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施主検査とは?引き渡し前に知っておきたい流れ

「施主検査って何をすればいいの?」「見落としがあったら後悔しそうで不安」とお感じではありませんか?

施主検査は、完成したマイホームが契約通りに仕上がっているかを自分の目で確認する大切な工程です。引き渡し前の最終チェックとなるため、ここで見落とした不具合は、後から無償での修繕を依頼できなくなる可能性があります。

施主検査とは?

本記事では、施主検査の基本から、当日の流れ、チェックすべきポイント、準備しておくべきことまで詳しく解説します。この記事を読めば、スムーズな引き渡しに向けて万全の準備ができるでしょう。

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施主検査とは

施主検査(せしゅけんさ)とは、住宅の建築工事を依頼した「施主」が、完成した建物を自らの目で確認・検査することです。施工会社である工務店やハウスメーカーの担当者と一緒に、発注通りの住宅が作り上げられているかをチェックします。

具体的には、以下の点を確認します。

  • 建物の施工品質が保たれているか
  • 打ち合わせ内容や契約内容と相違がないか
  • 傷や汚れ、不具合がないか
  • 設備が正常に作動するか

施主検査が終わると、「建物に問題がないことに同意した」とみなされるのが一般的です。そのため、後になって不具合に気付いても、すぐに修正してもらえない可能性があります。これから長く住み続ける家だからこそ、施主検査は非常に重要なイベントなのです。

施主検査と竣工検査の違い

似たような言葉に「竣工検査」があります。混同されやすいため、違いを整理しておきましょう。

検査の種類実施者目的
竣工検査(社内検査)工務店・ハウスメーカーの検査員や担当者工事完了後、施工品質を確認する自社検査
施主検査施主(建築主)竣工検査後に、施主自身が建物の仕上がりを確認

竣工検査は施工会社が行う社内検査であり、施主検査はその後に施主が主体となって行う検査です。いずれも住宅の品質や安全性を確保するために必要なステップといえます。

なお、施主検査は施工会社によって「内覧会」「完成検査」「立会い検査」など呼び名が異なることがあります。

施主検査のタイミング

施主検査には、大きく分けて以下の2つのタイミングがあります。

1. 建築途中の施主検査

基礎完成後、構造躯体の完成後、断熱工事完了後など、建築途中に複数回の確認機会を設けるケースもあります。特に防水工事や断熱工事は施工ミスが起こりやすいため、この段階で確認しておくと安心です。

2. 完成後・引き渡し前の施主検査

工事がすべて完了し、引き渡しの1〜2週間前に実施される検査です。一般的に「施主検査」といえば、こちらを指すことが多いです。万一不具合が発覚した際に補修する日数を確保するため、引き渡し日の2週間以上前に行われるのが理想的です。

施主検査の流れ

施主検査は一般的に以下の流れで進みます。全体の所要時間は1〜2時間程度が目安ですが、建物の広さや確認箇所の多さによっては3〜4時間かかることもあります。

施主検査の流れ

Step1:日程の調整

施工会社から施主検査の日程について連絡があります。以下の点を確認しておきましょう。

  • 誰が立ち会うのか(担当者、現場監督、設計士など)
  • 所要時間の目安
  • 外構工事は完了しているか

日程は、できるだけ明るい時間帯、できれば天気の良い日に設定してもらうのがおすすめです。検査時にはまだ照明がない部屋もあり、自然光で見た方が壁紙の小さな傷や床の色の違いも見つけやすくなります。

Step2:事前準備

施主検査の前に、以下の準備をしておきましょう。

  • 図面と打ち合わせ内容の確認(変更箇所がきちんと反映されているか)
  • 選んだ設備・仕様のカタログや画像の整理
  • チェックリストの準備
  • 当日の持ち物の準備

可能であれば、施主検査の前に一度現地を見ておくことをおすすめします。社内検査後〜施主検査前のタイミングがベストです。養生が外された状態で事前に確認しておくと、当日余裕を持って検査に臨めます。

