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工程管理

ネットワーク工程表の作成手順:クリティカルパスで工期短縮を実現する方法

工事やプロジェクトを効率よく進めるためには、作業全体の流れや依存関係を明確にする「ネットワーク工程表」の活用が効果的です。とりわけ、工程表クリティカルパスを把握することで、無駄や遅れを最小限に抑え、工期短縮を実現しやすくなります。本記事では、ネットワーク工程表の特徴と具体的な作成手順、そして工期短縮につなげるためのポイントをわかりやすく解説します。

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参考記事:ネットワーク式工程表の作成方法とは?無料エクセルテンプレートの紹介。
参考記事(外部サイト):ネットワーク工程表とは?作成方法や知っておきたい用語・ルールも徹底解説

1. ネットワーク工程表とは

ネットワーク工程表は、タスク(作業項目)同士の依存関係を矢印やノード(結節点)で示した工程図のことです。代表的な手法としては、アローダイアグラム法(ADM)やプレシデンスダイアグラム法(PDM)があり、タスク同士の前後関係や並行作業の可否を視覚的に捉えられる点が特徴です。

  • アローダイアグラム法(ADM):矢印に作業を記入し、ノードで作業の開始・完了を示す方式
  • プレシデンスダイアグラム法(PDM):ノードに作業名、矢印で依存関係を描く方式

ガントチャートでは把握しにくい複雑な依存関係を管理しやすい反面、工程表を更新する際の編集がやや煩雑になる場合があります。近年は、専用ソフトウェアやクラウドツールを活用することで、作成や修正の手間を大幅に軽減できます。

2. クリティカルパスの重要性

ネットワーク工程表を作る最大のメリットは「クリティカルパス」を明確にできることです。クリティカルパスとは、プロジェクト開始から完了までの全タスクの中で、最も長い時間を要する作業経路を指します。

  • クリティカルパス上のタスクは余裕がなく、1日でも遅れると全体の工期に影響が出る
  • 逆に言えば、クリティカルパス上のタスクを短縮できれば、全体工期も短縮しやすい

このパスを確実に把握・管理することで、最小限の手段で最大の工期短縮効果が期待できるのです。

工程表

3. ネットワーク工程表の作成手順

3-1. タスクの洗い出し

まずはプロジェクトや工事に必要な作業項目(タスク)をすべて列挙します。大項目(基礎工事、躯体工事など)から細分化する形で、作業を見落とさないようにすることが大切です。

3-2. 依存関係の整理

各タスクがどのような順序で進み、他のタスクとどのように関連するかを決めます。

  • 先行タスクの完了が必須であるか
  • 同時並行が可能か
  • 後続タスクの開始条件は何か
    ここで間違うと工程表全体に影響が出るため、図面や仕様書、担当者へのヒアリングをもとに正確に洗い出してください。

3-3. 作業期間の見積もり

タスクごとに所要日数(あるいは時間)を設定します。過去の実績や経験値、協力会社の見解などを参考に、なるべく現実的な数字を採用します。この段階で甘い見積もりをすると後々の遅延リスクが高まるので注意が必要です。

3-4. ネットワーク図の作成

アローダイアグラムやプレシデンスダイアグラムなど、好みやプロジェクトの規模に合わせた手法で図を描きます。

  1. ノードや矢印にタスク名と所要期間を記入
  2. 依存関係を矢印で結ぶ
  3. タスク同士の開始条件(FS:Finish to Start、SS:Start to Startなど)を明確化

3-5. クリティカルパスの特定

ネットワーク図が完成したら、開始点から終点までの経路のうち、最も所要時間が長い経路を探します。これがクリティカルパスです。専用ソフトを利用すれば自動計算してくれるため、作業量を大幅に減らせます。

4. 工期短縮を実現するポイント

4-1. クリティカルパスの重点管理

クリティカルパス上のタスクが遅れると、即座に全体工期に影響が及びます。

  • 必要な作業員や資材を優先配備
  • 作業時間帯の調整や機材増強で遅れを吸収
  • 並行できるタスクの洗い出し

4-2. 並行作業やフロート活用

クリティカルパスに含まれないタスク(フロートがあるタスク)は余裕時間があるため、クリティカルパスのタスク支援に回すことを検討します。人員を一時的に借りたり、関連する作業をまとめて行うなど、フロートをうまく活用しましょう。

4-3. リスク管理と変更対応

設計変更や不測の事態が発生した場合、ただちにネットワーク工程表を更新し、クリティカルパスに影響がないか再評価します。リスク管理の観点からも、定期的な進捗レビューを行い、遅れの兆候があれば早めに手を打つことが大切です。

5. 運用上のアドバイス

  • 粒度を適切に保つ
    タスクが大きすぎると細部の管理が難しく、小さすぎると工程表が煩雑化するため注意
  • ソフトウェアの活用
    ガントチャートやネットワーク工程表に対応したプロジェクト管理ソフトを使うと、クリティカルパスの算出や進捗管理が容易
  • 定期的な見直し
    工事期間が長いプロジェクトほど、工程表の更新・修正が頻繁に必要。現状に合わない計画を放置しないこと

6. まとめ

ネットワーク工程表を用いると、複雑なタスクの依存関係を可視化しやすく、工程 表 クリティカル パスを的確に把握できます。クリティカルパス上の作業を重点管理すれば、最小限のリソースで最大の工期 短縮効果を得られる点が大きなメリットです。
プロジェクトの成功は、工期の遵守と品質確保の両立にかかっています。ネットワーク工程表を積極的に活用し、クリティカルパスに注目した運用を行うことで、工事の効率化とリスク低減を同時に実現しましょう。

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