積算とは

積算とは?【建設業】見積との違い・計算方法を解説【2025年版】

「積算って具体的に何をするの?」「見積もりとの違いがわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。積算は工事費用を正確に算出するための重要な業務であり、建設業の利益を左右する根幹となります。

本記事では、積算の基礎知識・見積との違い・計算方法について徹底解説します。積算と見積りの違いを正しく理解し、適正な工事価格の算出を目指しましょう。

積算とは?

積算(せきさん)とは、建設工事に必要な費用を、材料費・労務費・経費などの項目ごとに積み上げて算出する作業のことです。

設計図書(図面・仕様書)をもとに、工事に必要な数量を拾い出し、単価を掛け合わせて工事原価を算出します。建設業における価格決定の基礎となる重要な業務です。

積算の目的

積算を行う主な目的は以下の通りです。

  • 工事原価の把握:工事にかかる費用を正確に算出する
  • 見積価格の根拠作成:顧客に提示する見積書の基礎データとなる
  • 予算管理の基準:実行予算を作成し、原価管理の基準とする
  • 入札価格の算定:公共工事の入札において適正価格を算出する
  • 利益確保:適正な利益を含めた価格設定を行う

積算業務の流れ

積算業務は一般的に以下の流れで進めます。

  • ①図面の確認:設計図書を読み込み、工事内容を把握
  • ②数量の拾い出し:材料・工種ごとに必要数量を算出
  • ③単価の設定:材料単価・労務単価を設定
  • ④金額の算出:数量 × 単価で各項目の金額を計算
  • ⑤経費の計上:諸経費・一般管理費などを加算
  • ⑥集計・チェック:全体を集計し、内容を確認

積算と見積の違い

「積算」と「見積」は混同されやすい言葉ですが、明確な違いがあります。

積算と見積の比較

項目積算見積
定義工事原価を積み上げて算出する作業顧客に提示する価格を算出する作業
目的原価の把握受注価格の決定
含まれる費用直接工事費・間接工事費積算価格+利益+値引きなど
作成対象社内資料顧客向け資料(見積書)
価格の性質原価ベース販売価格ベース

積算から見積への流れ

積算と見積の関係を数式で表すと、以下のようになります。

見積価格 = 積算価格(原価)+ 利益 ± 調整額

積算で算出した原価に、適正な利益を上乗せし、市場状況や競合状況を考慮して調整を行い、最終的な見積価格を決定します。

両者の関係性

積算は見積の「土台」となるものです。積算が正確でなければ、見積価格も適正にならず、以下のような問題が発生します。

  • 積算が過小→ 見積価格が安くなり、赤字工事になるリスク
  • 積算が過大→ 見積価格が高くなり、受注できないリスク

積算の計算方法

積算では、工事費を構成する各項目を積み上げて計算します。工事費の構成と計算方法を解説します。

工事費の構成

建設工事費は、大きく以下のように構成されます。

大分類中分類内容
直接工事費材料費工事に使用する材料の費用
労務費作業員の人件費
直接経費機械経費、仮設材など
間接工事費共通仮設費現場事務所、安全設備など
現場管理費現場監督の人件費、通信費など
一般管理費等一般管理費・利益本社経費、利益

数量拾いの方法

積算の第一歩は「数量拾い」です。図面から必要な材料や工事の数量を算出します。

【数量拾いの例:コンクリート工事】

  • 基礎コンクリート:幅0.5m × 高さ0.5m × 延長20m = 5.0㎥
  • 土間コンクリート:10m × 8m × 厚さ0.15m = 12.0㎥
  • 合計:17.0㎥

単価の設定方法

数量に掛け合わせる単価は、以下の方法で設定します。

①材料単価

  • 仕入先からの見積価格
  • 建設物価(月刊誌)の掲載単価
  • 過去の実績単価

②労務単価

  • 公共工事設計労務単価(国土交通省発表)
  • 自社の実績労務単価
  • 協力会社からの見積価格

歩掛を使った計算

労務費の計算には歩掛(ぶがかり)を使用します。歩掛とは、単位数量あたりに必要な作業員の人数や時間を示す係数です。

【歩掛を使った計算例】

  • コンクリート打設:17.0㎥
  • 歩掛:0.5人/㎥(1㎥あたり0.5人工必要)
  • 必要人工:17.0㎥ × 0.5人/㎥ = 8.5人工
  • 労務単価:25,000円/人工
  • 労務費:8.5人工 × 25,000円 = 212,500円

諸経費の計算

直接工事費を算出したら、諸経費を加算します。諸経費は一般的に直接工事費に対する率(パーセント)で計算します。

経費項目計算基準一般的な率
共通仮設費直接工事費 × 率3〜8%
現場管理費(直接工事費+共通仮設費)× 率10〜20%
一般管理費等工事原価 × 率8〜15%

積算の種類

積算には目的や段階に応じて、いくつかの種類があります。

概算積算

設計の初期段階で行うおおまかな積算です。坪単価や過去の類似工事の実績をもとに、概算の工事費を算出します。

  • 用途:予算計画、事業計画の検討
  • 精度:±20〜30%程度

詳細積算

設計図書が完成した段階で行う詳細な積算です。すべての項目について数量を拾い、単価を設定して算出します。

  • 用途:見積書作成、入札価格算定
  • 精度:±5〜10%程度

実行予算積算

受注後に行う実際の施工に基づいた積算です。協力会社からの見積や実際の材料単価をもとに、工事原価を算出します。

  • 用途:原価管理、利益管理
  • 精度:±3〜5%程度

積算を効率化する方法

積算業務は時間がかかる作業です。効率化のポイントを紹介します。

①積算ソフトの活用

積算ソフトを活用することで、数量拾いや金額計算を効率化できます。CADデータからの自動拾い出しや、単価データベースの活用により、大幅な時間短縮が可能です。

②単価データベースの整備

よく使う材料や労務の単価をデータベース化しておくことで、毎回調べる手間を省けます。定期的に単価を更新することも重要です。

③テンプレートの活用

工種ごとの積算テンプレートを用意しておけば、項目の漏れを防ぎ、作業を標準化できます。

④過去データの蓄積

過去の工事の積算データや実績データを蓄積・分析することで、精度の高い積算が可能になります。

積算に関するよくある質問

Q1. 積算に必要な資格はある?

積算業務自体に必須の資格はありませんが、「建築積算士」「建築コスト管理士」などの資格があります。これらを取得することで、専門性を証明できます。

Q2. 積算の精度を上げるコツは?

①図面を丁寧に読み込む②現場条件を考慮する③過去の実績と比較することが重要です。また、複数人でのダブルチェックも有効です。

Q3. 公共工事と民間工事で積算方法は違う?

基本的な考え方は同じですが、公共工事は国土交通省の積算基準に従う必要があります。民間工事は各社独自の方法で積算することが多いです。

Q4. 積算と原価管理の関係は?

積算で算出した原価は、原価管理の基準(予算)となります。工事中は実際の発生原価と比較し、差異があれば分析・対策を行います。

まとめ

本記事では、積算の基礎知識・見積との違い・計算方法について解説しました。

積算のポイント(まとめ):

  • 積算とは:工事に必要な費用を項目ごとに積み上げて算出する作業
  • 見積との違い:積算は原価の算出、見積は販売価格の算出
  • 計算方法:数量拾い→単価設定→金額算出→諸経費計上
  • 効率化のポイント:積算ソフトの活用、単価データベースの整備

積算は建設業の利益を左右する重要な業務です。正確な積算を行い、適正な利益を確保できる価格設定を目指しましょう。

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