Step3:当日の検査

施主検査当日は、施工会社の担当者から設備機器の使い方やメンテナンスの説明を受けながら、一部屋ずつ傷や汚れ、不具合がないかを確認していきます。

検査の進め方は「一つの場所は下から上へ(床→壁→天井)」など、ルール化しておくと確認漏れを防げます。気になる箇所にはマスキングテープを貼り、写真を撮影して記録しておきましょう。

Step4:指摘事項の確認と修繕日程の取り決め

不具合が見つかった場合は、修繕箇所をリストにまとめ、「いつまでに直るのか」という具体的な日にちをその場で確認します。「後でやっておきます」のような曖昧な返事で終わらせず、「〇月〇日までに完了しますか?」とはっきり確認することが大切です。

修繕箇所が多い場合や部品の取り寄せに時間がかかる場合は、引き渡しに間に合うかどうかも確認しておきましょう。

Step5:再検査(必要な場合)

修繕が完了したら、再度検査を依頼しましょう。工期を急ぐ施工会社もありますが、引き渡し後にさらなる修繕を依頼することは原則できないため、再検査の意志をしっかり伝えることが重要です。

施主検査に必要な持ち物

施主検査当日に持参すると便利なものをご紹介します。

必須の持ち物

持ち物用途
図面(平面図・立面図・配置図など)図面と現地の照合、指摘事項の記録
筆記用具図面への書き込み、メモ
スマートフォン写真撮影、ライト、メモ
スリッパ室内を歩く際に必要

図面は書き込みができるようコピーしたものを持参し、クリップボードに挟んでおくと立ったままでも記入しやすくなります。筆記用具は0.5mmのシャープペンシルがおすすめです。基礎や外壁にひび割れがあった際、芯を差し込んで幅が0.5mm以上あるか確認できます。

あると便利な持ち物

持ち物用途
マスキングテープ(青や赤など目立つ色)気になる箇所のマーキング
メジャー寸法の確認、収納や家具配置のイメージ
懐中電灯暗い場所(床下点検口など)の確認
充電器(スマホなど)コンセントの通電確認
ウエットティッシュ手の汚れを拭く
仕様書・カタログ選んだ設備・仕様の確認

マスキングテープは施工会社が用意してくれることも多いですが、念のため持参しておくと安心です。

施主検査のチェックポイント【屋外編】

施主検査では、屋外と屋内の両方をチェックします。まずは屋外のチェックポイントから見ていきましょう。

外壁・基礎

  • 外壁にひび割れ、欠け、傷、汚れがないか
  • 外壁材(サイディングなど)の色・柄が仕様通りか
  • 基礎表面にひび割れや欠けがないか
  • 基礎と外壁の取り合い部分に隙間がないか

外壁や基礎のひび割れは、程度によっては雨水が侵入し、建物に重大なダメージを与える恐れがあります。シャープペンシルの芯(0.5mm)を差し込んで入るようなひび割れは、修繕を依頼しましょう。

屋根・雨樋

  • 屋根材に破損や浮きがないか(目視できる範囲で)
  • 雨樋が正しく取り付けられているか
  • 雨樋に傷や割れがないか

玄関ポーチ・アプローチ

  • タイルの貼り忘れ、欠け、ひび割れがないか
  • ポーチの手すりがしっかり固定されているか
  • 段差の高さは適切か

外構

  • 駐車場・カーポートの仕上がりに問題がないか
  • フェンス・門扉の取り付けに不具合がないか
  • 植栽は予定通りか
  • 境界杭・境界標の位置が正しいか
  • 隣地へ越境している部分がないか

外構工事は引き渡しギリギリまで続いていることが多いです。施主検査時に外構工事が完了していない場合は、完成後に改めて検査を依頼しましょう。隣地との境界で問題が残っていると、後々トラブルに発展する恐れがあるため、入念なチェックが必要です。

施主検査のチェックポイント【屋内編】

屋内のチェックでは、仕上がり状況の確認に加え、「生活に支障がないか」「怪我をする恐れがないか」という視点で確認しましょう。

図面との整合性

まず最初にチェックすべきは、図面との整合性です。

  • 間取りが図面通りか
  • 窓・ドアの位置と開く方向が正しいか
  • コンセント・スイッチの位置と数が合っているか
  • 収納の棚板の枚数や奥行きが正しいか
  • 打ち合わせで変更した内容が反映されているか

