122_施工管理技士とは

施工管理技士とは?資格の種類・難易度・年収を解説

「施工管理技士ってどんな資格?」「1級と2級は何が違うの?」「取得したら年収はどのくらい上がる?」。施工管理技士の資格取得を検討している方は、このような疑問をお持ちではないでしょうか。

施工管理技士とは、建設工事の施工管理に関する技術を認定する国家資格です。資格には7つの種類があり、それぞれ1級と2級に分かれています。2024年度(令和6年度)からは受験資格が大幅に緩和され、より取得しやすくなりました。

施工管理技士とは?

この記事では、施工管理技士の基本的な役割から、7つの資格の種類、難易度と合格率、年収アップ効果まで詳しく解説します。資格取得を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

関連記事: 施工管理に必要な資格一覧|取得のメリットと難易度を解説

関連記事: 施工管理とは?現場監督との違いや役割を解説

関連記事: 施工管理職とは?5大管理の内容とキャリアパス

施工管理技士とは

施工管理技士とは、建設業法第27条に基づく「施工管理技術検定」に合格した者に与えられる国家資格です。国土交通大臣が指定した機関が試験を実施しており、建設業界で高い専門性と技術力を証明する資格として認められています。

施工管理技士の資格を取得すると、建設現場の「主任技術者」や「監理技術者」として配置されることができます。これらの技術者の配置は建設業法で義務付けられており、施工管理技士は建設業界において非常に重要な存在です。

施工管理技士の役割

施工管理技士は、建設工事現場で以下のような役割を担います。

  • 施工計画の作成:工事の進め方、工法、安全対策などを計画
  • 工程管理:スケジュール通りに工事を進めるための管理
  • 品質管理:設計図通りの品質を確保するための検査・管理
  • 安全管理:作業員の安全を守り、事故を防止
  • 原価管理:予算内で工事を完了させるためのコスト管理

これらの「4大管理」(または環境管理を加えた5大管理)を適切に行い、工事を安全かつ計画通りに完成させることが施工管理技士の使命です。

施工管理技士と施工管理技士補

令和3年度の試験制度改正により、「施工管理技士補」という新たな資格が創設されました。

  • 施工管理技士補:第一次検定に合格した者に与えられる称号
  • 施工管理技士:第一次検定と第二次検定の両方に合格した者に与えられる称号

技士補の資格を取得すると、第二次検定の受験資格が永久に有効となります。また、1級施工管理技士補は監理技術者の補佐として現場で活躍できるため、実務面でもメリットがあります。

施工管理技士の種類【7種類】

施工管理技士には7つの種類があり、それぞれ対象となる工事分野が異なります。すべての資格に1級と2級があり、合計14種類の資格が存在します。

資格の種類対象となる工事試験実施機関
建築施工管理技士建築工事全般(ビル、マンション、商業施設、住宅など)一般財団法人 建設業振興基金
土木施工管理技士土木工事全般(道路、橋梁、トンネル、ダム、河川など)一般財団法人 全国建設研修センター
電気工事施工管理技士電気工事全般(照明、動力設備、受変電設備など)一般財団法人 建設業振興基金
管工事施工管理技士配管設備工事(給排水、空調、ガス設備など)一般財団法人 全国建設研修センター
電気通信工事施工管理技士電気通信設備工事(LAN、放送設備、モバイル通信など)一般財団法人 全国建設研修センター
造園施工管理技士造園工事(公園、庭園、緑地など)一般財団法人 全国建設研修センター
建設機械施工管理技士建設機械を使用する工事(ブルドーザー、油圧ショベルなど)一般社団法人 日本建設機械施工協会

それぞれの資格について詳しく見ていきましょう。

1. 建築施工管理技士

建築施工管理技士は、建築工事の施工計画作成や現場管理を行うための資格です。ビルやマンション、商業施設、住宅など、建物を建てる工事全般が対象となります。

建設業界で最もメジャーな施工管理技士の資格の一つで、受験者数も多いのが特徴です。資格を取得すると、建築工事業、大工工事業、左官工事業など、幅広い業種で活躍できます。

