060_人工代の_見積もり方法

人工代の見積もり方法|労務費との違いやポイントを解説

「人工代の見積もり方法がわからない」「労務費との違いは?」「適正な単価をどう設定すればいい?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

人工代の見積もり方法|労務費との違いやポイントを解説

本記事では、人工代の見積もり方法を徹底解説します。労務費との違い、適正な単価の設定方法、見積書への記載ポイント、利益を確保する人工代の算出方法まで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事: 人工代・人工出しとは?【建設業】計算方法、相場を解説

関連記事: 労務費の計算方法とは?【積算】人件費との違いを解説

関連記事: 建設業の見積書を書く方法|内訳と利益率を意識した作成ポイント

人工代とは?

人工代(にんくだい)とは、作業員1人が1日(8時間)働いたときの人件費のことです。建設業界で広く使われる用語で、工事の見積もりや原価計算の基本となる重要な指標です。

人工(にんく)の基本

  • 1人工(いちにんく) = 作業員1人 × 1日(8時間)の労働
  • 0.5人工 = 作業員1人 × 半日(4時間)の労働
  • 2人工 = 作業員2人 × 1日、または作業員1人 × 2日

「一人工」「1人区」とも呼ばれ、建設業、電気工事、塗装工事などさまざまな現場で用いられます。

人工代の特徴

  • 日給ベースで算出(時間単位ではない)
  • 1日8時間を標準とする(労働基準法の法定労働時間)
  • 残業代や各種手当は含まないのが基本
  • 技術力や経験年数によって金額が異なる

人工代と労務費の違い

人工代と労務費は似た言葉ですが、意味が異なります。違いを正しく理解しましょう。

人工代・労務費・人件費の違い

用語意味含まれるもの
人工代作業員1人が1日働いた時の賃金基本日額のみ(残業代・手当・福利厚生費は含まない)
労務費工事施工に直接関わる職人の人件費基本給、残業代、福利厚生費など
人件費従業員に支払う費用のすべて給与、賞与、各種手当、退職金、法定福利費など

労務費の分類

労務費は直接労務費間接労務費に分けられます。

分類内容
直接労務費工事施工に直接関わる職人への給料大工、左官、電気工事士などの賃金
間接労務費工事に間接的に関わる費用現場監督の給料、事務員の給料など

建設業の積算で「労務費」という場合、一般的には直接労務費を指します。人工代は、この直接労務費を計算するための基本単位です。

人工代の相場

人工代の相場は、職種や地域によって異なります。

人工代の相場

公共工事設計労務単価(令和6年3月適用)

国土交通省が発表している「公共工事設計労務単価」が参考になります。

参考:国土交通省「令和7年度 公共工事設計労務単価

職種全国平均東京都北海道
普通作業員21,818円25,400円20,000円
大工27,721円
鉄筋工28,352円
電工30,100円25,300円
塗装工32,700円27,800円
全職種平均23,600円

※令和6年度は前年比+5.9%の上昇。平成25年度以降、12年連続で上昇しています。

人工代の一般的な相場

民間工事では、公共工事の労務単価を参考にしつつ、独自に設定するのが一般的です。

職種・レベル人工代の目安
普通作業員15,000〜22,000円
見習い職人12,000〜18,000円
一般職人18,000〜25,000円
熟練職人25,000〜35,000円
専門技術者30,000〜40,000円

人工代が変動する要因

  • 職種:専門性が高いほど高単価
  • 経験年数:熟練工と見習いで差がある
  • 地域:都市部は高く、地方は低い傾向
  • 資格の有無:資格保有者は高単価
  • 作業の難易度:危険作業・特殊作業は高単価
  • 繁忙期・閑散期:繁忙期は高くなる傾向

人工代の計算方法

人工代の基本的な計算方法を解説します。

基本の計算式

人工代 = 人工単価 × 人数 × 日数

計算例①:基本パターン

  • 人工単価:25,000円
  • 作業人数:2人
  • 作業日数:3日

人工代 = 25,000円 × 2人 × 3日 = 150,000円(6人工)

計算例②:半日作業

  • 人工単価:25,000円
  • 作業人数:1人
  • 作業時間:4時間(半日)

人工代 = 25,000円 × 0.5人工 = 12,500円

計算例③:複数職種

職種単価人数日数人工金額
大工28,000円2人5日10280,000円
電気工30,000円1人3日390,000円
普通作業員20,000円1人5日5100,000円
合計18470,000円

歩掛を使った計算

歩掛(ぶがかり)とは、作業ごとにかかる手間を数値化したものです。

計算式:

労務費 = 数量 × 歩掛 × 人工単価

計算例:

  • 作業内容:壁クロス貼り
  • 数量:100m²
  • 歩掛:0.05人工/m²
  • 人工単価:25,000円

労務費 = 100m² × 0.05人工/m² × 25,000円 = 125,000円(5人工)

人工代の見積書への記載方法

人工代を見積書に記載する際のポイントを解説します。

記載すべき項目

  • 作業内容:どんな作業か
  • 職種:大工、電気工など
  • 単価:1人工あたりの金額
  • 数量(人工):人数 × 日数
  • 金額:単価 × 数量

見積書の記載例①:シンプルな記載

No.項目数量単位単価金額
1大工工事(人工)10人工28,000280,000
2電気工事(人工)3人工30,00090,000
3普通作業員(人工)5人工20,000100,000
人工代 計18470,000

見積書の記載例②:詳細な記載

No.項目摘要数量単位単価金額
1大工工事2人×5日10人工28,000280,000
2電気工事1人×3日3人工30,00090,000
3運搬・清掃1人×5日5人工20,000100,000
人工代 計18470,000