打ち合わせ内容が反映されているかどうかは、施主自身でなければ確認できないポイントです。特に途中で変更した箇所は注意して確認しましょう。

  • フローリングの色・柄が仕様通りか
  • 傷、凹み、汚れがないか
  • 歩いたときに床鳴りやきしみがないか
  • 床の傾きを感じないか
  • 畳の場合、縁の合わせ部分に段差がないか

素足で歩くと床の浮きやふわふわした感触に気づきやすくなります。また、木造住宅では木の収縮により多少の床鳴りが生じることもありますが、気になる場合は確認しておきましょう。

壁・天井

  • クロス(壁紙)の色・柄が仕様通りか
  • クロスの継ぎ目に隙間や浮きがないか
  • クロスの剥がれ、傷、汚れがないか
  • 角の仕上げが丁寧か
  • 天井に傷や汚れがないか

壁紙の継ぎ目や角は施工の丁寧さが現れる部分です。重点的にチェックしましょう。なお、木造住宅では気候の変化で木が収縮するため、クロスに隙間ができることがあります。6ヶ月点検や1年点検でクロス修繕が可能かどうか確認しておくと安心です。

建具(ドア・窓・収納扉)

  • ドアの開閉がスムーズか
  • 窓の開閉がスムーズか、鍵がきちんと閉まるか
  • 網戸・シャッターの動作に問題がないか
  • 収納扉・引き出しの開閉がスムーズか
  • 建具本体や枠に傷・汚れがないか

開閉できるものはすべて実際に動かして確認します。内部建具はアルミサッシよりも開閉具合が悪くなりやすいので、「ちょっと開きにくい」と感じたら遠慮なく伝えましょう。

水まわり(キッチン・浴室・トイレ・洗面所)

  • 設備機器のメーカー・品番が仕様通りか
  • 水栓から水がきちんと出るか
  • 排水がスムーズに流れるか(水をためて一度に流して確認)
  • 排水管からの水漏れがないか
  • シャワーからの水漏れがないか
  • 換気扇・浴室乾燥機が正常に動作するか
  • トイレの洗浄機能が正常か
  • 手すりの位置が適切で、ぐらつきがないか

水まわりは実際に水を出して確認することが重要です。キッチンや洗面台は水をためてから一度に流し、排水に問題がないか確認してください。

電気設備

  • 照明器具が正しく点灯するか
  • スイッチの位置が図面通りか
  • コンセントの位置と数が図面通りか
  • コンセントに通電しているか(充電器を差して確認)
  • インターホン・給湯リモコンの動作確認

その他の設備

  • 食洗機・換気扇などが正常に動作するか
  • 棚や手すりにぐらつきがないか
  • 床下点検口から見える範囲で水漏れが起きていないか
  • 分電盤・メーターの設置位置に問題がないか

施主検査で注意すべきポイント

施主検査をスムーズに進め、後悔しないために、以下のポイントに注意しましょう。

1. 傷・汚れの確認を最優先に

施主検査で特に重点を置くべきは「傷・汚れ」の確認です。設備の取り付け忘れや仕様の違いは施工不良として後から対応してもらえますが、傷や汚れは「施主検査で問題なかった」と判断されると、後から補修を依頼しても対応してもらえない可能性があります。

2. 気になることはその場で伝える

「ちょっと汚れているように見えるけど、こんなものかな?」と思っても、遠慮せずに担当者に確認しましょう。後から「あのとき聞いておけばよかった」と後悔しないためにも、気になることはその場で伝えることが大切です。

3. 「こんなものです」と言われたら理由を確認

施主検査でよくあるトラブルに、施主と施工会社の認識の違いがあります。「もう少し丁寧にできるのでは?」と修繕を依頼しても、「これが標準です」「こんなものです」と断られるケースがあります。

