「絶縁抵抗測定って何を測るの?」「基準値はどのくらい?」「どのくらいの頻度で測定すべき?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。絶縁抵抗測定は電気設備の安全性を確認するための重要な検査であり、漏電や感電事故を防ぐために欠かせません。
本記事では、絶縁抵抗測定の基礎知識・測定方法・基準値・測定頻度について徹底解説します。電気工事に携わる方は、正しい測定方法を理解しておきましょう。
絶縁抵抗測定とは?
絶縁抵抗測定とは、電気回路や電気機器の絶縁状態を確認するための検査です。電気が流れるべきでない箇所(絶縁部分)に電気が漏れていないかを測定します。
絶縁抵抗とは
絶縁抵抗とは、電気回路の充電部分と大地(アース)または他の回路との間の電気的な抵抗値のことです。単位はMΩ(メグオーム)で表されます。
絶縁抵抗値が高いほど、電気が漏れにくい(絶縁性能が高い)ことを意味します。逆に、絶縁抵抗値が低い場合は、漏電のリスクがあります。
絶縁抵抗測定の目的
絶縁抵抗測定を行う主な目的は以下の通りです。
- 漏電の発見:電気が意図しない経路で流れていないかを確認
- 感電事故の防止:人体への感電リスクを事前に把握
- 火災の予防:漏電による火災リスクを低減
- 設備の劣化診断:絶縁体の経年劣化を早期に発見
- 法令遵守:電気事業法に基づく定期点検の実施
絶縁抵抗測定が必要な場面
絶縁抵抗測定は、以下のような場面で必要となります。
- 新設工事の竣工検査:電気設備の新設時
- 定期点検:電気事業法に基づく定期検査
- 増設・改修工事後:電気設備の変更後
- 漏電遮断器の動作時:漏電の原因調査
- 設備の異常発生時:トラブルシューティング
絶縁抵抗測定の基準値
絶縁抵抗の基準値は、電気設備に関する技術基準を定める省令(電技省令)および内線規程で定められています。
電路の使用電圧と絶縁抵抗値
| 電路の使用電圧 | 絶縁抵抗値 |
|---|---|
| 300V以下(対地電圧150V以下) | 0.1MΩ以上 |
| 300V以下(対地電圧150V超) | 0.2MΩ以上 |
| 300V超 | 0.4MΩ以上 |
※電技省令第58条に基づく基準値
一般的な住宅・建物での基準
一般的な住宅や事務所ビルの電気設備は、単相100V/200V(対地電圧150V以下)が多いため、0.1MΩ以上が基準値となります。
ただし、実務上は基準値ギリギリではなく、1MΩ以上を目安とすることが推奨されています。
測定結果の判定目安
| 測定値 | 判定 | 対応 |
|---|---|---|
| 1MΩ以上 | 良好 | 問題なし |
| 0.2〜1MΩ | 注意 | 経過観察、原因調査を推奨 |
| 0.1〜0.2MΩ | 要注意 | 早急に原因調査・改善が必要 |
| 0.1MΩ未満 | 不良 | 使用禁止、直ちに修理が必要 |
絶縁抵抗計(メガー)の種類
絶縁抵抗測定には、絶縁抵抗計(メガー)という専用の測定器を使用します。
定格測定電圧による分類
| 定格測定電圧 | 主な用途 |
|---|---|
| 125V | 低圧回路(100V系統) |
| 250V | 低圧回路(200V系統) |
| 500V | 低圧回路(300V超)、高圧機器 |
| 1000V | 高圧回路、大型モーター |
測定対象の電路の使用電圧に応じて、適切な定格測定電圧の絶縁抵抗計を選択します。
絶縁抵抗計の選び方
一般的な低圧電気設備の測定には、125Vまたは250Vの絶縁抵抗計が使用されます。高圧設備や大型モーターの測定には、500V以上の機種が必要です。
デジタル式とアナログ式がありますが、現在はデジタル式が主流です。デジタル式は数値が読みやすく、データの記録も容易です。
絶縁抵抗測定の方法
絶縁抵抗測定の具体的な手順を解説します。接地抵抗測定とともに、電気設備の安全確認に欠かせない作業です。
測定前の準備
①電源の遮断
- 測定対象の電路の電源を確実に遮断する
- ブレーカーをOFFにし、検電器で無電圧を確認する
②負荷機器の切り離し
- 電子機器、精密機器は測定電圧で損傷する可能性があるため、コンセントから抜くか、分電盤のブレーカーをOFFにする
③絶縁抵抗計の確認
- バッテリー残量を確認
- 測定リードの損傷がないか確認
- ゼロ点調整(必要な場合)