2. 土木施工管理技士

土木施工管理技士は、土木工事の施工管理を行うための資格です。道路、橋梁、トンネル、ダム、河川、港湾、空港など、社会インフラ整備に関わる工事が対象となります。

公共工事に携わる機会が多く、安定した需要がある資格です。災害復旧工事などでも活躍できます。

3. 電気工事施工管理技士

電気工事施工管理技士は、電気設備工事の施工管理を行うための資格です。照明設備、動力設備、受変電設備、電気通信設備などの工事が対象となります。

電気設備はあらゆる建築物に必要なため、安定した需要があり、将来性の高い資格です。

4. 管工事施工管理技士

管工事施工管理技士は、配管設備工事の施工管理を行うための資格です。給排水設備、空調設備、ガス設備、浄化槽設備などの工事が対象となります。

設備系の施工管理技士の中で最も汎用性が高く、年収も高い傾向にあります。

5. 電気通信工事施工管理技士

電気通信工事施工管理技士は、電気通信設備工事の施工管理を行うための資格です。LANの新設、基地局設置、放送設備、防犯カメラ設備などの工事が対象となります。

2019年に新設された比較的新しい資格で、5G通信の普及により需要が高まっています

6. 造園施工管理技士

造園施工管理技士は、造園工事の施工管理を行うための資格です。公園、庭園、緑地、道路の緑化工事などが対象となります。

都市の緑化推進や環境意識の高まりにより、一定の需要がある資格です。

7. 建設機械施工管理技士

建設機械施工管理技士は、建設機械を使用する工事の施工管理を行うための資格です。ブルドーザー、油圧ショベル、クレーン車などの建設機械を扱う工事が対象となります。

大規模な土木工事や造成工事などで建設機械が必要不可欠なため、一定の需要があります。

1級と2級の違い

施工管理技士には1級と2級があり、それぞれ担当できる工事の規模や役割が異なります

項目1級施工管理技士2級施工管理技士
なれる技術者監理技術者・主任技術者主任技術者
担当できる工事すべての規模の工事中小規模の工事
特定建設業専任技術者になれるなれない
経審の評価点5点2点
難易度高いやや難しい

監理技術者と主任技術者の違い

建設業法では、工事の規模に応じて技術者の配置が義務付けられています。

  • 監理技術者:下請契約の総額が4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)の工事に配置が必要。1級施工管理技士のみがなれる
  • 主任技術者:すべての工事現場に配置が必要。1級・2級施工管理技士がなれる

つまり、1級を取得すれば、規模に関係なくすべての工事の責任者として活躍できます。一方、2級は主任技術者として中小規模の工事を担当することになります。

経営事項審査(経審)での評価

公共工事を受注する際に必要な経営事項審査では、技術者の資格が点数化されます。1級施工管理技士は5点、2級は2点として評価されるため、有資格者の在籍は企業にとって大きなメリットです。

施工管理技士の難易度・合格率

施工管理技士試験の難易度は、「やや難しい〜普通」程度とされています。資格の種類や1級・2級によって合格率は異なります。

各資格の合格率一覧

以下は、各施工管理技士資格の近年の合格率です(第一次検定・第二次検定別)。

資格1級 第一次1級 第二次2級 第一次2級 第二次
建築施工管理技士約36%約41%約25〜40%約25〜53%
土木施工管理技士約50〜60%約35%約50〜70%約35〜63%
電気工事施工管理技士約38〜40%約50%前後約55〜65%約40〜65%
管工事施工管理技士約40〜50%約50〜60%約50〜60%約40〜50%
電気通信工事施工管理技士約50%約30〜40%約60〜70%約30〜40%
造園施工管理技士約35〜40%約30〜40%約50〜55%約30〜40%
建設機械施工管理技士約20〜30%約60〜85%約40〜50%約60〜85%

※合格率は年度によって変動します。

難易度のポイント

施工管理技士試験の難易度を考える際のポイントは以下のとおりです。

  • 第一次検定と第二次検定の両方に合格が必要:両方を一発で通過できる確率は10〜20%程度
  • 出題範囲が広い:建設に関する幅広い知識が問われる
  • 第二次検定は記述式:経験記述問題は独学での対策が難しい
  • 受験者は実務経験者:現場で活躍している人が受験しても半数以上が不合格になる

特に1級建築施工管理技士の実質合格率(第一次・第二次両方に合格する確率)は約15%程度と難関です。しかし、計画的に学習を進めれば十分に合格可能な試験です。

合格に必要な勉強時間

施工管理技士試験に合格するために必要な勉強時間の目安は以下のとおりです。

  • 2級施工管理技士:100〜200時間程度
  • 1級施工管理技士:200〜400時間程度

仕事をしながら勉強する場合、3〜6ヶ月程度の学習期間を確保することをおすすめします。

施工管理技士の受験資格【2024年度改正】

2024年度(令和6年度)から、施工管理技士の受験資格が大幅に緩和されました。

第一次検定の受験資格

第一次検定は、年齢条件のみで受験可能になりました。実務経験は問われません。

  • 1級:試験実施年度において19歳以上
  • 2級:試験実施年度において17歳以上

これにより、学生や未経験者でも第一次検定を受験できるようになり、早期からのキャリア形成が可能になりました。

第二次検定の受験資格

第二次検定には、実務経験が必要です。2024年度からは学歴に関わらず、実務経験年数が統一されました。

資格必要な実務経験
1級1級技士補合格後、実務経験5年以上(または特定実務経験1年以上を含む3年以上)
2級2級技士補合格後、実務経験1〜3年以上(種別により異なる)

また、2024年度から2028年度までは経過措置期間として、従来の「学歴と実務経験の組み合わせ」による旧受験資格制度も併用可能です。

施工管理技士の年収

施工管理技士の資格を取得すると、年収アップが期待できます。ここでは、資格別の年収や資格手当について解説します。

施工管理技士の平均年収

厚生労働省の職業情報提供サイト(jobtag)によると、施工管理技士の平均年収は約600万円〜630万円とされています。これは全職種の平均年収(約460万円)を大きく上回る水準です。

