることも増えてしまいます。結果的に、高い費用をかけたのに一部の機能しか使われていないという状況になりがちです。

修正に時間をかけすぎる

現場では、作成した工程表を何度も修正すると、修正にかかる時間が増えてしまいます。作成した初期の状態と完了後の状態を記録し、初期の目標と比較する程度に留めておくのが良いでしょう。

予備日を設けない

ギリギリのスケジュールで工程表を作成すると、少しのトラブルで工期遅延につながります。天候不良や追加作業に備えて、必ず予備日を設けましょう。

工程表作成には施工管理アプリがおすすめ

工程表の作成・管理を効率化するには、施工管理アプリの導入がおすすめです。

施工管理アプリを使えば、以下のようなメリットがあります。

  • テンプレートから簡単に工程表を作成できる
  • スマートフォンやタブレットからいつでも確認・編集できる
  • 関係者とリアルタイムで情報共有できる
  • 変更があった場合も即座に反映・通知できる
  • 工程管理以外の業務(写真管理、報告書作成など)も一元化できる

特に、複数の現場を管理している場合や、協力会社との連携が多い現場では、施工管理アプリの導入効果は大きいでしょう。

まとめ

工程表は、建設現場において納期遵守・作業効率向上・トラブル対応のために欠かせないツールです。

工程表には、バーチャート、ガントチャート、グラフ式、ネットワーク式、出来高累計曲線の5種類があり、現場の規模や管理したい内容に応じて使い分けることが重要です。

見やすい工程表を作成するためには、専門用語を使いすぎない、情報を詰め込みすぎない、色を使いすぎないなどのポイントを押さえましょう。

工程表の作成・管理を効率化したい場合は、施工管理アプリの導入も検討してみてください。

シンプルで使いやすい工程表なら「Anymore」

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