例えば、床の隙間は床材の膨張・収縮のためにわざと開けているケースもあります。修繕を断られた場合は、理由や根拠を説明してもらい、納得できれば施工会社の判断に従いましょう。

4. 記録を残しておく

指摘箇所は写真を撮影し、場所と内容がわかるように記録しておきましょう。施工会社も記録を取りますが、後で「言った・言わない」のトラブルを防ぐために、自分でも記録を残しておくことが重要です。

可能であれば、施工会社の承諾を得た上で、当日の様子を録画・録音しておくと、いざというときに証拠として活用できます。

5. 家族で参加する

施主検査には、できれば家族と一緒に参加しましょう。複数人で見ると、それぞれ異なる視点でチェックできるため、不備に気づきやすくなります。設備の使い勝手は実際に使う人でないとわからないこともあります。

6. 時間に余裕を持つ

施主検査は1〜2時間が目安ですが、設備の説明を受けたり、気になる箇所を丁寧に確認したりすると、3〜4時間かかることもあります。施主検査後に予定を入れず、時間に余裕を持って臨みましょう。

ホームインスペクターへの依頼も検討を

「自分たちだけで施主検査をするのが不安」「プロの視点でチェックしてほしい」という場合は、ホームインスペクター(住宅診断士)に同行を依頼する方法もあります。

ホームインスペクターとは、住宅の欠陥などを見極める住宅に精通した専門家です。施主検査に立ち会ってもらうと、第三者として中立的な立場でチェックしてもらえるので安心感が得られます。

特に以下のような方におすすめです。

  • 建築に関する専門知識がなく、見落としが心配な方
  • 施工会社に要望を伝える自信がない方
  • 床下や屋根裏など、自分では確認しにくい箇所もチェックしたい方

費用はかかりますが、長く住む家だからこそ、プロの目で確認してもらう価値は十分にあるでしょう。依頼する場合は、施主検査の日程が決まったら早めに連絡し、施工会社にも同行する旨を伝えておきましょう。

よくある質問

Q. 施主検査で不具合が見つかったらどうなりますか?

A. 引き渡し前に修繕してもらえます。修繕箇所と完了日を明確にし、修繕後に再検査を行うのが理想的です。修繕に時間がかかる場合は、引き渡し日の延期を検討することもあります。

Q. 施主検査をしない施工会社もありますか?

A. 稀にですが、施主検査を行わない施工会社もあるようです。施工不良があれば補修対応してもらう必要がありますし、契約と異なる工事があれば是正してもらわなければなりません。「施主検査はいつ行いますか?」と事前に確認しておきましょう。

Q. 施主検査後に不具合を見つけた場合は?

A. 施主検査で「問題なし」として引き渡しを受けた後は、原則として無償での修繕は難しくなります。ただし、明らかな施工不良(水漏れ、設備の故障など)は、引き渡し後でも対応してもらえる場合があります。傷や汚れなど入居後に判断が難しくなるものは、施主検査時に必ず確認しておきましょう。

Q. 建売住宅でも施主検査はありますか?

A. 建売住宅の場合は「内覧会」として同様のチェックを行う機会があります。完成済みの物件を購入する場合でも、引き渡し前に傷や不具合がないか確認しましょう。

まとめ

施主検査は、完成したマイホームが契約通りに仕上がっているかを確認する、引き渡し前の最終チェックです。この検査で見落とした不具合は、後から無償で修繕してもらうことが難しくなるため、しっかりと準備して臨むことが重要です。

施主検査のポイントをまとめると以下の通りです。

  • 引き渡しの2週間以上前、明るい時間帯に実施するのが理想的
  • 図面、筆記用具、スマートフォン、スリッパは必須の持ち物
  • チェックリストを準備し、屋外・屋内を順番に確認
  • 傷・汚れのチェックを最優先に
  • 気になることはその場で伝え、修繕日程を明確に
  • 記録を残しておく(写真撮影、メモ)
  • 不安な場合はホームインスペクターへの依頼も検討

これから長く住み続ける大切なマイホームです。施主検査をしっかり行い、安心して新生活をスタートさせましょう。

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