測定の種類
絶縁抵抗測定には、主に2種類の測定方法があります。
①線間絶縁抵抗測定
- 電線と電線の間の絶縁抵抗を測定
- L(ライン)端子とN(ニュートラル)端子間に接続
②対地絶縁抵抗測定
- 電線と大地(アース)の間の絶縁抵抗を測定
- L端子を電線に、E(アース)端子を接地極に接続
測定手順(対地絶縁抵抗の場合)
①測定リードの接続
- アース端子(E)を接地極または接地端子に接続
- ライン端子(L)を測定対象の電線に接続
②測定の実行
- 測定ボタンを押して測定を開始
- 指示値が安定するまで待つ(通常5〜10秒程度)
- 安定した値を読み取る
③測定後の処理
- 測定リードを外す前に、放電ボタンを押すか、短絡させて残留電荷を放電
- 測定結果を記録
分電盤での測定方法
分電盤で絶縁抵抗を測定する場合の手順は以下の通りです。
- ①主幹ブレーカーをOFFにする
- ②すべての分岐ブレーカーをONにする
- ③負荷機器をコンセントから外す(または各回路のブレーカーをOFFにして個別測定)
- ④E端子を接地端子に接続
- ⑤L端子を各相の端子に接続して測定
絶縁抵抗測定の頻度
絶縁抵抗測定の頻度は、電気設備の点検に関する法令や規定で定められています。
法定点検の頻度
| 設備の種類 | 点検頻度 | 根拠法令 |
|---|---|---|
| 自家用電気工作物 | 月次点検・年次点検 | 電気事業法 |
| 一般用電気工作物 | 4年に1回以上 | 電気事業法 |
| 特定建築物 | 年1回以上 | 建築基準法 |
自主点検の推奨頻度
法定点検とは別に、以下の頻度での自主点検が推奨されます。
- 一般的な事業所:年1回以上
- 工場・プラント:半年に1回以上
- 湿気の多い場所:3ヶ月に1回以上
- 重要設備:月1回以上
測定が推奨されるタイミング
定期点検以外にも、以下のタイミングでの測定が推奨されます。
- 新設工事・増設工事の完了時
- 漏電遮断器が動作した時
- 異常発熱や異臭が発生した時
- 水害や浸水があった後
- 長期間使用していなかった設備の再稼働前
絶縁抵抗測定の注意点
安全上の注意
- 必ず電源を遮断してから測定する
- 検電器で無電圧を確認する
- 測定後は残留電荷を放電する
- 濡れた手や湿った場所での作業は避ける
- 絶縁手袋を着用する
測定上の注意
- 電子機器は切り離す:パソコン、通信機器などは測定電圧で故障する可能性あり
- 湿度の影響:高湿度時は絶縁抵抗値が低下する傾向
- 温度の影響:高温時は絶縁抵抗値が低下する傾向
- 測定リードの接触:確実に接触させないと正確な値が出ない
絶縁抵抗測定に関するよくある質問
Q1. 絶縁抵抗値が低い場合の原因は?
主な原因として、絶縁体の経年劣化、湿気・水分の侵入、ケーブルの損傷、端子部の汚損などが考えられます。原因を特定し、適切な修理・交換を行う必要があります。
Q2. 絶縁抵抗測定と接地抵抗測定の違いは?
絶縁抵抗測定は電気が漏れていないかを確認する検査であり、接地抵抗測定は漏れた電気が確実に大地に流れるかを確認する検査です。両方を実施することで、電気設備の安全性を総合的に確認できます。
Q3. 資格がないと測定できない?
絶縁抵抗測定自体に資格は必要ありませんが、電気設備の点検・工事を業として行う場合は電気工事士などの資格が必要です。また、高圧設備の点検には電気主任技術者の監督が必要です。
Q4. 測定値が「∞(無限大)」と表示されるのは正常?
正常です。絶縁抵抗値が測定器のレンジを超えている場合に「∞」と表示されます。絶縁性能が非常に良好であることを示しています。
まとめ
本記事では、絶縁抵抗測定の基礎知識・測定方法・基準値・測定頻度について解説しました。
絶縁抵抗測定のポイント(まとめ):
- 絶縁抵抗測定とは:電気設備の絶縁状態を確認し、漏電を防ぐための検査
- 基準値:対地電圧150V以下で0.1MΩ以上(実務上は1MΩ以上推奨)
- 測定頻度:法定点検に加え、年1回以上の自主点検が推奨
- 注意点:必ず電源を遮断し、電子機器は切り離して測定
絶縁抵抗測定は電気設備の安全を守るための基本です。定期的な測定を実施し、漏電や感電事故を未然に防ぎましょう。
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