1級と2級の年収差

1級と2級では、年収に約100万円の差があるとされています。

資格平均年収
1級建築施工管理技士約460万円〜690万円
2級建築施工管理技士約350万円〜585万円
1級土木施工管理技士約400万円〜700万円
2級土木施工管理技士約300万円〜600万円

ある調査では、1級建築施工管理技士の平均年収は690.6万円、2級は585.0万円で、その差は約105万円という結果も出ています。1級を取得することで、より大規模な工事を担当でき、責任も増すため、年収が高くなる傾向にあります。

資格手当の相場

多くの企業では、施工管理技士の資格保有者に対して資格手当を支給しています。

資格資格手当の相場(月額)
1級施工管理技士5,000円〜30,000円
2級施工管理技士1,000円〜10,000円

例えば、1級の資格手当が月額2万円の場合、年間で24万円の収入増となります。資格取得は長期的に見て大きな経済的メリットがあります。

年収1,000万円は可能か

施工管理技士で年収1,000万円を達成することは十分に可能です。特に以下のような条件を満たすと、高年収を実現できます。

  • 1級施工管理技士を取得している
  • 大手ゼネコンに勤務している
  • 管理職に就いている
  • 大規模プロジェクトを担当している
  • 複数の資格を保有している

ある調査では、1級建築施工管理技士の約10%が年収1,000万円以上を得ているとの結果も出ています。

施工管理技士を取得するメリット

施工管理技士の資格を取得することで、様々なメリットがあります。

1. 主任技術者・監理技術者になれる

施工管理技士の資格を取得すると、法的に必要な技術者として現場に配置されることができます。建設業法では技術者の配置が義務付けられているため、有資格者は常に需要があります。

2. 年収・収入がアップする

資格手当の支給や、より責任のあるポジションに就けることで、収入アップが期待できます。1級と2級の年収差は約100万円以上とも言われています。

3. キャリアアップにつながる

資格を取得することで、大規模なプロジェクトを任される機会が増え、昇進や昇給のチャンスが広がります。管理職への道も開けます。

4. 転職に有利になる

施工管理技士は人材不足が続いており、求人倍率は9倍以上とも言われています。資格を持っていれば、より好条件での転職が可能です。

5. 会社からの評価が高まる

経営事項審査で加点対象となるため、企業にとって有資格者は貴重な存在です。公共工事の受注にも貢献できるため、会社からの評価も高まります。

6. 独立・開業の道も開ける

施工管理技士の資格があれば、建設業許可を取得して独立することも可能です。将来的な選択肢が広がります。

施工管理技士の資格を活かすには施工管理アプリが有効

施工管理技士の資格を取得した後は、現場で効率的に業務を行うことが重要です。施工管理アプリを活用することで、日々の業務効率化と品質向上を両立できます。

施工管理アプリのメリット

機能メリット
工程管理工程表の作成・共有・更新がスマホで完結
写真管理施工写真の撮影から整理、台帳作成まで効率化
報告機能日報・週報をスマホから簡単に作成・提出
情報共有図面・資料をクラウドで共有、リアルタイム更新
品質管理検査記録や是正指示をデジタルで管理

Anymore(エニーモア)は、業界で最もシンプルで使いやすい施工管理アプリです。案件管理、工程管理、カレンダー、報告、検査、写真、資料・図面など、施工管理に必要な機能を網羅。LINE連携機能やGoogleカレンダー連携など、他社が導入できていない便利な機能も搭載しています。

Anymore施工管理:LINE連携機能
Anymore施工管理:LINE連携機能

初期費用ゼロ、外部メンバー費用ゼロ、月額15,000円〜というリーズナブルな料金設定で、中小規模の建設会社でも導入しやすいのが特徴です。

まとめ

施工管理技士は、建設工事の施工管理に関する技術を認定する国家資格です。7つの種類があり、それぞれ1級と2級に分かれています。

2024年度からは受験資格が緩和され、第一次検定は年齢条件のみで受験可能になりました。1級を取得すれば監理技術者として大規模工事を担当でき、年収アップも期待できます。1級と2級では年収に約100万円の差があるとされています。

資格の取得は簡単ではありませんが、計画的に学習を進めれば合格可能です。建設業界では施工管理技士の需要が高く、資格を持つことで転職やキャリアアップに有利になります。

施工管理技士の資格取得を目指す方は、まずは自分に合った資格の種類を選び、計画的に学習を始めてみてはいかがでしょうか

anymore施工管理説明資料

サービス資料ダウンロード

施工管理担当者様向けに、Anymore施工管理の概要について紹介しています。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

まずは無料でお試しください

1ヶ月間、すべての機能を無料でご利用いただけます。
導入サポートも無料で対応いたします。

※ しつこい営業活動は致しません。