見積書の記載例③:材料費と一緒に記載

No.項目数量単位単価金額
【木工事】
1構造材1500,000
2造作材1200,000
3大工手間(人工)10人工28,000280,000
木工事 計980,000

適正な人工単価の設定方法

利益を確保するための適正な人工単価の設定方法を解説します。

人工単価の構成要素

人工単価には、以下の要素を考慮して設定します。

要素内容
基本日額職人に支払う1日の賃金
法定福利費社会保険料の事業主負担分(約15〜16%)
諸経費交通費、工具費、消耗品費など
利益会社の利益

人工単価の算出例

計算例:

  • 職人への支払い日額:20,000円
  • 法定福利費(16%):3,200円
  • 諸経費(10%):2,000円
  • 利益(15%):3,000円

人工単価 = 20,000 + 3,200 + 2,000 + 3,000 = 28,200円

単価設定のポイント

  • 公共工事設計労務単価を参考にする:最低限の目安として
  • 地域の相場を把握する:同業他社の単価を調査
  • 職種・経験年数で差をつける:熟練工と見習いは別単価
  • 法定福利費を忘れずに:社会保険料の事業主負担を考慮
  • 利益を確保する:適正な利益を上乗せ

人工代を見積もる際の注意点

人工代を見積もる際に注意すべきポイントを解説します。

注意点①:残業・休日出勤は別途計上

人工代は1日8時間の基本労働を前提としています。残業や休日出勤が発生する場合は、割増賃金を別途計上しましょう。

  • 時間外労働:25%以上の割増
  • 休日労働:35%以上の割増
  • 深夜労働:25%以上の割増

注意点②:交通費の取り扱い

交通費は人工代に含める場合と別途計上する場合があります。事前にどちらの方式か明確にしておきましょう。

総人工代 = 人工代 + 交通費 + 消費税

注意点③:外注費か給与かの判断

人工代の支払いは、一般的に外注費として処理しますが、以下の場合は給与として扱う必要があります。

給与とみなされるケース:

  • 雇用契約を締結している場合
  • 自社の指揮監督のもとで作業している場合
  • 作業時間や場所を指定している場合

「外注費」で支払うべきところを「給与」として処理していなかった場合、追加徴税が発生する恐れがあります。判断が難しい場合は税務署や税理士に相談しましょう。

注意点④:消費税の記載

人工代は消費税10%の対象です(軽減税率の対象外)。見積書には税抜き価格と税込み価格を明記しましょう。

注意点⑤:インボイス制度への対応

インボイス制度に対応した見積書・請求書には、以下の記載が必要です。

  • 適格請求書発行事業者の登録番号
  • 税率ごとに区分した消費税額

利益を確保する人工代の算出のコツ

適正な利益を確保するためのコツを紹介します。

コツ①:作業日数を正確に見積もる

作業日数を甘く見積もると、赤字工事になる原因となります。過去の実績を参考に、余裕を持った日数を設定しましょう。

コツ②:歩掛を活用する

自社の過去実績から歩掛データを蓄積しておくと、精度の高い見積もりができます。

コツ③:職種・スキルで単価を分ける

すべての作業員を同じ単価で計算するのではなく、職種や経験年数で単価を分けることで、より正確な見積もりができます。

コツ④:予備日を設定する

天候不良や予期せぬトラブルに備えて、予備日(バッファ)を設定しておきましょう。

コツ⑤:定期的に単価を見直す

人工代の相場は年々上昇しています。定期的に単価を見直し、適正な価格で見積もりましょう。

まとめ

人工代は、作業員1人が1日(8時間)働いたときの人件費を指す建設業界の基本用語です。適正な人工単価を設定し、正確に見積もることで、利益を確保できます。

本記事のポイント:

  • 人工代は日給ベース(8時間)で算出、残業代・手当は含まない
  • 労務費は人件費の一部、人工代はその基本単位
  • 相場は職種・地域・経験により異なる(全職種平均約23,600円)
  • 計算式:人工代 = 人工単価 × 人数 × 日数
  • 見積書には作業内容・職種・単価・数量・金額を明記
  • 法定福利費・諸経費・利益を考慮して単価を設定

人工代の見積もりを正確に行い、適正な利益を確保しましょう。

人工代の見積もりを効率化「Anymore施工管理」

「人工代の計算が面倒」「見積書の作成に時間がかかる」「過去の実績を参照したい」——そんなお悩みをお持ちではありませんか?

施工管理アプリ「Anymore」なら、人工代の見積もりから請求書作成まで効率化できます。

Anymore施工管理:請求管理機能
Anymore施工管理:請求管理機能

Anymoreが選ばれる理由:

  • 見積機能:テンプレートで人工代の計算を自動化
  • 過去データの活用:過去の見積書を再利用して効率化
  • 請求書連携:見積書から請求書を簡単作成
  • 予算管理:見積金額と実際の原価を比較
  • スマホ対応:現場からも確認・更新可能
  • LINE連携:職人さんへの連絡もスムーズに

しかも、初期費用0円・外部メンバー費用0円・月額15,000円〜と、中小規模の施工会社様でも導入しやすい料金設定です。

人工代の見積もりを効率化し、利益率の向上を実現しませんか?

anymore施工管理説明資料

サービス資料ダウンロード

人工代の計算や見積作成業務をそろそろエクセルから卒業してDXを実現したい担当者様向けに、Anymore施工管理の概要について紹介しています。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

まずは無料でお試しください

1ヶ月間、すべての機能を無料でご利用いただけます。
導入サポートも無料で対応いたします。

※ しつこい営業活動は致しません。